Rubyの夜
ピンク角館で、Rubyは自室の机に肘をついている。窓から差し込む太陽の光はわずかで、部屋には燃え尽きた蝋燭の匂いが漂っている。
一房の髪が目にかかるが、彼女はそれをそっと払いのけ、椅子の背もたれに身を預け、天井を見上げながらため息をつく。
誰かが扉を叩く音が聞こえる。
「Kael、入って!」
彼は静かに部屋に入り、背後の扉を閉める。目を閉じると髪が白く変わり、目を開けた時には瞳がピンク色になっている。
「おはよう、Ruby。何してるの?」
彼女は振り返り、笑顔で挨拶する。
「ずいぶん早いじゃない。どうしたのかな?」
彼は机に近づいて答える。
「君と話さなきゃいけないんだ。忙しい?」
「そうね、勉強中よ」
「あ、今は何の勉強をしてるの?」
Rubyは両手で本を取り、彼に見せる。彼の目は丸く開き、少し顔を赤らめる。本には寝台での親密な体位を描いた挿絵が載っている。
「べ、勉強してるんじゃなかったの!?」
彼女は本を閉じ、再び机の上に置く。
「ええ、そうしてるわよ! ランク昇格試験のための勉強をしているの」
「ランク昇格?」
「ああ、そうね、私の仕事のことについてあまり話してなかったわね。娼館のギルドでは、娼婦には三つのランクがあるの。貴族、王女、それから女王よ」
「一番下が貴族? 僕は平民みたいなものだと思ってたよ」
「それは街角で働く子たちの非公式なランクね。ランクが高いほど、彼女たちとの一夜はより高額になるの」
Kaelianはかなり気まずそうな顔をして、視線を逸らした。
「それで……君はどのランクなの?」
「私は王女よ。数週間後に女王ランクの試験を受けるの、かなり複雑でね。街全体でも女王は四人しかいないの。ちなみに、この館にはそのうちの二人がいて、私のお母さんもその一人よ」
「ええっ! Casandraが?……まあ、すごく綺麗だから、ありえると思うよ」
Rubyは目を細め、彼の方へ身を乗り出す。
「ええ、分かってるわ。でも、私の前でそんなこと言わないで!」
「ああっ、ごめん!」
「せめて私にも何か素敵なことを言ってよ」
「ええっと……君も綺麗だよ」
「どーもありがとう。あなたもね、ふふっ」
Kaelianは視線を外し、Rubyは少しの間微笑む。
「話を戻すけど、彼女と一晩寝るには少なくとも金貨三枚かかるわ」
(金貨三枚?……最近知ったんだけど、Edheralは大都市だから日給が高くて、八Escáなんだ。ってことは……)
「金貨一枚が五百四Escáだから、Casandraは……それで千五百十二Escáも取るんだね」
「あー、うん。計算が早いね、弟くん」
「それはEdheralの住人の年収の半分より少し多い。彼女がそんなに稼いでるなんて信じられないよ」
「実際は違うわ、私たちがもらえるのはそのお金の一部だけで、大半は館のものになるの」
「あああ、それで……どうして女王になりたいんだ?」
「えっとね……女王との一夜に支払える人はごくわずかだから、最も裕福で権力のある男たちのために予約されているの。だから、もっと少ない人数で、より権力のある男たちと寝ればいいってこと」
Kaelianの眼差しが少し暗くなる。
(すごく理にかなってる。彼女の呪いは、Narysを吸収するために男たちと寝る必要があるんだ。裕福な人ほど権力があることが多い。相手の数を減らして質を上げれば、次にまたそうするまでの間隔をずっと長くできる)
彼は視線を上げ、Rubyを真っ直ぐに見る。
(でも、なぜか彼女がそのことを話すのを聞いていると、胸の奥にひどい不快感を覚える。こんな感覚は今まで感じたことがない)
「……ああ、その……達成できるといいね」
「そう願っているわ。試験では特別な招待客を相手にするの。合格するには、夜が終わるまでに二万Escá集める必要があるわ」
(もう聞き続けたくないと思う)
Rubyは目を閉じ、続ける。
「それに競争相手もいるわ。会話が上手なのも仕事の大事な条件だから、舌をたくさん使わなきゃいけないの……いろんな意味で」
Kaelianは拳を握りしめて言う。
「話題を変えても……いいかな?」
「あら、もちろん。何か言うつもりだったんでしょ?」
二人は寝台に座り、Kaelianは自分の考えを詳しく説明し、彼女は注意深く聞いて尋ねる。
「……それじゃあ……私に治癒魔法の使い方を教えてほしいってこと?」
「うん。誰も僕を治せないんだ、あるいは少なくとも僕に意識がある間はね。だから僕が自分でやる方法を学ぶのが一番良いんだ」
「分かるわ、でも……どうして私に頼むの?」
「かなり複雑な分野だとは知ってる。本だけを使っていたら学ぶのにすごく時間がかかるだろうけど、先生がいればもっと早く進めるから」
「ええ……あなたの言う通りだと思うわ」
「それじゃあ……教えてくれる?」
彼女は頬に指をやりながら唇を噛み、それから数秒間目を閉じ、答えるために姿勢を整える。
「……できないわ、ごめんなさい」
Kaelianはそれを聞いて驚いた。明らかに、彼女からそんな答えが返ってくるとは思っていなかった。目を大きく見開いて尋ねる。
「で、できない? その、理由を聞いてもいいかな?」
「時間がないからよ」
(くそ……Lioraは、僕が彼女の先生になるのを断るたびに、こんな気持ちだったのか)
(いい気分じゃないよね?)
