第49話 バウルサク カザフスタンで記録を更新し続けるパン
スウェーデンから帰ってくると、すぐに期末考査が行われた。
僕も豊心君も1教科赤点になった。
しかし何故か補習は免除された。
よくわからないが助かった。
部室に行くと豊心君が油を入れた鍋を用意している。
「ドーナツでも作るの?」と僕が聞くと、
「いや、揚げパンだ」
僕はコッペパンに砂糖やきなこを付けて揚げるのを想像した。
「バウルサクっていうカザフスタンの揚げパンだ。甘いのもあるが食事系だな」
揚げパン=甘いと勝手に思っていたので、興味が湧いた。
豊心君が成形していくがかなり小さい。
1口サイズといったところか。
「このパンはねえ、調理され食べられたドーナツの最多量でギネス記録に認定されたんだ。さらに翌年は、最大量のドーナツの盛り付けでもギネス記録になった」
「へえすごいねえ」
「あとは2024年11月のバウルサク・フェストでは2.3トンという量を揚げられたこともあるんだ」
「どんだけ揚げてんだよ」
豊心君がバウルサクを揚げていく。
「揚げパンは油の温度が重要なんだ。油の温度が低いと、油っぽく重たい。逆に高いと外は焦げ色なのに中が生になる」
そうしてたくさんのバウルサクが出来上がった。
「これって食べ方は?」
「熱いうちに蜂蜜やジャム、粉砂糖を添えて、濃いめの紅茶と。またはスープや煮込みに添えて、汁を吸わせて食べるのも良し。今日はジャムと紅茶を用意した」
いつの間にか椅子に座っていた真奈美さんも加えて3人で食べていく。
外はカリッと、中は空洞で、ジャムをつけて紅茶と一緒に食べると美味しい。
バクバク食べていると、真奈美さんが豊心君に「来週そこの公園でやるパンフェスに出るんでしょ?」と聞く。
「えっ出れるの?」と豊心君。
「あなたは作る側で参加ね」と豊心君に言う。
「あれってパンならなんでも作っていいんだよな?」
「いつもならね。だから何種類か考えておいて。あと今年は、希望する店には特別なパンを作ってもらいたいそうよ」
「へえ何のパンだ?」
「大根を使うパン」
「大根だと。そんなパン聞いたことないぞ」
「なんでも地元の大蔵大根を使って作って欲しいみたいね。豊心君。もちろん作るわよね?」
「う~ん。大根か」
「まあ、作るの希望でもう申請しちゃったけどね」
豊心君は苦い顔をした。
大根とパンって合うのだろうか。
「そして友久君は豊心君の手伝いとかね」
「とかってなんです?」
「とかはとかよ」真奈美さんが笑みを浮かべて言ったのだ。




