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雪上の狩り

火花は、今や焼け焦げた噴水の近くにある地下室へと続く、重い石の扉を持ち上げた。中は暗かったため、こう言った。


「ええっと……私、外に残って、あのボールみたいなのが逃げ出さないように見張ってるね」


NaeviaとKaelianが下りていくと、壁にもたれかかるようにして座っている凍りついた死体があった。壁には何か文字が書かれていたが、時が経ったせいで判読できなくなっていた。

しかし、床にあったのはそれだけではなかった。円形の刻印もあり、Kaelianはそれを即座に錨の封印だと見抜いた。


「きっとRanmaraがここにいたんだ。彼女が何をしていたのか、手がかりが得られるかもしれないけど……僕のNarysを汚染された錨のNarysと混ぜるのは得策じゃないな」


彼は火の球を作り出して死体に投げつけた。一方、火花はしゃがみ込んで核を見つめていたが、その核は瞬く間に結晶化した。


「きゃっ!!」


驚きのあまり、火花は後ろにひっくり返った。Naeviaは文字の刻まれた壁を見て言った。


「過去を視て、読んでみるわ」


過去の目を発動させると、彼女は時間の流れを遡り始めた。しかし、そこでは何も起こらなかった。何十年も遡り、ようやく生きている男の姿を捉えたが、さらに少し時間を巻き戻してその時間軸を追うと、男が地下室に下りてきて壁にメッセージを書き記す場面に行き着いた。


「何か書いているわ……『今やこの古き緑の平原を覆い尽くす凍てついた荒野にかけて、我は至高の裏切り者、偽りの英雄Thylrosを呪う。我らを怪物たちとともに閉じ込め、凍てつく孤立を強いた者を。裏切り者の高地の住民も、東の住民も、我らは呪われた身だ』」

「……裏切り者? Thylrosのことはあまりよく思われてないみたいだね」


遺産が言う。


(Thylrosは、広大な平原を山脈に変えて怪物たちを殺したの。村々を巻き込まないよう気をつけたけれど……彼らはそう受け取らなかったみたいね。東の人々を犠牲にして大陸全体を守ったわけだから、彼らにとっては英雄でも何でもないのよ)


Kaelianは腰に手を当てて言った。


「もう分かっていたさ。説明しなくてもよかったのに」

(あら、つい癖でね)

「おめでとう、今まさにHeritagesplainingを発明したね」


Naeviaは封印のある場所に目をやり、男が何か言葉を発しているのを見る。


「何か言っているけれど……何と言っているのか分からないわ」

「聞こえないのかい?」


Naeviaは小さく微笑みながら、横目で彼を見る。


「過去や未来は視えるけれど、声は聞こえないのよ」

「はは、そうだったね。ごめん」


彼女は映像に集中し、男の真正面に立つ。


「でも、読唇術を試すことはできるわ。宮殿で少し習ったから……確か、こう言っているわ。『遺物の力を使って、大陸の残りの連中に復讐してやる』」


その後、男は床にあった錨の核を手に取った。それによって封印が破られ、錨が解放された。錨は男を殺し、地上へと這い上がっていった。NaeviaがそのすべてをKaelianに説明すると、彼は答えた。


「じゃあ、あの錨は何世代にもわたるThylrosへの憎しみを糧にしていたってことか? それなら、いろいろと納得できる。でも、どうして錨が力を与えてくれるなんて思う奴がいるんだ?」

「それが何なのか、知らなかったのかもしれないわね」

(……もっと過去を視て、Ranmaraがここにいたのかどうか確かめてくれない?)


Naeviaは試みたが、疲労と無理をしたせいで、左目に激しい痛みが走った。


「ご、ごめんなさい。そんな昔までは視られないわ」


***


地下室から出ると、吹雪がすっかり消え去っていることに気づいた。錨が吹雪を操っていたからだ。彼らは結晶化した核を破壊し、しばらく休息を取ってから再び旅を続けた。

数日後、ドームの中でNaeviaは寒さに震え、肌はひどく青白くなっていた。疲労と空腹のせいで、エネルギーを回復できずにいたのだ。


「……火花、Naeviaの面倒を見ていてくれ。何か狩ってくる」


Naeviaはかろうじて声を絞り出した。


「……一人で行くなんて……危険です」

「他に選択肢はないんだ。一番近い街まで何日もかかるはずだし、このままじゃ生き延びられない」


彼はドームを出て、雪の中に動物の足跡を探し始めた。しかし、どんな痕跡も数分で消えてしまうため、探すのは非常に困難だった。おまけに、ほとんどの動物は低地へ移動しているため、食料を見つけるのはほぼ不可能だった。

Kaelianは目を閉じ、周囲のNarysを感じ取ろうと集中したが、降っている雪に含まれるNarysにすぐに圧倒されてしまった。そのため、「探知」を使うことにした。最初はほとんど成果が得られなかったものの、しばらくすると山々の間に一つの意志を感じ取ることができた。