「で、でも、毎日の午後、君の自由時間には一緒にいるじゃないか。時間がないなんて言えないよ」
「うーん、その通りよ。私の自由時間、あなたと一緒にいるためだけに使っている時間で、何にも代えられないわ」
「でも……どっちみち一緒にいることにはなるよ」
「同じではないわ。あなたと遊んだりおしゃべりしたりするのが好きだけど、先生としてならそれはできないでしょう」
遺産が言う。
(これ以上主張するのはやめなさい、彼女の言う通りよ、自分の時間は自分の好きなように使えるわ。代わりにNaeviaに頼んでみたらどう? さらに一緒に過ごす時間も増えるでしょうし)
(Naeviaはもう僕のためにたくさんしてくれている、そんなこと頼めないよ。それに医学についての本も持っていないし)
Casandraが部屋に入ってきてKaelianに挨拶し、片手を腰に当てる。
「Ruby、今日は重要なお客さんがいるわ。試験の練習として役立つわよ」
「ああ……分かったわ、お母さん」
Kaelianは拳を握りしめ、視線を逸らした。Rubyは母親を見ていて気づかなかったが、Casandraはそれに気づき、目を細めて何かを見極めようとするように顔を上げた。
Kaelianは立ち上がって言う。
「えっと……もう行かなきゃ、また後でね」
部屋を出ると、CasandraはAmbarian語で尋ねる。
「うーん、あなたたち二人の間に何かあるの?」
「ううん、全く何もないわ」
Casandraはまぶたをさらに閉じ、Rubyは答える。
「そんな目で見ないで。目を開けてよ」
「目を開けるべきなのはあなたの方よ」
「何の話をしているのか全く分からないわ」
彼女は近づいてRubyの顔を取り、身をかがめながら彼女の目を直接見つめる。
「そうなの?……それともまだ自分で気づいていないのかしら?」
「何に気づくって?」
「Kaelはあなたのことをかなり大切に思っているみたいね、よく来るし。彼に何もしてないわよね?」
「もちろんしてないわ」
「いいわ、ちゃんと距離を保てることを願うわ」
彼女は部屋を出ていくが、Rubyは苦い表情を浮かべ、手元を見つめている。
数時間後、Rubyは自室で化粧をしていた。終えると白い手袋をはめ、一階へと降りていく。階段を下りている途中で叫び声が聞こえ、様子を見に行くと、娼館の女主人である老女Findrが、店で働く人間の女性の一人を叱りつけていた。
「馬鹿者! あれは大事なお客さんだったんだよ。どうして噛みついたりしたんだい!?」
「痛いって言ったのに聞いてくれなかったんです! 他にどうしようもなかったんです!」
「少しくらい痛みに耐えられないのかい、この馬鹿!」
彼女は杖を振り上げ、女性の頭を殴りつける。血が流れ、女性は痛みに歯を食いしばって頭を覆った。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「もう二度と繰り返すんじゃないよ。もう一度でも苦情が来たら、店から追い出すからね。店の評判を汚すことは絶対に許さないよ! 分かったかい!?」
「は、はい、Findrさん」
部屋の一つで、Rubyは女性の傷を治していた。
「これでよし。もうすっかり元通りよ」
「Ruby、あなたって本当に優しいわ。あなたがいなかったら、私たちどうしていたか分からないわ」
「そんなこと言わないで。全部あの忌々しい魔女のせいよ」
「ええ、女王の試験が近づくたびに、どんどん暴力的になるのよ。女王が二人もいるだけじゃ足りないみたいね」
「人によっては、『十分』なんて言葉は存在しないのよ」
「……ええ、そうね。改めてありがとう。もうすぐ別のお客さんが来るから」
Rubyが部屋を出ると、白い髪にピンク色の瞳をした女性とぶつかった。長い白いドレスを着た女性は、何も言わず、表情も変えないまま、男と手をつないで別の部屋へ入っていく。
(今回は、あまり彼女を傷つけないといいけど……かわいそうに)
腕に引っかき傷を負ったAmbarianの女性がRubyのもとへやって来る。Rubyはため息をつき、彼女を自室で治療する。女性が出ていった後、Rubyはベッドに横になり、両腕で顔を覆った。
(今日の午後、Kaelianは戻ってこなかった。教えるのを断ったことが、だんだん申し訳なく感じてきたけど……本当に彼と一緒に過ごす時間が好き。たぶん、好きすぎるくらいに。私たちが一緒にいられる時間は限られている。彼は二ヶ月ほどしたら、父親に関わる何かを探すために東の地へ旅立つと私たちに話していた。それはとても重要なことで、危険なことでもあるみたい。だから、一緒に過ごす時間を思い出に残るものにしたい。でも、それが本当に一番いいことなのか、もう分からなくなってきた)
Rubyは両手を胸に当て、重いため息をつく。
「彼が行ってしまうことを考えると……胸の中にぽっかり穴が開いたみたい。でも、一緒にいる時は……その逆なの」
目を閉じながらかすかに微笑むが、突然扉が開き、一人のAmbarianが声をかけてきた。
「Findrさんが、最初のお客さんがもう来たって」
「あっ……うん、今行くわ!」
一階に下りると、Rubyは小さな部屋へ入った。中にはベッドと机が一つあるだけで、数本の蝋燭が部屋を薄暗く照らしている。Rubyはベッドに座り、視線を落として指を絡ませながら考える。
(……心の底から、この仕事が本当に嫌い。何もかも我慢しなきゃいけない。汗だくの冒険者、変な趣味を持つ貴族、それに剣より腹の方が大きい金持ちの男たち)
Rubyはシーツを強く握りしめ、歯を食いしばる。
(本当に嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い!)
