第51話 パンフェスティバル
フェスティバルの2日前に大蔵大根が5本届いた。
この大根で大会の審査用と販売用を作って欲しいということなのだろう。
そして前日に準備をする。
ところで作るのは学校だとしてもどうやって運ぶんだろうと思っていたら、真奈美さんが車と運転手兼パンを運ぶ人を手配してくれた。
フェスティバル当日、豊心君はかなり早めに登校して、パン作りをする。
僕は作るのを手伝えないので、運ぶのを手伝うために学校にきた。
さてフェスティバルは昼前から開始される。
僕らに与えられた仮店舗でパンの販売をする。
そこで気づいた。
豊心君が大会に参加するのは分かるが、なんでパン販売もするんだろうと。
真奈美さんを探したが見つからないし、連絡も取れない。
はめられたと思った。
店にパンが並ぶ。
僕がレジ前に立つ。
豊心君は大会のために店から出ていく。
大根パンを含めた6種類のパンを1人で販売した。
◆◆◆
俺はステージの上で椅子に座っていた。
他に5人のパン職人がいる。
みんな大人だ。
「ただいまより、パンと大蔵大根の組み合わせによる審査会を始めます」
1番 〇〇ベーカリー 大蔵大根の塩バターロール
2番 住宅地のパン屋さん 大蔵大根の白あんぱん
3番 パン・アラカルト ふろふき大根の肉みそがけのマフィン
4番 パン・パン・パン ガリバタ大根ステーキのサンドイッチ
5番 ○○パン 大蔵大根葉のじゃこチーズパン
6番 ○○高校 大蔵大根と味噌のパン・ド・カンパーニュ
会場から拍手が起こる。
審査員は○○区長 大塚さんと、○○区推進委員会 菅原さん、そして真奈美さんです。
あの人いつも審査員にいるけど、何者なんだと俺は思った。
1番からパンの紹介をして審査員が食べていく。
俺の番が来たので説明をする。
「大蔵大根を味噌で煮て、柔らかくしたものを具にしました。味噌+大根+チーズの組み合わせを味わってくれれば」
そして審査員が食べていく。
3人の審査員が裏に行った。
話し合いが行われるのだろう。
その間、司会者が俺たちに今回気をつけた点や、苦労したことを聞いている。
審査員が戻ってきた。
いよいよ発表だ。
「第3位、住宅地のパン屋さん 大蔵大根の白あんぱん」
代表者が前に行ってインタビューを受けている。
「第2位、○○高校 大蔵大根と味噌のパン・ド・カンパーニュ」
ああ。
2位か。
「高校生ながら大健闘ですね」と司会者。
俺は一言「残念だ」
「第1位は、○○パン 大蔵大根葉のじゃこチーズパン」
代表者が喜んでいる。
友久ごめんな。
1位じゃなかったよ。
◆◆◆
豊心君が戻ってきた。
結果は2位だった。
僕は惜しかったねとしか言えなかった。
夕方になるとパンが売り切れた。
豊心君が「少なかったかな」と言っている。
僕は知っている。
1度来たお客が少し経つとお土産用に買いにきたからだ。
店の前に売り切れの札を貼ったら、真奈美さんがやって来た。
「2人ともあっちの広場へ行くわよ」
なんだと思ってついて行くと、最後のイベントのクイズ大会をやるという。
〇か×かのどっちかに行って、最後まで残った人が優勝である。
ぱっと見、100人以上参加している。
真奈美さんが豊心君にマイクを渡し、「問題の答えの解説ね」と言う。
僕には「外れた人の誘導をお願い」と言う。
あの、僕たちフェスティバルの実行委員でもなんでもないんだけど。
司会者がやってきて問題を出す。
「問題、食パンの「食」は、食事用という意味である。〇か×か」
「答えは〇です」
「食事用という意味だ。菓子パンなどと区別して、食事として食べるためのパンを指す」と豊心君が解説する。
「問題、フランスパンの「バゲット」は、フランス語で「棒」という意味がある。〇か×か」
「答えは〇」
「棒、又は細い棒という意味だ」
「問題、「パン」という言葉は、日本語が語源である。〇か×か」
「答えは×」
「ポルトガル語のパォンが由来とされている」
ここで10人ぐらいまで減った。
「問題、フランスでは、バゲットを自転車のハンドルに刺して運ぶ人がいる。〇か×か」
「答えは〇」
「フランスでは、バゲットを自転車のハンドルや荷台などに引っかけたりして運ぶ姿が見られる」
ここで4人になった。
「問題、日本の「ジャムパン」は、あんパンより先に誕生していた。〇か×か」
「答えは~×」
これで優勝者が決定。
「え~と約26年ぐらいあんパンのほうが先だ」
こうしてクイズ大会も終わった。
帰り際に真奈美さんが僕たちにパンを渡してきた。
「なんです、これは?」
「今日のお駄賃。今話題の表参道で人気のパンよ」
僕は、今日の労働の対価がこれとはかなりがっかりした。
一方豊心君は大喜びだった。
この人は……




