↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/66

第15話 文化祭

2学期になり少し経つと文化祭の時期だ。


パン研究会では、合宿の時に言われたとおり、僕が販売を担当し、豊心君がパン作りをすることになっている。


真奈美さんは監督と言っていたが、何をするんだろう。


材料費を出してくれたり、設備の手配等はやってくれているので、それが仕事なのだろう。


たぶん。


そして家庭科室で販売するもんだと思ってたら、廊下で販売することになった。


真奈美さんに聞くと「だって家庭科室に来られて座られても、あなた対応する暇ないでしょ」とのことだ。


そんなに忙しいなら、誰かにヘルプを頼むって発想はないのかなと思った。


豊心君はたくさん作れることに快楽を覚えるだろうけど、僕にとっては苦行でしかないと思った。



文化祭前日、豊心君はハチャプリアジャリア30個の下準備をしている。


形まで作ったら業務用冷蔵庫(家庭科室のを真奈美さんが交渉して借りた)に入れておく。


朝に卵とチーズを乗せて焼くだけだ。


僕は廊下で横長のテーブルにパンを乗せる大型ケースを設置し、レジの確認と袋詰めの確認をした。


大型ケースには5種類のパンの名前と簡単な説明が書いてある紙を貼った。


これで準備は万端だ。


豊心君は7時に登校する。


僕と真奈美さんは7時30分に登校することになった。



文化祭当日。


僕は7時30分に登校するとすぐに家庭科室へ。


調理実習室を見るとオーブン10台がフル稼働でハチャプリを焼いている。


その間、ブラジルのポンデケージョを作っている。


すごい。


すでに10個のハチャプリが出来上がっているので、僕が廊下に運びケースに入れる。


それを3度繰り返し、次はポンデケージョを移動させる。


そしてフィンランドのユーストサルヴェット、レバノンのマナキッシュ、アメリカのコーンブレッドをそれぞれ10個運んだところで、10時になり、学校にたくさんの人が入ってきた。


文化祭の開始だ。


最初の15分は誰も来なかったが、その後に人が通ってはケースを見ていく。


そしてパンを買う人が出てきた。


それを合図に、パンを買う人が続出した。


出来立ての匂いも効いているんだろう。


「このパン美味しい」


「このハチャプリってのやばくない」


「ブラジルのも美味い」


そして列ができたのである。


袋に詰めて会計、袋に詰めて会計、袋に詰めて会計。


そしてトングでパンを掴もうとした時にすべり、フィンランドのユーストサルヴェットが逆さになった。


第七戒 パンを逆さに置いてはならない。


しまった。


僕は急いでパンを裏返しにして、向きを変えた。


異変を感じた豊心君が様子を見にきて、僕の取った行動をほめたたえる。


「友久よくやった。戒律を守ったな!」


そういうと再び調理実習室に戻って行った。


「手伝わないんかい!」


僕らのやりとりに列に並んでいるお客さんは失笑している。


「すいません。販売ワンオペなんで」


お客さんからは


「このパンの店、超絶ブラックじゃん」


「あんた職変えた方がいいよ」


「ソロプレイ笑った」


「ぼっち勤務かよ」


となんとも言えない声がしてきた。


「これでも社員総出なんです」と僕が言うと、お客が笑ってくれた。


「ゆっくりでいいよ」


「大変だねえ。頑張って」


「全担当俺状態かよ」


こうして、殺伐しかかってた列も和やかになってくれた。


お昼のピークをやりきると、お客さんを全員さばききった。


すると真奈美さんがやってきて、机に立札を置いた。


「現在休憩をいただいています。13時30分から再開します」


「真奈美さんありがとう」と僕がお礼を言った。


時計を見ると現在13時25分。


「5分だけかい!」


そして5分後に再開。


16時の閉会までにパンを全部売り切った。



そして翌日も、初日と同じような感じになった。


列ができ、お客さんがいら立つと、僕が何かを言って笑いを取る。


こうして翌日も乗り切ったのである。


ちなみに2日間でハチャプリ60個。


他4種類は120個ずつ。


1日あたりは270個売ったのだ。


僕と豊心君は握手をした。


遂に地獄の文化祭を乗り切ったのである。


あれ?文化祭って楽しいものじゃないの?



その時、2人を遠くから見ていた人物がいたことに、2人は気づかなかったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。