怒り出した副ギルド長には同情するんだぜ
「なんじゃ!こりゃあぁ〜!?」「声がデカいわ!」「流石にウルセェな」「耳が痛いやんか!」
冒険者ギルドから派遣されてきた男が、大海龍を見るなり大声を上げた。
まぁ気持ちは分からんでもねぇが、この大男は見た目だけでなく全てがデカい。
「まぁまぁ落ち着きなさい」
「コレでも飲んで下さいな♪」
俺達が耳を塞ぎながらこの大男を見ていると、ヴェルノア様とシェリア様がこの大男をとりなし始めた。そしてこの大男は
「コレは...ありがとうございます」
「良いのよ♪」「それよりも、どうじゃ?」
ゴクゴクとまるで水でも飲むかのように、奥様から受け取ったスープを飲み干す。
そして、大将と共に大海龍を見上げながら
「とりあえず解体やらなんやらは公爵家でやると伺いました。その上で検分だけしてくれってお話ですが...」
そこで言い淀んだ大男に変わって、大将が言葉を続けた。
「証明部位が有れば良いのじゃろ?これだけ沢山あるんじゃ。一本位構わんじゃろ?」
「構わないわ!その代わり討伐証明ヨロシクね♪」
そして大将が大海龍の歯を指差し、嬢ちゃんは将来冒険者になった時用にランクの底上げを打診する。
「全く...まだ若い個体とはいえ、不討魔獣なんてモンを持ち込みやがって」
「おや、不服かのぅ?」「なんで迷惑そうなのよ!?」
するとこの大男はため息を吐き、項垂れ始めやがった。
「あのですね?持ち込んだのが複数のAランクパーティーで構成された混成部隊とか、合同依頼とかなら喜びますよ。でも、単独での討伐なんて有り得ないでしょうよ!?」
そして大将に抗議の声を上げてから、嬢ちゃんの方を一睨みする。その言葉を聞いた嬢ちゃんは、眺めていた大海龍の鱗から離れ大男の前まで歩み寄ると
「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったわね。私はセシルよ」
「あぁ?!俺の名前か?」「ソレしかないでしょ?」
嬢ちゃんは大男の名を聞きながら、先に名乗った。大男はやや惚けながらも、仕方なく答える気になったらしい。
「しゃあねぇな...俺の名前は」
そして、その大男が名乗った瞬間...
嬢ちゃんは大笑いしだしたんだぜ。
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