第61話 イタリア・秘境パン探検ツアー(聖人ビアージョのパン)
レンタカーで一旦ジェノヴァへ向かった。
ここで泊る為である。
ジェノヴァはイタリアの大きな港町である。
さきほどまでの山村から一気に大都会へ来た感じがする。
そしてジェノヴァはフォカッチャの街でもあるのだ。
なんでもフォカッチャで有名とのこと。
パン屋に入り、フォカッチャを買う。
ちなみに「ウン・エット」(100グラム)、「ドゥエ・エット」(200グラム)、こういう感じで重さで注文するのが多い。
たくさんの種類があるが絶対に食べなくてはいけないのは、フォカッチャジェノヴェーゼ。
オリーブオイル+塩だけのシンプルなタイプ。
くぼみにオイルがたまり、外側は香ばしく、中はふわもち。
具無しだけど現地観光局も「ジェノヴァの食文化の象徴」と紹介している。
そして僕は有名なジェノヴェーゼペーストのフォカッチャも食べた。
豊心君は、玉ねぎフォカッチャ、オリーブ入り、セージ入り。
そしてレッコ風フォカッチャ(極薄の生地でチーズを挟んで焼く)も食べている。
食べすぎだろ。
翌日はサン・ヴィート・ロマーノというところに向かう。
場所はローマ中心部から東へ約50km。
ローマの近くにある山の町だ。
電車とバスで目指す。
目的地は標高は約655mで、丘陵・山地の中に古い町並みがある。
目指すはアンティコ・フォルノ・デル・ボルゴ・ルッジェーリというパン屋だ。
チャンベッラ・ディ・サン・ビアージョというお菓子に近いパンを売っている。
もちろん売っているのはこの店だけだ。
かなり希少な伝統菓子という位置づけだ。
昔は2月3日と12月8日だけ作っていたが、今は通年で買えるようになった。
そしてもともとは聖人ビアージョの日に、チャンベッラは宗教儀礼の最後に人々へ配られる食べ物なのだ。
ちなみにこの聖人ビアージョという人は、喉の病気から人を守る聖人だそうだ。
言い伝えでは、ある少年が魚の骨を喉に詰まらせて窒息しかけたところ、奇跡によって救ったとのこと。
ごめんなさい。
正直微妙です。
喉とパンてどんな関係なんだと思った。
さて見た目は、穴の開いたリング状のパンである。
3人で食べてみる。
スーッとくる感じとほのかな甘みがするパンだった。
レモン・オレンジの皮、アニスを使っているとのこと。
「この清涼感と甘さは、アニスからきているんだな」と豊心君。
「アニスってあまり聞かないね」
「ちょっと薬草っぽいからな」
「なにかつけて食べるのかな」
「これだと、甘いのも塩味のもどちらとも合うな。例えば、ジャムやチーズやハムとかな」
「真奈美さんはどう思……」
真奈美さんは紅茶をカプチーノを飲みながら、ハムとチーズと一緒に食べている。
いつの間に。
そしてずるい。
これで3軒連続、そのお店だけしか作っていないパンを食べた。
このパン旅行も残り4つ。
あとの4軒はどういうパンなんだろうか。
僕は楽しみで仕方がない。




