少し聞いてもいいですか?
RubyとKaelianは一晩中勉強を続けた。Rubyは治癒の基礎を教え、まずは皮膚のような表層の組織から始め、薬と魔法の両方を使って軽い傷を治せるように説明した。ただ、Kaelianはまだ実践できる段階には至っていない。
(どうやら治癒魔法は、普通の魔法とそれほど仕組みが違うわけじゃないみたいだ。基本的には、傷がどうやって治るのかをイメージするだけ。でも、かなりの集中力と、治している組織についての幅広い知識が必要になる。まだまだ勉強することがたくさんあるな)
彼は本を手に部屋を出る。だが、廊下に出たところで、あのVladmistianの女性と出くわした。彼女は全身傷だらけだったが、Kaelianは血が目に入った途端、反射的に視線を逸らした。女性は何の反応も見せず、ただ立っている。
「あっ!」
Rubyが彼女に駆け寄り、両肩を掴む。
「……またなの」
「また? この人、誰?」
二人はRubyの部屋へ向かい、Rubyが彼女の全身の傷を治す。それから、ため息をついて答えた。
「彼女の名前はTea。あなたと同じVladmistralよ。だから、あの白い髪のことも知ってたの」
「どうしたの? すごく変な感じだけど」
「Kharだからよ。つまり、自我を持たない奴隷で、Findr夫人の命令に従うだけなの」
「……どうしてここにいるの?」
「うっかり両親の農場を焼いてしまったから、奴隷として売られたの。それから持ち主を転々として、Kharにされて……最後にはここに流れ着いたのよ。文句も言えないから、乱暴なお客さんほど彼女を好むの」
Rubyが女性の血を拭い、Kaelianはようやくその女性の顔を目にする。だが、その瞬間、視線を下げた。
「僕の母さんを……すごく思い出す」
「ああ……恋しいの?」
「うん……東の地で目的を果たしたら、すぐに母さんのところへ戻らなきゃいけない」
「早く会えるといいわね」
[注:Naeviaが赤ん坊だった頃、彼女をVladmistへ連れて行った者もまたKharだった]
***
ギルドに着いた時、Kaelianは完全に疲れ切っていた。本を机の上に置き、ベッドに横になる。だが、Naeviaはちょうど目を覚ましたところで、彼を見ると尋ねた。
「……おはよう。今帰ってきたの?」
「……うん」
「それなら、かなり大変な依頼だったのね」
「え?……ああ」
(Naeviaには任務があって、たぶん朝には戻るって言ったんだ。Rubyのことは話せない)
数時間後、Kaelianはピペットにキノコを入れ、弱い火で温めていた。Naeviaが後ろから近づいてくるが、何も言わない。
(……Kaelianはかなり静かだわ。特にあの女の子と出かけてから。胸の近くに、女性の手の形をしたアレルギーの跡があるのも見えた……遺産が誤解だと説明してくれるまで、最悪のことを考えてしまったわ)
Naeviaは咳払いをして、彼に話しかける。
「Kael……前に言ったか分からないけど……ポーションのために、あんなにたくさん買わせちゃってごめんなさい」
「気にしないで。必要なものだったから。それに、これだけ道具があれば赤いキノコのポーションを完成させられるよ」
「わ、私も……手伝ってもいい?」
「そうだな。まだ幻覚成分と睡眠成分を分離できてないんだ」
Naeviaは彼から数センチのところまで近づく。少し頬を赤らめているが、緊張と一緒にそれを隠そうとしている。
「た、試して……温度を上げて、泡が出るくらいになったら、そのまま保ってみて。管の中で凝縮するはずよ。それから同じ工程を繰り返せば、成分を分離できるわ。ただ、焦がさないように気をつけてね」
「僕がいない間、これを任せてもいいかな。火花と訓練に行かなきゃいけないんだ」
(……これで一緒に過ごせると思ってたのに……でも、上手くやれたら、Kaelianが少しくらい私に恋してくれるかもしれないわ)
「うん! 任せて」
草原で、Kaelianは火花に自分が発明した新しい攻撃を教える。彼女は岩を端から端まで貫通させたのを見て、目を輝かせた。
「うわぁぁ! すごーい! もう一回やって!」
さらに数回実演した後、火花は拳を握りしめて言った。
「すぐに私も新しい攻撃を手に入れるから、見ててよね!」
「楽しみにしてるよ」
遺産が言う。
(私が願うのは、その攻撃が食料庫に向けられないことだけね)
しばらくして、Kaelianは手の中に火球を作り出す。
(黒曜石を作るには、もっと高い温度が必要だ。そうじゃないと、完成するまで永遠にかかる。でも今なら、火の攻撃にもっと多くの酸素を加えられる。これなら温度が上がるはずだ)
Kaelianは球体に酸素を注入することに集中する。火球は何度も揺らめき、何度も試すうちに黄色から白へと色が変わったが、その状態はほんの一瞬しか続かなかった。
(まだまだ練習が必要だけど……少なくとも成功した)
数時間後、Kaelianは火花と一緒にギルドへ戻ったが、彼はそのまま広間に残り、依頼掲示板に目を通した。