「……下りるしかなさそうだな」


山の斜面は非常に急だったため、慎重に下りなければならなかった。突き出した場所まで来ると、雪の下で食べ物を探しながら、岩に寄りかかっている一頭のヤギが見えた。Kaelianは考える。


(ほかにはいないみたいだ。群れからはぐれたんだろう)


彼は石の投射物を作り出して放った。ヤギは悲鳴を上げて逃げ出したため、Kaelianは雪に残る血の跡を頼りに追いかけた。そうしている最中にも吐き気を感じていたが、血の跡は一本の道へと続き、やがて洞窟の入り口へと導いていた。

Kaelianは中に入ろうとしたが、遺産に止められた。


(引き返したほうがいいと思うわ……あの中にはとてつもなく強い意志がある。それに、途方もない量のNarysもね)


Kaelianは拳を握りしめたが、それでも一歩前へ踏み出した。


「中に何がいるかなんて分からないけど、あのヤギを逃したら、僕たちは飢え死にするか凍え死ぬしかない」


彼は目を閉じてNarysを隠してから中に入った。洞窟の入り口はトンネル状になっており、壁や床、天井には無数の穴が空いていた。


「この穴には見覚えがある。銅牙のトンネルだ。もっと気をつけないと」


床には道を分断する巨大な穴があったが、魔法を使って両側の石を動かし、穴を覆って通り抜けた。しばらく進むと、上部が開けた巨大な空間に出た。天井から少し雪が降り込んでいたが、奇妙なことに、その大部分は隅の一角に山のように積もっていた。

縁に沿って滑るように進み、広間へとたどり着くと、遠くに血溜まりが見えた。そこから血の跡が、真っ暗な壁の穴へと続いていた。その暗闇からは、ヤギの後ろ半身だけが突き出していた。

穴の中から熱い蒸気が立ち上っていた。Kaelianは一体どんな生き物なのかと考えながら、心臓を高鳴らせ、即座に身構えた。


(……クソッ……クソッ……頼むから錨とかその類じゃありませんように。僕一人じゃどうしようもない)


最初に姿を現したのは鼻孔だった。そこから再び熱い蒸気が吹き出した。続いて現れた細長い頭には鋭い目があり、頭頂部には先端が二股に分かれた長いコウモリのような耳が生えていた。首はそれほど長くなく、細い胴体は黒い鱗と鋭い背びれに覆われていた。鋭い爪のある四本の脚で体を支え、翼は畳まれていたものの、尾の付け根まで膜が伸びており、その翼幅が大きいことが見て取れた。

尾はかなり長く、エイに似た、先端の尖った尾びれが三つ付いていた。左右に一つずつ、上に一つだ。全長はおよそ九メートルだった。

全身が真っ黒であるにもかかわらず、胴体に沿って、まるで血管のような緑がかった線が走っているのが見えた。Kaelianはそれを見るなり、思った。


(……ドラゴン……。ああ、もう……まあいい。ヤギをあいつに持っていかせるわけにはいかない。戦うしかないな。それに、一つ気になることがある)

(気になること? 何?)

(確か火花が前に聞いていたよな。ドラゴンの肉って、どんな味がするんだろうって)


Kaelianは白い炎の球体を作り出して放ち、ドラゴンに直撃させた。しかし、ドラゴンはまったくダメージを受けていなかった。


(……炎が最も効果的だとは思っていなかったけど、せめて少しくらいはダメージを与えられると思っていた。相当頑丈らしい)


ドラゴンはライオンのような咆哮を上げて口を開いた。その体が緑色の光を放ち始めると、KaelianはすぐさまNarysの盾を作り出した。直後、ドラゴンの口から放たれた光線が盾に直撃し、盾をたちまち損傷させた。


(電撃だと?!)


Kaelianは盾の背後に石の壁を作り出した。盾が破られると、石壁が攻撃をすべて受け止めた。しかし、光線が直撃した壁の表面は結晶のようになっていた。ドラゴンは攻撃を止めると、生み出された結晶に興味を示し、近づいていった。


(……あの光線の威力はすごい。今のところ、土が一番いい防御手段みたいだけど、壊されないように十分な厚さが必要だ)


Kaelianは拳を握りしめ、跳び出す準備をした。


(あいつを倒すには、もう一手必要だな。もしかしたら、これで……)


小さな石の投射物を作り、その周囲を薄い白い炎で包み込む。石は瞬く間に明るく輝き、炎が消えると黒曜石へと変化した。Kaelianはそれを素早く回転させながら前方へ跳び出し、ドラゴンを狙える位置に移動すると、投射物を放って首に命中させた。投射物は厚い鱗を貫こうと回転したが、かすかに出血させるのがやっとだった。

Kaelianは床に倒れ込んだが、肘をついて体を支えながら、怒りに満ちた咆哮を上げる怪物を見つめた。

ドラゴンは再び口を開き、肺に空気を取り込んだ。その背びれが下から上へと、強烈な緑色の光を放ち始める。Kaelianは互いに向かい合うように何枚もの石壁を作り出し、光線に耐えられることを願った。しかし、ドラゴンの口から放たれたのはガスだった。それが雷によって引火した。ドラゴンは耳を伏せ、バイザーのように目を覆った。そして、プラズマの炎が勢いよく放たれ、Kaelianの防壁をたやすく貫きながら、石壁を一枚ずつ溶かしていった。

最後の壁が崩れかけているのを感じると、Kaelianは地面から柱を作り出し、その勢いで遠くへと吹き飛ばされた。


(遺産、あれはいったい何のドラゴンなんだ?!)

