Thylrosの高地
Kaelianは座って羽ペンと魔法のインクで二通の手紙を書き上げ、封をしてLioraの本の上に置くと、すべてを二重の厚手の布で包んだ。
一行はすべての荷物をまとめ、数ヶ月間自分たちの家だった部屋に別れを告げると、ギルドの広間でRedjornとGlaesと合流した。
「二人とも、色々と本当にありがとう」
「待ってくれ、出発する前に君たちのステータス情報を更新しておくべきだ」
頷いて再度測定を行うと、RedjornもGlaesも衝撃を受けた。
NaeviaのNarysの保有量は少し増加し、火花の魔法に大きな変化は見られなかったものの、Narysの制御は少し向上していた。しかし、KaelianはNarysの保有量を大幅に増加させることに成功し、その制御は師範に達していた。
「信じられない! たった数ヶ月ですごく成長したな……」
(……僕が師範に到達した?……気づかなかった。正直、強くなった実感はない)
Redjornはカウンターに寄りかかって言う。
「へへ、そういえば君たちに驚きのお知らせがあるんだ。Raemelのギルドで『Bakaelian』というあだ名で登録されていたのに気づいたから、それを完全に削除して新しいのをつけておいたよ。君が一番よく知られているあだ名、君の公式なあだ名は『春のキツネ』だ。君の友達は『夏のキツネ』と『秋のキツネ』だよ」
Kaelianは目を見開き、少し微笑んで答える。
「本当にありがとう。心から感謝するよ」
しばらくして彼らが町の入り口へ向かうと、そこではMeyのグループが待っていた。Kaelianは彼女たちに硬貨の入った袋と包みを渡した。
「『Suina』と書いてある手紙はMarganian農場へ。もう一通の手紙と本はTharnwodeに届けてほしい。村の薬師を訪ねてみて、その人が僕の母さんだ」
Meyは頷いた。
「了解。冬用の外套は持ってる? 山の中じゃ凍えちゃうよ」
「うん、僕と火花は大丈夫だ。心配してくれてありがとう」
Redjornが馬車でやってきて、皆が乗り込む。火花とKaelianはRedjornと一緒に前に座り、他の者たちは後ろに座る。
Naeviaは道中ずっと黙っていたため、Meyが尋ねる。
「どうかしたの?」
「……Kaelianに好きだと伝えたのですが……振られました……」
完全に驚いた顔で、彼女は答えた。
「ふ、振られたの?……どうして?」
「……私のせいです」
「あんたのせい?」
「……無意識のうちに……彼を傷つけてしまったからです」
彼女の心の中に王女の声が現れ、こう言う。
(……本気で受け入れてもらえるとでも思ったの? あなたに愛される資格なんてない。あなたはひどい人間よ。友人一人繋ぎ止めることもできないのに、恋人なんて到底無理。あなたは近づくものすべてを焼き尽くす炎よ)
Greysが尋ねる。
「だから私たちと一緒に来ることにしたわけ?」
「私は……決めていません。Kaelianが決めたのです。もう彼に同行する理由がないと言われました」
Mayuは膝に肘をついた。
「それは本当なの?」
北と東への道が分かれる分岐点に着くと、馬車が止まった。他の者たちは降り始めるが、Meyが言う。
「私たちと一緒に来てもいいんだよ、楽しいだろうし。新しい村や人たちに出会うのは面白いしね。でも、もし本当は彼と一緒に行きたいなら……いつか気持ちに応えてくれるなんて思って、一緒に行くのはやめなよ」
「……木炭、持っていますか?」
NaeviaとKaelianは二人きりで話すために他の者たちから離れ、再び向かい合う。彼女は視線を落として言う。
「……あんたと行きます……」
「え? もうMeyたちもいるし、一人じゃないだろ。僕に同行して危険を冒す必要はないよ。それに、きっと僕を探している教団の傭兵がもっといるはずだ」
「そんなこと……どうでもいいです。あんたが私の唯一の選択肢だからあんたを選べないと言っていましたが、それは違います。私は選べます。新しい人たちと出会うことも、あんたと残ることもできます。でも、もう決断は下しました。私はあんたを選びます」
「危険だよ、僕はあんたを守れない」
「なら、私に保護は必要ないかもしれません。私だって強いんですから」
「わかってないな、いくらあんたが強くたって、もしあんたに何かあれば僕のせいになるんだ」
彼女は願いが書き込まれた地図を取り出し、彼に渡す。
「一番最後を読んでください」
彼は息を吸い、読み始める。
