第37話 パン・チーズ連合vsしょうゆ・寿司同盟
そして、決戦の場所が決まった。
1週間後に都内にある料理教室を借りて行う。
双方3品ずつ出しての勝負。
審査員にはテレビにもよく出演している、有名レストランのオーナーと有名料理研究家と真奈美さんの3人になった。
僕は、え~と、まずなんで有名人が出てくれるのか?なんで審査員に真奈美さんがいるのか?そもそもこの対決ってなんなんだ?と思ったがツッコミが追いつかない。
真奈美さんが僕の隣で、「審査員は2人とも知り合いなのよ。後は公平を期すため。割烹の人とか呼んだらしょうゆ・寿司同盟に有利になっちゃうでしょ?」
いや、確かにそうだけど、そこじゃなくて、勝負自体なんなのかと。
勝負の日取りが決まると、豊心君と加奈子さんは3品選びに入った。
様々なチーズを使ったパン料理を作っては、意見を出し合う。
1つのパンにどのチーズを乗せるかなど熱い議論が飛び交う。
◆◆◆
一方しょうゆ・寿司同盟は余裕であった。
「2品はすぐに決まったな。問題はもう1品をどっちにするかだけ」と寿司派の大輔。
「おい。この寿司入れなくていいのか?代名詞みたいなものだろう」としょうゆ派の北斗。
「大丈夫。その寿司にはグレードアップ版を出すから問題ない」
「ではあとはどっちにするかだが、俺はこっちだな」
「ああ。俺もそう思う。これで勝ったな」
◆◆◆
会場の料理教室は満席である。
僕は思った。
この観客はどこの誰で、どこから聞きつけて集まったんだろ?
メインのテーブルでは幼馴染の北斗と加奈子が睨み合っている。
「時代はチーズよ。チーズの魅力に人は抗えない」と加奈子。
「しょうゆの万能さは異常だ。今や世界でも通用する日本を代表する調味料だからな」と北斗。
「パンにしょうゆは合わないわ」
「ごはんにチーズも合わない」
「あらリゾットって知らないの?」
「ぐっ」
どうやら前哨戦は加奈子が勝ったようだ。
「ではこれより、パン・チーズ連合vsしょうゆ・寿司同盟の対決を行います」と司会者が言う。
司会者誰?
厳正なるくじ引きの結果、パン・チーズ連合が先攻となった。
「まずはチーズナンを食べてもらうわ。このチーズの伸びを見てもらいたいわ。あなたたちもインドカレー屋でカレーそっちのけでチーズナンをおかわりしたことないかしら」
3人の審査員がチーズナンを食べている。
そしてメモに書いていく。
「今度は俺たちだな。まずは大トロを食べていただこう」
3人が大トロをしょうゆに浸けて食べる。
「次はクロックムッシュよ。ただしかけるチーズはラクレットチーズよ」
会場がどよめく。
加奈子はニヤリと笑う。
「ではこっちはこれだ!」
出てきたのはまさかの和牛寿司だった。
魚ではない。
肉を出してきたのである。
会場がまたもどよめく。
「ちょっと肉なんて反則じゃない」
「近年肉のネタが市民権を得ていることを知らないのか?」
司会者が仲裁に入る。
「最後はこれ。ハチャプリアジャリア風」
「聞いたことも無いパンだな。こっちの最後はこれだ!」
「その魚はなに?」
「のどぐろだ」
会場がざわつく。
3人の審査員が食べて、考え込んでいる。
5分後に結果発表だ。
僕も、これはどっちが勝つのか気になった。
そして5分後に判定が。
まず有名レストランのオーナーが「しょうゆ・寿司同盟」と言う。
「最後の、のどぐろには驚かされたね。この上品な味わいと、脂の美味さは特筆ものだ」
次は有名料理研究家が「パン・チーズ連合」と言う。
「このハチャプリは絶品だね。後はクロックムッシュのラクレットチーズが美味い!」
最後は真奈美さんだ。
「私は、パン・チーズ連合!和牛寿司にはしょうゆじゃなくて、塩・わさびで食べたいの」
こうして2対1でパン・チーズ連合が勝利した。
豊心君と加奈子さんが、がっちり握手。
会場の大きな拍手で幕を閉じたのである。




