↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/66

第12話 サンギャク イランの小石で焼くパン

夏休みに学校に来る。


部活をやってる人たちもいるが、普段と比べて静かである。


家庭科室に行くと、供物台にパンが乗っている。


豊心君はもう来ているようだ。


調理実習室に行くと豊心君がいた。


「やあ豊心君早いね」


「今日は変わったパンを作るからね。準備をしていたんだ」


「変わったパン?」


「パン自体はナンに近いんだが、作り方がね」


「ふうん」


「ところで前から思っていたが友久は料理はするのかい?」


「う~ん。たまに作るぐらい」


「今作ると言ったな。では料理を作ってもらおう」


「たまにだっていったじゃん」


「作ることにはかわりない。これがレシピだ」


僕はレシピを渡された。


「パン作りに専念したいんだ。それ付け合わせのスープだから」


「わかった。やってみるよ」


「この前バニーチャウを作った時も思ったが、パン職人がカレーも作るというのは慣れてなくて大変だったんだ」


そういうと豊心君は乾燥させていた石を鉄製のフライパンの中に入れる。


「何やってるの?」


「今日のパンはサンギャクだ。イランの小石を使って焼くパンだ」


「なんかすごそうだ」


「ペルシャ時代の兵士がズボンに小石を入れてて、野営するときに石を集めてサンギャクを作っていたんだ」


「それは面白い話だわ」といつの間にかいた真奈美さん。


真奈美さんは僕らを見て「さっそく取り掛かって」と言う。


僕も別の台で作り始めた。


豊心君は、ボウルに強力粉、薄力粉、イースト、砂糖、塩を入れて混ぜ、水を加えてこねている。


オリーブオイルを加えたらラップをかけて発酵させている。


こうして材料を見ていると、普通のパンだなと思った。


では僕も取り掛かろう。


え~と、マトンにひよこ豆にいんげん豆に玉ねぎにトマトとじゃがいもか。


具が多いな。


水で煮込んでトマトペーストや各種スパイスを入れて30分以上煮込むと。


煮込んでいる間暇だな。


でも、目を離すわけにもいかないし。


僕と豊心君が手持ち無沙汰になると、真奈美さんが言いだした。


「豊心君、このパン知ってる?」


そう言って、細長い白いパンを出した。。


「はて、なんだろう。中身をみないとわからないね」


「豊心君もまだまだね」


そういうと半分にちぎる。


中身はあんこだった。


「これは!」豊心君が驚く。


「食べたことは?」


「まだない……」


豊心君が悔しがる。


これは最近人気になったパンらしい。


とある店の商品だそうだ。


というか豊心君がまだ食べたことがないパンてあったんだと思った。


豊心君は真奈美さんに食べさせて欲しいとお願いしまくっている。


「では文化祭頑張りなさい」


「はい」と言ってそのパンをもらい、食べ出した。


これが飴と鞭というものなのか。


真奈美さんの人心掌握術の一端を見た気がした。


そしてパンは発酵し、スープは出来上がった。


豊心君は生地を3等分にして伸ばしたかと思うと、フライパンに入れた石の上で焼き始めた。


乗せて焼くだけではなく、石をパンの上に乗せたり、潜らせたりして焼いている。


香ばしい匂いがする。


そして3枚焼き上がったので、食べることに。


僕が作ったアーブ・グーシュトというスープにサンギャクを浸して食べる。


具を乗っけたり、時には具を潰したりしながら。


トマトベースのスープを吸い込んで美味しい。


またサンギャクをちぎろうとすると小石がいくつかついていた。


「豊心君。石、落とし忘れてるよ」


「それはサンギャクあるあるだ」


石を落としてから僕はまた食べ出した。


今回のパンも珍しいし美味しいと思った。


世の中広いと改めて思ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。