海獣大戦争?なんだぜ 後編
「問題は(機体が)上がるかどうかね」
飛行機に乗るなり嬢ちゃんが不安を口にしたが
「上がるさ」「本当に?」
そう言って俺は両翼に取り付けた新しいフラップを指さした。すると
「ゲビック?!アナタ、自分で気付いたの?」
「まあな」「凄いじゃない!?これなら上がるわ!」
と嬢ちゃんの眼に光が宿る。俺が両翼のフラップと呼ばれるモノをただ曲がるだけのモノから、翼の大きさは変えずに下側だけ開くように改造した。そうする事でより強い揚力を得る事が出来ると、実験で分かったからだ。
「カタパルトが無かったら減速効果が勝っちゃうでしょうけど、最初に高ささえ確保出来れば何とかなるわ」
俺はエンジンを始動させながら、次々計器類に灯を入れていく嬢ちゃんに「勿論だぜ」と答えて見せる。
「マルヴェラ!カウント頼む!」「あいよ!」
準備が整った所でマルヴェラにカタパルトの射出操作を頼むと共に、俺と嬢ちゃんは迫りくる大海獣を見据えた。
ソコで俺はある事に気付く。どうやら嬢ちゃんも同じ事に気付いたみたいだが...
「「デカくねぇ?!」」
後ろに居るマルヴェラからは見る角度が悪いのか、気付いてねぇようだ。下で作業している奴等は視点が低い所為もあるが、際経つ白波にそれどころではない。まぁパニックにならずに作業出来てる時点で、全員覚悟が決まってるってのが改めて分かったんだぜ。だが、そんな事より
「やっぱりよ...ゲビック、アレは海竜じゃないわ」
「あぁ、間違いねぇ...大海龍だ」
迫りくる大海龍相手に、爆雷が効くかどうかだが
「飛ぶわよゲビック!」「おうよ!!」
3・・・2・・・1・・・ドゥシュ!!!
ガウゥ―――…ン―――…
マルヴェラのカウントに合わせて、エンジンに火を吹かせる。
カタパルトの射出機構と相まって、途轍もないGが二回に分けて襲ってきた。
一度目は射出時、二度目はカタパルトから飛び出した後の急上昇だ。
幸いブラックアウト気味になりながらも、空中での減速を感じ取れた俺は下面展開式フラップを格納する。
「意識が飛ぶわね、コレ」「大丈夫なのかぃ?」「大丈夫よ!次は魔法で防ぐわ!」
そんな事が出来るのかと思っていると、コチラに気付いた大海龍はとんでもないスピードでコチラに接近し...
「「マジかよ?!」」
俺達を一呑みにせんと跳躍してきた。俺が慌てて急旋回するのと、嬢ちゃんが爆雷投下するのが重なり
「「えぇっ!!!」」
大海龍は俺達の代わりに爆雷を一呑みにする。そして海面に勢い良く着水?すると
ヴォワァシャア―――……ヴォン!...ヴァシャ――…
......プカプカ......
小さな爆発音の後、大海龍が吐血した。そしてピクリとも動かない。
どうやら海面に腹から落ちた時、その衝撃で水圧信管にかかった圧力が設定値を越えたらしい。
「運が良かったわね」「アイツは悪かったな」「そうね」
嬢ちゃんの言う運が良かったは、多分安全装置の事だろう。爆雷を投下して大海龍がソレを飲み込むまでの僅かな間に、良く風車式伝火路が機能したモンだと俺も思ったんだぜ。
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