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第9話 聖画

放課後、豊心君がパニス・クアドラトゥスを拝みながら考え事をしている。


「豊心君どうしたの?」


「うん。もっとこういろいろ装飾したいと思って」


「えっ?これ以上増やすの?」


「もちろんだ。パンをなんだと思っている」


「食べ物でしょ」


「もっと崇高なものだ。人類の宝であり、人類の救済者だ」


「まあ食べ物だからね。で、今日のパンは?」


「今日は装飾について考えたいんだ」


「そんなあ」


「それで何が必要なの?」と真奈美さん。


「そうだなあ絵かな。何枚か欲しい」


「じゃあ美術部に頼みましょうか」と真奈美さんが先導し美術部へ向かう。


「友久なにしてる。遅いぞ」と豊心君。


僕も行く必要あるんですかね?


美術室に行くと、美術教師と部活の生徒がデッサンなどをしている。


そこに真奈美さんと豊心君がなにやら話をしている。


教師と部員が困惑している。


なんの話をしているのだろう。


パンの絵を描いてもらうのだろうか。


しばらくすると話がまとまったみたいだ。


部室に戻ってきた豊心君がご機嫌になっている。


一体なにを描いてもらうのだろうか。


そしてさらにネットで注文も始めた。


パンの材料だろうか。


僕はあまり気にせず、今日パンを作らないことが不満だった。


2日後ネットで注文した荷物が届いた。


豊心君が開封して組み立てる。


台みたいなものに皿を置く。


これって供物台(くもつだい)だよな……


豊心君はさっそく皿にクロワッサンを置き、祈りを始める。


注文したのこれかよ。


僕は祈りなんかしないからな。


豊心君は毎日お供えのパンを替えている。


そこはえらいと思ってしまった。


それからはいつも通りパンを作っては食べる日々が続いた。


そして豊心君がと真奈美さんが美術して行ってから2週間が過ぎた。


美術部の先生がやってきて、絵が完成したという。


僕はすっかりそのことを忘れていた。


豊心君が喜んで美術室に行く。


そこには驚きの光景が。


・パンの神 光り輝く巨大な食パンを抱く神


・パンを囲む者たち 大きなパンを中央に置き、信徒たちが輪になって祈る


・焼成の光 焼き上がったパンを人物が両手で掲げる


・最初のパン 神が人類に初めてパンを授けた場面


4枚の絵があった。


なんじゃこりゃ。


豊心君は1人1人に握手をしている。


さっそく部室に行き、飾ることになった。


炭化したパンを祀る祭壇に供物台に怪しい絵が4枚。


パン教怖い。


ここ家庭科室だよね?


こうして部室は更なる進化を遂げたのである。

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