またまた人手が増えたんだぜ
「今度は囚人ですかい?」「ひょっとして終身刑?ソレ、大丈夫なん?」
ココから出ないなら同じ...とは言え、流石に逃亡不可な場所って訳じゃねぇ。
逃げようと思えば逃げ出せる。鉱山内の工房は...そんな所だ。
「それなら大丈夫じゃ。ココに連れてきた者たちは皆、冤罪で服役中の奴等ばかりじゃからな」
そう言って大将は、ヒゲを撫でながら大笑いする。
「一応まとめ役を決めておいた。コヤツがそうじゃ」
「只今紹介に預かりましたヨゼフと申します。親方様、どうぞ宜しくお願いします」
連れてこられたばかりで囚人服のままだが、その振る舞いは貴族の執事を彷彿とさせた。
「おぅ...ヨロシクな」「はい。どうぞ宜しくお願い申し上げます」
「ゲビックよ。コヤツは元家令じゃから、頼りにして良いぞ」
やっぱりそうだ。大将の言う家令って奴は、確か貴族の屋敷を取り仕切る役目を負ってた筈だ。だが
「なんでそんな奴が囚人に?」「当然主を諌めたからじゃろうな」
俺と大将がそんな会話をしていると
「もう過ぎた事ですから」「そうじゃのぅ。儂としては、良い買い物が出来てホクホクじゃわい♫」「勿体ないお言葉で御座います」「本気じゃぞ?」「有難う御座います」
元家令が過去話はゴメンだと言いたげに話を逸らした。そんなヨゼフに大将はワザと、元雇い主を貶める事で賛辞を送る。ヨゼフはそれを謙遜して返すが、大将は真剣な眼差しを送る事でヨゼフに信頼を寄せ...諦めたヨゼフは、大将の賛辞を受け入れた。
「ヨゼフよ。早速じゃが今からアノ者たちにお主を紹介する故、儂とともに来てあの一角を取り仕切ってくれ」「は、はい?」「何、大丈夫じゃ。皆条件は似たようなモンじゃからの♪」
大将の言う条件ってのは、冤罪者に対する恩赦って事になるんだろうなぁ...
どう考えても、服役してるよりはココで働く方が何倍も人間らしい生活が出来る。
そんな事を考えていると
「ではゲビックよ。後ほどコヤツらを頼むぞ」「へぇ...」
そう言って大将はマルヴェラに声を掛け、元服役囚と思われる女性たちの元へと向かって行ったんだぜ。
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