扉がノックもなく開き、一人の男が入ってくる。Rubyは目を細めて微笑み、ベッドに肘をついて後ろへ寄りかかりながら言った。
「いらっしゃいませ!」
しばらくして、Rubyは一人でベッドに座っていた。扉が閉まると、Rubyは服を着始める。
(……毎晩、同じクソみたいなことの繰り返し。こんなにも屈辱的。生き延びることの次に、快楽は自然界で最も低い本能。その最も原始的な本能が、別の人間の最も低い本能に依存するなんて、ただただ屈辱的でしかない)
服を着終えると、シーツを整え、部屋の中を片付け、再び指を組んで座る。
(……私がしていることには、本当の価値なんてない。だから……男たちが私に価値があると思ってくれる以上に、私には何の価値もないんだ……)
別の男が部屋に入ってくる。Rubyは仕事上の笑顔を浮かべるが、心の中では思う。
(……少なくとも、前はそう思ってた。女の子たちはよく私に助けを求めてくるし……Kaelianは私を本当の治癒師だと認めてくれている。彼のおかげで、少なくとも少しの間は、私はこれ以上の存在になれるんじゃないかと思える)
***
翌日、KaelianはRubyの家に姿を見せなかった。夜になると、FindrがRubyのもとへやって来て言った。
「誰かがあんたの一晩分を丸ごと払ったよ。長い夜になりそうだね」
(一晩中?……最初のBariの後に眠ってしまうような馬鹿だといいんだけど)
Rubyは頷いて小さな部屋へ向かった。そこで膝の上に手を置いて待ち、誰かが入る前に扉を叩く音が聞こえると、髪を慎重に整えた。
その瞬間、彼女の瞳孔が大きく開き、言葉では言い表せないほど強烈な感情が胸を満たした。
(……も、もしかして……?)
Kaelianが入ってきて背後の扉を閉める。Rubyは口を開けたまま、そこから一つの音さえ出せなかった。
「こ、こんにちは、Ruby……」
信じられないというように、Rubyは首を傾げる。
「Ka、Kaelian……あなたが……お客さんなの?」
「たぶんね……」
「そ、そもそも……勃つの?」
彼はすぐに顔を赤くして言った。
「僕はそういう客じゃないよ!」
「違うの?……じゃあ……あれは望んでないの? こ、ここで何してるの?」
「君は僕の先生になる時間がないって言っただろ。だから……君の時間を買えるんじゃないかと思ったんだ。ちなみに、君は決して安くないけどね……」
Rubyの心臓は激しく鼓動し続け、呼吸も乱れていた。
(! 一瞬、そういう意味かと思っちゃった……い、いや、そのことは考えない方がいいわ!)
「……あなたがこんなことするなんて信じられないわ。心臓が飛び出るかと思ったじゃない」
「あ、そう? どうして?」
Rubyは視線を逸らし、ピンク色の肌がさらに赤くなる。
「なんでもないわ……」
「それじゃあ……僕の先生になることを引き受けてくれる?」
「もちろん。喜んで引き受けるわ。それに、私の本も貸してあげる」
「本当にありがとう!」
Rubyは笑顔でKaelianの方へ身を乗り出す。
「私のお客さんでいる間は、あなたの言うことを聞かなきゃいけないわね。ふふっ。解剖学を教えてほしい? 必要なら服を脱いで、あなたの参考になってあげるわよ」
「Ruby!!」
「あははは! 嫌なの? 残念ね。じゃあ、本を取ってくるわ」
Rubyは部屋を出るが、扉を閉める前に顔だけ覗かせてKaelianを見る。
(断言できるわ。お客さんの相手を楽しめるのは、これが初めてだって)




