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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第86話

第86話 ヘリオス爆誕


 ルシファーの作った蟲毒のなかでは、ヘリオスと名乗る魂が、ほかの魂を吸収していた。

存在理由への苦悩を感じながら、日々を過ごしていたヘリオスは、蟲毒の中からでることにした。

 奈落の底にある真っ暗な底から這い出るのは容易ではなかった。

 目に見えないとてつもない圧力によって、飛び上がることも壁を上ることもできなかった。

 吸い込まれるように魂がどんどん降りてくるのは、この見えない圧力のせいだったのかもしれない。

 ルシファーは、魂を閉じ込めておくために蟲毒を作った。

 その魂が外に漏れださないように返しとなっている目に見えない圧力は、ルシファーが存在しなくなった今でも強く働いている。

 

 「・・・。」

 

 ヘリオスは、蟲毒の底から上を見上げていた。小さく光る点が目指す場所だということは理解していたが、この強大な圧力の前になすすべがなかった。

 その間もほかの魂と戦い吸収し続けるヘリオス。

 強さという物差しすらも自分で図ることができないほど孤立していたある日のことだった。

 

 ヘリオスは、蟲毒のそこから光のほうへ手を伸ばした。

 すると、その光はどんどん大きくなり、伸ばした手は蟲毒の穴の淵を掴んでいた。

 それをよじ登ると、闘技場のような形をした場所に出た。


 「・・・。」

 

 辺りを見回すヘリオス。闘技場以外何もないが、穴の中へひっきりなしに魂が吸い込まれていくのが分かった。

 自分はこの穴のそこで生まれた。しかし、もうここに用はない。

 破壊すべきだとヘリオスは考えた。そして、ヘリオスは、穴の中へ自分の中から生み出した黒い塊を放り込んだ。


 「魂の解放(リベレーション・オブ・ザ・ソウル)


膨大なエネルギーは、蟲毒を粉々に破壊した。

蟲毒の底まで届きそうな巨大なクレーターは、地獄全体を揺さぶった。



「何ですか!?これは!全悪魔!地獄で異変発生!原因を見つけ出しすぐに対処するように!」

地獄の管理人であるクロムウェルが大慌てで、悪魔たちに指示を出した。

 悪魔たちは地獄の中を飛び回り、異変がないか確認している。

 クロムウェルも地獄内を駆け回り、異変を見つけようとしていた。

 地獄の表層ではなにも異変がない。地獄全体を揺らすほどのエネルギーと言えば、地獄の底だと、クロムウェルは気づいた。


 「全悪魔に告ぐ。異変は地獄の最下層で起きている。すぐさま向かえ!」

 

 大量の影の渦になった悪魔たちが、下層へ向かって降りていく。

 最下層に降りたクロムウェルの目の前に現れたのは、頭が光る球体で、細身の白い体。明らかに悪魔ではない装いであった。

 異様なオーラをまとい、明らかにこの世の理に反していると察知したクロムウェルは、悪魔たちに命じた。

 

 「全員でアイツを倒せ!」


 大量の悪魔が集合体となり、黒い渦を作り出し、ヘリオスへ向かって突撃した。

 魔法でも死なず、物理攻撃も聞かない悪魔の物量による攻撃は、ヘリオスを押しつぶすはずだった。

 

 「マクロコスモス」

 

 ぼそっと一言漏れた言葉が、悪魔の渦にかき消された瞬間、大量の悪魔がパッと姿を消した。

 一瞬にして地獄から消失した。

 ほかの悪魔が驚愕していると、次々と悪魔たちが消失していく。

 クロムウェルが大声で悪魔たちに命令した時だった。


 「何をしている!やつを取り押さえろ!」

 

クロムウェルは、地獄ではなく古ぼけた家の一部屋にいた。


「・・・ん?ここは!?」


自分を呼び出したのは、ルシファーを倒したフィルだった。

今はそんなことをしている場合ではないと思いながらもどうすることもできない状態だった。


フィルは取引がしたいようだった。

そんな時間はない。しかし、フィルを利用すればアイツを倒せるのではと閃いた。

魂の修復方法?パッとは思いつかないが、とりあえずアイツをどうにかしなければという気持ちで了承し、そして取引をした。

「・・・わかりました。なんとかしましょう。では、悪魔からの取引です。今地獄にいるアイツを早急に葬ってください。」


フィルはあの強大なオーラを放つアイツを見ていないからそんな呑気な顔ができるんだと、クロムウェルは少しイラついた。


「とにかく地獄へ来てください!そうしないと・・・。」


クロムウェルは、地獄に戻っていた。

そして、ヘリオスの目の前に。

目も口も鼻も何もないその球体の顔は、どこを見ているのかわからない。


「ここから出たい。」

「は?」

「・・・。」

「こ、ここは地獄という場所です。地獄の門が開かない限り外に出ることはできません。」

「じゃあ、門まで案内して。」

「・・・。わ、わかりました。」


押しつぶされそうな重厚なオーラに充てられ、汗が止まらない。

ルシファーとは違う異質なオーラは、邪悪さ、善良さ、そのどちらにも属しておらず、質量のある無といった方がいいほどだった。


『とにかく遠回りで行くしかない・・・。フィル様頼みますよ・・・。』



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