(知らないわよ! 私、ドラゴンの専門家じゃないんだから!!)


地面に着くと、Kaelianはできるだけ早く起き上がろうとした。その一方で、背びれの近くから熱が空気中へと放散していくのが見えた。


(あの攻撃は触れたものをすべて溶かす。距離を取らないと)


ドラゴンは再び口を開いた。Kaelianは攻撃を受けないように走り出したが、今度は光線ではなく、一つの投射物を放ってきた。投射物は地面に当たると爆発し、発生した衝撃波がKaelianを襲った。かろうじて小さなNarysの盾を作り出したものの、衝撃によって壁に叩きつけられた。できるだけ早く起き上がろうとしたが、すぐに、呼吸するたびに胴体に激痛が走るのを感じた。


(クソ……肋骨が……)


ドラゴンはより有利な位置を取ろうと跳躍した。Kaelianは身を守るため、自分の周囲に極めて厚い巨大な石のドームを作り出し、同時に魔法で自分の体を治そうとした。しかし、ドームにドラゴンの攻撃が次々と命中し、層がたちまち破壊されていく音が聞こえた。

残っていたNarysの大部分を使ってドームを修復したが、恐怖で呼吸がひどく速まり、そのたびに絶え間ない痛みが走っていた。


(……治療に……集中できない……)


ドラゴンは極めて強力な攻撃をチャージし、それを放つと、ドームの層をすべて一瞬で破壊した。その衝撃は洞窟の内部に大きな揺れを引き起こした。地面が激しく揺れ、ひび割れ始め、ついには陥没した。Kaelianもドラゴンも、そろって底へと落下していく。残されたわずかなエネルギーを振り絞り、Kaelianは水の球体で自分を包み込んで、落下の衝撃を和らげた。


***


火花はドームの片隅に座り、横になっているNaeviaをじっと見つめていた。その視線に気づいたNaeviaが尋ねた。


「……どうしてそんなに見つめているの?」

「どうしてここにいるの? Edheralまで一緒に来るだけのはずだったのに」

「えっと……説明するのは難しいなぁ」


火花は腕を組み、目を細めた。耳をピンと立て、尻尾を素早く振っている。


「……いつまで私たちについてくるつもり? これ以上、もう一か月もあんたの相手をしたくないんだけど」

「相手をする? まるで自分が最高の旅の仲間みたいな言い方ね」

「少なくとも私はちゃんとついていけるもん! Kaelianと私だけだった頃は、何もかももっとよかったのに。あんたが来てから、Kaelianはあんたのことばかり気にかけてる。不公平だわ! 私だけのものじゃなきゃダメなの!」


Naeviaは目を見開き、起き上がろうと肘をついた。


「ひ、火花……まさか……あなたもKaelianのことが好きなの?」


火花はにっこりと笑い、すぐに立ち上がって両手を腰に当てた。


「好きじゃないよ」

(……よかった)


火花は息を吸い込み、叫んだ。


「愛してる!」

「えええっ!?」

「そう、えへへ! すごく可愛いし、いつも私を守ってくれるんだもん。キツネの姿の私の頭を撫でてくれる手の感触も、隣で眠るときの心地よさも大好き! 買ってくれるお菓子も! それに、料理もおいしいし! いつも優しいわけじゃないけど、それでも大好き!」


火花の言葉を聞き、Naeviaの心臓は激しく鼓動した。


(な、何……? 火花がKaelianに恋していたなんて、思いもしなかった。火花を疑うべきだったわね)

「そ、それで……いつからそう思っているの?」

「ずっとだよ!」

「じゃ、じゃあ、告白するつもりなの?」


火花は困惑した表情でNaeviaを見つめた。


「もちろん、そんなことしないよ。先に告白してくるのは彼のほうじゃなきゃダメなの! でも、そのためには私が彼の人生でただ一人の女の子にならなくちゃ! Lioraを追い払えば十分だと思ったのに、あんたが来ちゃったんだもん」

(そんなこと、絶対に起こらないわ。Kaelianが火花に同じ気持ちを抱いているとは思えないもの。あの子は彼に面倒事と頭痛の種をもたらしているだけだし。それでも……彼のそばから離れるつもりはない。けれど、火花がどう思っているのか分かった以上、油断は禁物ね。……クソッ、もうこんなことを考えるのはやめなきゃ)


火花の笑顔が消えた。そして、一つの考えが稲妻のように頭をよぎった。


「ちょっと待って!! 今……『も』って言った!? ……それって、あんたもKaelianが好きってこと!?」


Naeviaは目を最大限に見開いた。自分の口から、うっかりその言葉が漏れていたことに気づいていなかったのだ。


「……こ、これは……」

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