第45話 諸葛孔明とパン
真奈美さんが本を読んでいる。
「真奈美さん、今は何の本を読んでいるんです?」
「三国志よ」
「劉備派?曹操派?孫権派?」
「今のところは賈詡ね」
「渋いですね」
「そう?普通じゃない。武将だと高順ね」
「えっ?」
「なに?」
「趙雲や周瑜じゃないんだ」
「まさか」
「三国志と言えば、孔明が作ったパンの話があるね。まああくまで伝承だけど」と豊心君が言う。
「豊心君作りなさい。あと言い伝えも」
「まずは孔明が南蛮地域の反乱を鎮めるため南征も行った時、孟獲を7度捕らえ、7度放した時に、突然強風が吹き川に荒波が立て進路が阻まれた。孟獲が49人の頭を生贄にと言うが、孔明が牛や豚の肉を細かく切り、練った小麦粉で人の頭のような形に包んで蒸し、蒸してから本当の人の頭の代わりに供えよと言った」
「それで」
「その蒸したものが饅頭と呼ばれるものだ。ちなみに現在では饅頭は餡のない丸い蒸しパンのこと。肉や野菜が入っている蒸しパンは包子という」
「そうなの」
「もう1つが、三顧の礼の後諸葛孔明が博望坡の火攻めの時、兵士の盔(かぶと・鉄製)を鍋の代わりにし、粉をわずかの水で練り伸ばしたのが鍋盔というもので、後に焼餅(ショービン 焼きパンの意味)の焼餅の起源とも伝えられている」
「じゃあ饅頭と焼餅を作るのね」
「そう」と言いながら豊心君は既に生地をこねている。
薄力粉、砂糖、ドライイースト、ぬるま湯、油。
生地ができると発酵させ、3等分にした後休ませる。
そして饅頭の特徴である蒸す作業。
こうして饅頭が完成。
次は焼餅。
中力粉、ぬるま湯、塩、油、ごま。
それとは別に小麦粉、油、塩でペーストも作る。
生地をこねたら、長方形に薄く伸ばし、ペーストを塗る。
生地を端からクルクル巻いて棒状にし、3等分して、切り口を包むように丸める。
麺棒で1〜1.5cm程度の厚さに伸ばし、表面に水を少し塗ってごまを付けて焼く。
こうして焼餅も完成。
饅頭はほんのり甘く、小麦の香りがする素朴な味だ。
焼餅はごまの香る、塩味のクロワッサン+ナンみたいな感じだ。
どちらも美味しい。
「それでこの伝承の信ぴょう性は?」と真奈美さん。
「あくまで伝承だ」と豊心君。
真奈美さんが食べ終わった後に豊心君に言う。
「ところで孟獲って誰?まだそこまで読んでないんだけど、ネタバレくらったわ」




