第44話 チョコレートの神
完成したオリジナルチョコレートパンを書類審査に出した。
レシピ、材料、作り方、完成した写真などを提出。
書類審査が通れば実食審査になる。
書類を提出すると、真梨さんが言った。
「私もチョコレートの神が欲しい。最古のチョコレート飲料をなるべく再現して」
とはいえ、豊心君も僕もよくわからないので、色々な資料を徹底的に調べた。
そこで、とりあえず再現レシピが出来たのである。
5,300年前風・カカオドリンク。
カカオ豆(無塩・無糖)。
カカオパルプの代わりに、無糖の白ぶどうジュース。
水。
トウモロコシ粉。
そして最大の問題。
カカオ豆を生のまま使うか、焙煎するか。
結果、生のまま行くことになった。
ただし、生のままだと、現代の食品衛生上、試し飲みなどはできない。
そして最古のチョコレートもどきを作ることに。
カカオを砕く、混ぜる、色を見る。
チョコレート色ではなく濁った茶色だ。
そしてチョコレートもどきは完成した。
どうするのかと思ったら、ガラスのコップに入れて冷凍庫に入れた。
「これで長期保存できますね」
冷凍庫に入れられた神ってなんだろうと僕は思った。
本人は冷凍庫をちょくちょく開けてはニヤニヤしている。
まあ本人が満足ならいいだろう。
それから真梨さんはチョコレートの神を持ち帰り、一旦チョコレートパン作りは終わった。
数週間後また部室に真梨さんがやってきた。
「審査通過しました」
僕と豊心君は喜んだ。
「おめでとう真梨さん」
「これで私のチョコレートが広まるかもしれません。世の中をチョコレートまみれにする第一歩です」
なにを言ってんだろう、この人は。
後日、真梨さんはつくば世界チョコレートフェスティバルの会場にいた。
実食審査のためである。
審査員は、料理学園の校長、茨城菓子組合の会長、そして真奈美さんである。
なんでまた真奈美さんが審査員やってるの?
真梨さんが作ったのはフランスパンのブールの小さい版。
丸いタイプである。
その中には、チョコ、オレンジのガナッシュ、チョコの三層が入っている。
ちなみにチョコレートはカカオ70%のものを使用。
甘くないチョコだ。
審査員が食べていく。
「小麦の香ばしさに、ビターチョコの濃厚なコク。そしてオレンジの華やかな香りが鼻に抜ける。最後にパンの塩気が残って、チョコの苦味をきれいに締めています。美味しいですね」
「食べた瞬間甘くないチョコだと思ったら、オレンジの香りが鼻に抜けた。そのあとを追うように、もう一度カカオの苦味が戻ってくる」
どうやら好評のようだ。
そして結果発表で真梨さんは見事に優勝した。
豊心君と僕が拍手をする。
賞状を持ちながら真梨さんがやってくる。
「これで世界をチョコレートだらけにできますね」
いや大会で優勝しただけだから。
翌日は部室で祝勝会が行われた。
真梨さんは次々とチョコレートを食べていく。
血糖値や虫歯は大丈夫なのかなと思った。
真奈美さんが来て「今度、今回のお礼をするわ。また学校休んでもらうことになるけどね」
今度はどこに連れて行かされるんだと思った。
僕は家に帰る時に違和感を感じていた。
帰宅するとすぐにある場所に向かう。
そして体重計に乗る。
「チョコばっかり食べてたので太ったあ」