「……何があっても、Kaelと一緒に東の地へ行きたい。そうすべきではなくても、私はそうしたい……」
Naeviaは歯を食いしばり、言う覚悟を決める。
「もう一つあります! 本当は、私、あんたの好きなところがたくさんあるんです。あんたの髪や目の色、幻影じゃなくて本当の色の方です。顔の形、頭が良くて機転が利くところ、私を慰めようとする時の笑顔。それに、あんたの歪んだユーモアのセンスや、おかしな比喩だって好きです」
Kaelianの瞳孔は開いたが、その視線は下がった。
「あんたの言うことが本当だとは信じがたいよ」
「だ、だったらフレイムを使って、私が嘘をついていないか確かめてください!」
彼は息を吸い、彼女に向けて手を上げる。Naeviaは目を閉じ、そのまぶたを震わせるが、Kaelianはすぐに手を下ろして言う。
「……意味がない。フレイムはあんたが真実だと信じていることを探知するだけで、客観的な真実じゃないんだ」
「でも……」
「僕のことで無理することはないよ。あんたにはもっといい人がふさわしい。僕みたいな使い捨てなんかじゃなく」
「それを繰り返すのはやめてください!! ……あんたはそんな人じゃありません。素晴らしい人です。私が一番尊敬している人です。恐怖や限界があっても、決してそれに足止めされたりしない……私もあんたみたいになりたい……」
「お願いだからそういうこと言うのはやめて。来たいなら来てもいいけど、そのことについて僕が考えを変えるとは期待しないで」
Naeviaは頷いて答えた。
「わ、わかりました。ご、ごめんなさい、もう二度と口にしません」
Kaelianは他の者たちの元へ戻ったが、遺産はNaeviaにだけ告げた。
(まあ……少なくとも、彼と離れずに済むようになったわね。彼はまだKaylaとRubyの件を乗り越えきれていないから……少し時間を置いてちょうだい)
(時間を?)
(彼が少し自信を取り戻して、関係を築いてみようと思えるようになるための時間よ)
(もう、それは今となっては関係ないことだと思います。私はひどい人間で、彼と一緒にいる資格なんてない。でも、私が彼に抱いている気持ちが本物だということだけは、知っておいてほしかったんです)
しばらくして、Kaelian、火花、そしてNaeviaは再び馬車に乗り込み、Meyたちは三人が出発することに頷くが、Naeviaが言う。
「……待ってください。こんな風に来るとは思っていなかったので、冬用の外套がありません」
Raderが彼女に、大きな動物の毛皮で作られた分厚い白い外套を投げ渡す。
「こうなるかもしれないと思って、俺たちが一つ買っておいたのさ」
彼らは別れを告げ、Meyたちは歩いて遠ざかる一方、馬車はそのまま進み続ける。その間にも、Thylros高地の山々がますます近づき、その威容を増していくのが見える。
山のふもとに到着すると、三人は降りてRedjornに別れを告げる。
「気をつけて。Narysが君たちを守ってくれるように。ああ、Kaelian、渡した本に目を通すのを忘れないでくれよ」
「……ええと……うん、わかった」
待ち受ける長い道のりを前にして、歩き始めるほかなく、その道は完全に岩だらけで湿っており、急な上り下りがある上に、一部にはうっすらと雪が積もっていた。
二日後、標高の高さで空気が薄くなり始め、空は概ね暗闇に覆われているが、時折Narysでできたオーロラが空を駆け巡るのが見える。
火花が叫んだ。
「見てKael、すごく綺麗!」
これまで歩いてきた道中、KaelianとNaeviaはほとんど言葉を交わすことなく、常に一定の距離を保って歩いていたため、空気そのものよりも彼らの間の雰囲気のほうが居心地が悪かった。
Naeviaは常に顔を上げるのを避け、地面を見つめながら歩き、一歩踏み出すたびに考える。
(……十歳の子供に振られるなんて、情けない。恋に夢中になってばかりではなくなった今は、なんだかすごく変な気分だ。私は子供の体を持った大人の女で、別の子供に恋をしている。もっとも……Kaelianも同じ転生者だという事実のおかげで、そこまで悪い気はしないけれど……)
Naeviaは、自分が精神的にはKaelianより九歳年上であることを気にしてはいない。Arkhenarysでは、大人同士の年の差のある関係は問題視されないからだ。