(Rubyともっと多くの夜を過ごすために金を払えるようにするには、もっと働かなきゃな)
銀ランクの依頼を二つ、銅ランクの依頼を一つ受ける。まず銅ランクの依頼を終わらせ、次に最初の銀ランクの依頼先へ向かった。それを終えると、強い日差しの下を歩いて帰る。腕にはいくつか傷ができていた。
自分の腕を調べながら歩き、左腕に触れないように右手をかざして、傷口へ向けてNarysを広げ始める。
(練習するにはいい機会だ)
何も起こらず、傷が治っている感覚もない。Kaelianは目を閉じ、さらに集中し、傷そのものと、それをどう治すかを完全に思い浮かべる。だが、前を見ていなかったせいで足を取られ、地面に倒れた。
(……まだまだ、もっと……もっと練習が必要だ)
最後の依頼を終えると、報酬を受け取るためにギルドへ戻る。完全に疲れ切っており、かろうじて立っている状態だった。Glaesが尋ねる。
「あの女の子とのデートはどうだった?」
「かなり良かったよ。ちょっと変わってるけどね」
「へへ、あの子を祭りに誘ってみたら?」
「何の祭り?」
「Edheralでは、季節ごとの最後の週に、その季節を送り、次の季節を迎えるための祭りを開くんだ。かなり楽しいぞ。そこら中に食べ物があって、ビールもあるし、音楽や踊りもある。それに今回は、偉大な英雄Thylrosを記念する劇も上演されるんだ」
(さっきの飾り付けはそういうことだったのか)
Glaesは笑って言った。
「あの子を誘ってみるといい。……それか、Naeviaでもいいけど。へへ」
「そうするかは分からないけど、覚えておくよ」
階段を上りながら、遺産が言う。
(Glaesの言う通りね。行くべきよ。当然、Naeviaと一緒にね)
扉を開けると、Naeviaがスープを作っていた。
「おかえりなさい! ずいぶん遅かったから、夕食を作ろうと思ったの」
「おお、ありがとう」
二人は床に座って食べ始めた。火花はスープを一口飲むと、耳を伏せて言った。
「あんたの料理には何も期待してなかったけど……」
「それで……?」
「何でもない。正直、最初から何も期待してなかったの。Naeviaが料理上手になるっていう期待は、もうとっくに捨てたよ」
Kaelianもスープを口にする。少し味が薄いが、食べられないほどではない。
「全然悪くないよ。僕は好きだな」
Naeviaは顔を赤らめて尋ねる。
「ほ、本当に!?」
「もちろん!」
火花が身を乗り出して叫ぶ。
「嘘つかないで! 本当だって思っちゃうでしょ!」
食べ終わると、Naeviaは立ち上がり、机の上から三つの小さな小瓶を取った。どれもポケットに入るほど小さい。
「そうだ、幻覚成分と睡眠成分を分離できたわ。これで、もう興奮剤と組み合わせる必要はないわよ」
「はは、いい仕事だね。でも……なんでこんなに小さいんだ?」
「水分の大部分を取り除いて、必要な量を濃縮したの」
「おお、はは! あんたは最高だよ。本当にありがとう、Naevia!」
彼女は膝の上で両手を重ね、彼の目を見ようとしながら微笑む。
「へへ、何でもないわ。好きなことを頼んでいいのよ。でも、正直なところ、そのポーションの効果にはあまり自信がないから、試すのはもう少し待った方がいいわ」
「分かった。緊急の時だけ使うことにするよ。そんなことがすぐに起きないことを願うけど」
遺産はNaeviaにだけ語りかける。
(上出来ね、お姫様。あなたは一歩先んじたと思うわ。私が競争相手を牽制している間なら、あなたにも十分チャンスがあると思うわ)
他の者たちが眠る中、Kaelianは机に残り、Rubyから借りた本を読んでいた。月明かりが本の半分と彼の白い髪を照らし、蝋燭の揺らめく光が残りの半分を照らしている。
Kaelianは大きくあくびをして両腕を伸ばし、それから机に肘をついた。目の下にはすでに隈が浮かび始めている。だが、その静寂を利用して、遺産が問いかけた。
(ねえ……Naeviaのこと……どう思ってるの?)
彼は目を大きく見開き、本から視線を外して後ろを振り向く。Naeviaはベッドで穏やかに眠っていた。
(そ、そんな質問するのかよ?)
(ごく普通の質問よ)
彼は再び本に目を戻して読もうとするが、遺産はなおも問いかける。
(ほら、答えて)
(えっと……すごくいい友達だし、すごく大切に思ってる。でも、それはもう知ってるだろ。僕の心の中にいるんだから、どうしてそんなことを聞くのか分からないよ)
(私の聞き方が悪かったわ。知りたいのは、彼女に対して何を感じているのかよ)
Kaelianは机に肘をつき、両手のひらに頭を乗せる。
(いろいろあると思う。尊敬、感謝、敬意、愛情、それに……ある意味では、献身さえ感じてると思う)
(……ああ、悪くないわ。まあ、今はこれで十分ね。勉強の邪魔をするのはやめておくわ)
遺産の声はKaelianの心から消えるが、Naeviaの心の中に現れた。彼女は実際には眠ったふりをしていたのだ。遺産からKaelianの答えを聞かされたNaeviaは、喜びで震えるのを抑えられなかった。
(そ、それ全部!?)
