第33話 古代エジプト展
豊心君が長考している。
「「う~ん」と唸ったかと思うと、資料を見たり、祭壇にお祈りしたり、何故か逆立ちをしたり。
「問題はな、古代エジプトといっても3000年あるんだよ。ギザとツタンカーメンの時では同じパンとは限らない」
「なるほど」と僕が言う。
「粉はエンマー小麦を使うのでいこうと思う。ただ」
「ただ?」
「より近づけるなら石臼で挽きたい。そして10時間ぐらい発酵させたい」
「それは考えどころだね」
「真奈美さんは販売をするかもとも言っていた。ならばこれでは効率が悪すぎる」
「そうだね」
「つまり、全粒粉を使うなんちゃって古代エジプト風パン。次はエンマー小麦を使うけど、ドライイーストを使う現代版。そして最後がガチ目のやつだ」
「これは真奈美さんや相手に選んでもらうしかないんじゃない」
「結局そうなるんだよなあ」
後日、主催者、真奈美さん、豊心君の3人で話し合いが行われた。
結局、エンマー 40%、全粒小麦 40%、大麦 20%になった。
最初はエンマー 50%と全粒小麦 50%の案だったが、古代っぽくってことでこうなった。
ただ、豊心君の要望もあり、ガチ版も作ることになった。
1個1500円で数量限定だが。
「それで、量産版やガチ版の味はどうなの?」と僕が聞く。
「そんなの美味しいわけないじゃん」
「酷い」
古代エジプト展は一週間開催だ。
そして古代エジプト展の前日から、豊心君は近くのパン屋の工房の一角で、パンを作らされ……作っている。
学校には真奈美さんが許可を取ったとのことだ。
僕は2日目に行ってみた。
自分でも資料を書いたりしたので、展示物を見るのが楽しい。
古代エジプト展の一角で古代エジプト風のパン販売コーナーがあった。
まずまず売れているみたいだ。
そのまま豊心君の元へ向かった。
豊心君がせっせとパンを作っている。
周りの店の人が
「作るの早いね」
「なんかすごいね」
「俺のパンも手伝ってくれ」
豊心君の評判が高い。
僕に気づくと「来てくれたのか」と言い、パンを1個渡してくれた。
「ありがとう」
「それガチ版のやつな」
僕は味わって食べてみる。
粒感がすごい。
密度があって噛み応えがある。
確かに微妙な味だ。
でも素朴でいいんじゃないかな。
確かに美味しいかと言われると困るが僕は好きだ。
後日、真奈美さんから1500円の請求がきた。




