第10話 世界一の朝ごはん
豊心君は供物台に今日のパンを置く。
そして祈りを捧げている。
4枚の宗教画に囲まれながら。
学校のみなさん。
家庭科室はもうだめです。
新しい家庭科室を別の場所に作ることを強くお勧めいたします。
そんなことを思っていると、「今日はパン・コン・チチャロンを作るぞ」と豊心君が言う。
「パン・コン・チャチャ……」
「チチャロンだ」
「それってどんなの?」
「南米ペルーのサンドイッチだ。これは2025年のMundial de Desayunos(世界の朝食大会)で優勝したのだ」
「つまり?」
「世界一の朝ごはんだ!」
「おお!なんかすごい」
「早くそれを作りなさい」と真奈美さんも食い付いた。
「では早速」と豊心君が言い準備を始める。
まずはバンズになるパン・フランセスを作る。
中力粉をベースにドライイーストやショートニングなども加えていく。
一次・二次と発酵させて焼く。
普通のハンバーガーバンズより、小型のフランスパン寄りのものが完成した。
そして次は具材だ。
パン・フランセス+チチャロン+カモテ・フリート(サツマイモ)+サルサ・クリオージャの組み合わせ。
チチャロンは、皮付き豚バラ肉を水を入れた鍋に入れ、塩、にんにく、玉ねぎ、しょうが、ローリエ、黒こしょうを入れる。
水分がほぼなくなったら、豚肉から出た脂で焼いて切る。
カモテ・フリートは、サツマイモは皮をむいて、5〜8mm程度の輪切りまたは半月切りにし、油で揚げる。
サルサ・クリオージャは、赤玉ねぎをかなり細い千切りにし、アヒ・リモを細切りにする。
玉ねぎ、唐辛子、レモン汁、塩、黒こしょう、パクチーを合わせる。
パン・フランセスを横に切り、カモテ・フリート、チチャロン、サルサ・クリオージャの順番で入れて完成。
なんかすごいボリュームのが出来た。
豊心君はやりきった感を出し、満足そうだ。
「では食べま」と言いかけたところで、すでに真奈美さんが食べ始めていた。
「油と甘さと酸っぱさと辛さが一気にきてすごい」と真奈美さん。
僕も食べ始める。
豚肉、さつまいも、玉ねぎが組み合わさり、とても印象深い味だ。
世界一やべえ。
3人が食べ終わると、豊心君が言い出した。
「もうすぐ夏休みだけど、どうする?」
「部室でいつも通り作ればいいのでは」と僕が言う。
「それもいいけど、合宿でもしますか」と真奈美さん。
「合宿?」と僕と豊心君が同時に言う。
「うちの別荘でパン作りでも」
豊心君は喜んでいる。
「別荘ってどこなんです?」と僕が聞く。
「そうねえ。軽井沢にでもしますか」
「そこで何を?」
「朝から晩までパン作りでいいんじゃない。そしてたまに散歩」
それってこことあまり変わりないのではと僕は思った。
でもどこかに行くというのは良いかもしれない。
僕も少しパン作りを覚えたいかなと思った。