(ええ! あなたには十分チャンスがあるわ。私の計画なら、彼を恋に落とすのはかなり簡単になるわよ)
Naeviaが震えていることに気づくと、Kaelianは椅子から立ち上がり、そっと近づいて毛布を直してやる。そのせいでNaeviaの鼓動が激しくなり、緊張も一気に高まった。彼女は唇をきつく結び、舌を噛んで平静を取り戻そうとする。
朝になると、三人は銀ランクの依頼をこなすために出かけた。ギルドへ戻ると、一人の男がRedjornと言い争っているところに出くわした。
「できるだけ早く土魔法使いを一人見つけてくれ。何週間も前から募集を出しているのに、いまだに見つからない。Redjorn、君がなんとかしてくれ」
「グルル、もう何人か若い連中を送り込んだだろう。いい加減にしろ。あなたの頼みは無理なんだ」
「そいつらは演技もできないし、ましてや土魔法をまともに使うこともできない」
一行が入ってきたのを見ると、Redjornは身を乗り出し、笑みを浮かべて彼らの方を指差した。
「喚くのはやめろ。もう適任者は見つかってる」
部屋にいた全員がKaelianの方を振り向く。Kaelianはその瞬間に固まり、男は笑みを浮かべて近くへ来るよう手招きする。だがKaelianはゆっくりと後ろを振り向き、自分の後ろに誰かいるのか確かめる。そこには誰もいなかった。
「君だ」
Kaelianは自分を指差し、困惑したように首を傾げる。
「そう、君だ。こっちへ来い」
Kaelianが近づくと、男はしゃがみ込み、彼の肩を掴んだ。
「年はいくつだ?」
「十歳です」
「土魔法のレベルは?」
「上級……」
「完璧だ! 君が適任者だ」
Naeviaが近づいて尋ねる。
「す、すみません……何のための適任者なんですか?」
「私はずっと、俺の劇で偉大な英雄Thylrosの若い頃を演じる役者を探していたんだ。何千人もの人が見に来るんだぞ!」
男が拍手を始めると、ギルドにいた他の者たちもそれに続いた。火花まで、ただ周りに合わせて拍手している。
「……え、何? 僕は役者じゃないし、それに、そんな話は引き受けてないよ」
「それは問題じゃない。君なら上手くやれると分かっている……それに、君が俺の唯一の希望なんだ」
「ぐ、群衆は苦手なんだ。できるとは思えない……」
「金貨一枚で払おう」
「僕は何をすればいいの!?」
***
しばらくして、Edheralの中央広場に設置された舞台の裏。内部が見えないよう布で囲われたその場所で、Kaelianは先ほどの男と話していた。男は劇の監督らしく、Naeviaと火花は近くに座ってその様子を見ていた。
(……金のためなら何でも頼まれたことをやってしまうのは、そろそろ直さないとな。これはものすごく恥ずかしいことになりそうだ。でも、僕がThylrosを演じたって知ったら、Lioraは羨ましがって死にそうだな。へへ。まあ、生きて帰れたらの話だけど)
監督は腕を組んで言う。
「さて……残された時間が少ないから、練習しないとな」
「それで、どれくらいあるの?」
「……今日を入れて、三日半だ」
「それは短すぎるよ。どうやって劇を全部覚えて、練習までしろっていうのさ?」
「大丈夫だ。それに君が覚えるのは劇の半分だけだ。残りの半分は大人のThylrosを演じる役者の仕事だからな」
「……それでも難しいよ」
「これを聞けば少しは安心するかもしれないが、大人のThylrosを演じる役者はRaemelから来るんだ。今日着いたばかりだから……条件は君と同じだよ」
(……この劇、間違いなく大惨事になるな。最初から失敗する覚悟をしておいた方がよさそうだ)
一人の男が幕の向こうから現れ、Kaelianの方へ歩いてくる。数秒間じっと彼の顔を見た後、声を上げた。
「え? へへへ! Bakaelian!?」
その声を聞いた瞬間、Kaelianの血の気が引いた。心臓が激しく鼓動し、呼吸も速くなり、瞳孔が極限まで収縮する。耳の奥では甲高い音が激しく鳴り響き、彼は荒い息を吐き始めた。
監督が言う。
「ようやくおいでになりましたか。お会いできて光栄です、Fanomyrさん」
遺産でさえ一瞬言葉を失ったが、やがて口を開く。
(Urse?……くそ、あのクソ野郎……)
Urseは髪に手をやりながら言う。
「へへ、間違いなくお前だな。髪も目も違って見えるが、その女みたいな顔はどこにいても分かるぜ」
Naeviaは拳を強く握りしめ、眉をひそめる。一方、火花は全身の筋肉を強張らせ、尻尾を逆立て、怒りに鼻を鳴らした。




