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第54話 高校生パン全国発表会

「高校生パン全国発表会?」僕は真奈美さんが言ったことを聞き返した。


「そうパンの高校生全国大会っていったところね」


「そこに豊心君が出るんですか?」


「正確には出してあげる」


「どういうことですか?」


「この発表会はね。ちょっと特殊なのよ。全国の高校生が地元の郷土料理や特産物を使って、2種類のパンを作るの」


「なるほど」


「例えば北海道ならじゃがいもとか昆布とかジンギスカンとか豚丼とかね」


「地元の食材を使うってことですね」


「そう。それで豊心君には東京代表として出てもらう」


「それはわかりましたが、出してあげるというのは?」


「これ一次審査があるのよ。レシピと食材の画像を送ってもらうね」


「まあよくあるやつですね」


「その一次審査を免除して本選に出してあげるということ」


「え~と、まず、なんで免除をするのかと、なんで免除が可能なのかと……」


「免除をするのは理由わかるでしょ?」


「わかりません」


「では東京の郷土料理や特産物ってなにが思いつく?」


これまで僕と真奈美さんの会話を黙って聞いていた豊心君が言う。


「もんじゃ焼き、江戸前寿司、柳川鍋、ちゃんこ鍋、深川めし、TOKYO X……こんなところか」


「どれもパン向きじゃねー」と僕が言う。


「そう。だから今まで東京代表は出たことないのよ」


「めちゃくちゃ不利じゃないですか」と僕が言う。


「豊心君ならちょうどいいハンデでしょ?」


豊心君はすでに考え始めているようだ。


「ではなぜ真奈美さんが免除することが出来るんです?」


「それは知らない方がいいわよ」


僕はこれ以上追及しなかった。



「しかし変な大会だな。有利・不利がありすぎる」と僕が言う。


「まあ、決まっているのなら仕方がない。出来ることを考えるだけだ」と豊心君。


それから豊心君は、どんな材料を使うかをひたすら考え始めた。


僕は豊心君を助けてあげたいと思ったけど、なにもできない。


例えば、もんじゃ焼きをパンと融合させるなんて僕には無理なんだから。



そして本選の日がやってきた。


会場は東京・品川にある建物だった。


当日、豊心君に付き添い現地に行くと9人の高校生らしき人たちがいた。


この人たちが相手か。


北海道、茨城、富山、長野、静岡、愛知、広島、香川、長崎の代表だ。


ネームプレートに北海道と書かれた人がやって来た。


「おめぇが東京代表なんか?」

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