彼女が気まずく感じているのは、RagnorysではKaelianがまだ子供と見なされていることだ。法的な成人は十二歳とされているため、彼女にとって、肉体年齢が同じであっても子供であるKaelianに恋をすることは悪いことなのだ。MeyやKaylaの場合は例外で、彼女たちはKaelianよりそれぞれ四歳と二歳年上であり、年齢の近い若者と見なされるためである。
「Naevia……」
「は、はい?」
「遅れないで」
数時間歩いた後、道中で男たちの集団に遭遇したが、盗賊のような見た目ではなかった。集団が立ち止まると、両脇からさらに多くの者が現れた。
いとも簡単に彼らを倒したものの、Naeviaは息を切らし、寒さに震えながら呼吸を整えようと膝に手をつく。
「大丈夫?」
「なんとか……どうしてあんたたち二人は平気なんですか?」
「僕と火花はVladmistの東部の出身だからね。体が標高に慣れてるんだ」
火花は倒れた男たちのポケットを探り始めたが、大したものは見つからなかった。
「すっごく貧乏な盗賊。おまけに弱いし」
「盗賊じゃないと思う。きっとフレイムの狩人だ」
彼らはNaeviaが歩けなくなるまで数キロ歩き続け、休むのが最善だと判断した。Kaelianは石のドームを作り上げ、その中で焚き火を起こした。周囲の環境のおかげで、ドームは岩場に紛れて簡単には見つからず、強風が焚き火の煙を隠してくれるだろう。
Kaelianが火花とNaeviaにスープの入ったお椀を渡すが、Naeviaは寒さで震え続けており、ほとんど食べられない。
「……目、目が凍ってしまいそうです」
Kaelianが火に少し薪をくべ、風の魔法を使って勢いづけると、途端にNaeviaの気分はずっと良くなり、ドームの内部に暖かさが広がる。
一週間後、気候はさらに冷え込み、彼らの歩みはますます遅くなっていた。その道中、狼や略奪者、さらにフレイムの狩人たち、そして時折、彼らの鞄を奪おうとする巨大な鷲にも襲われた。
Naeviaの心臓は早く脈打ち、暖を保とうと両腕を抱きしめる。
(この場所がどれほど危険かという話に嘘はなかった。今は安全に越えられる時期のはずなのに、他の季節にはどうなるのかなんて想像もしたくない)
Naeviaがつまずいて地面に倒れ込み、Kaelianと火花が様子を見るために振り返ると、彼女の足首が腫れ上がっていることにすぐに気づく。
「歩けそう?」
「はい……治せばいいだけですから」
彼女は治癒魔法を使うが腫れは引かず、立ち上がるのも非常に困難になったため、Kaelianは自分の荷物を火花に渡し、Naeviaを背負う。
「……Thylros高地には三つの立ち寄り先がある。最初の一つまでもうすぐだ」
Naeviaの顔は赤くなっているが、それが厳しい寒さのせいなのか、Kaelianとの距離が近いからなのかは定かではない。
(……ここ数日、ほんのいくつかの言葉しか交わしていない。私たちの間の距離がこれ以上広がるのを防ぐために……何かしないと。王宮では、誰にも話しかけられないまま何日も過ごすことに慣れていた。でも……そんなことがまた起きるのは嫌、もう二度とあんなことに慣れたくない。何か言わないと)
「……あまり重くないといいんですけど」
「……もっと重かったら、きっと寒さにももっと耐えられただろうね」
「そうですね……私、お荷物になっていますね……また」
「そうは思わない。僕と火花だけじゃ、あれだけのことは乗り越えられなかった」
「……」
「もうついてきたこと、後悔してる?」
「骨が痛むし、体の隅々まで冷え切っています……でも、していません」
「よかった。そのままでいてくれるといい」
数キロ進むと小さな村に到着し、まるで彼らの到着が一大行事であるかのように村人たちがじっと見つめてきた。それはほとんど起こらないことだったが、現実もまさしくその通りで、その村に旅人が訪れることはほとんどなかった。
彼らはあらゆる隅に蜘蛛の巣が張られた部屋のある古い宿屋に泊まらざるを得なくなった。中に入ると、一匹の蜘蛛がKaelianをじっと見つめ、噛みつこうと素早く飛びかかってきたが、Kaelianは難なく小さな炎の弾を撃ち込み、それからNaeviaを寝台に寝かせた。
数時間後、Naeviaを温めるために彼女の上に何枚も毛布をかけなければならなかった。火花は窓際にとどまり、曇ったガラスに色々なものを描いていた。一方、Kaelianは座ってRubyが置いていった本の一冊を読んでいた。読書に疲れて本を鞄にしまおうとしたとき、Kaylaの狼の形をした髪留めが目に入った。彼はそれをそっと手に取り、しばらく見つめていたが、やがて視線を落とし、深いため息をついてからしまった。




