スキル《青果物管理》って…何よ…
セルマに待望のスキルが発現!
しかしそれはセルマの望むスキルではなかった…
落ち込むセルマ…そして雅樹にもスキルが?
~第8話~
セルマが立ち直りかけたその瞬間…
今度は雅樹のステータスが通知音を鳴らす…
『雅樹…見てもいいよ…私は…もう少しだけ、そっとしておいてくれるかな…』
『ああ、じゃあ俺のステータス確認するよ。』
こうして俺は見慣れたステータスを確認する。
初心者パックが光りnew!の文字。
早速開くと…
《スキルは様々な経験の複合により、発現します。》
『やっぱりか…セルマは野草の知識が豊富だったからなぁ…でも、何で急に…』
ピコン!
また初心者パックにnew!が…
《今回セルマにスキルが現れたのはジャックフルーツを収穫、知識が一定量に達した事によります。》
『セルマ、今回のスキルの発現、セルマの今までの努力がスキルに成長したみたいだぞ?』
『そうなんだ…弓がダメだったから、野草を取ってたのがよかったのかな…』
『逆説だけど、弓も練習を重ねたらスキルになるって事だよね?』
『!…そうか…そうだね!』
ようやく立ち直れた様だ…
ピコン!
また雅樹のステータスが…
『何で雅樹のステータスそんなに鳴ってるの?ちょっと見せてくれない?』
『ああ、見てみよう。』
今度はスキルが光りnew!そしておなじみの初心者パックも光りnew!が…
『先ずは気になるスキルの確認しようよ!いいよね?』
セルマに促されてスキルを開くと…
《指導…人に物事を分かり易く説明し技能を修得し易くする。》
《弓術…弓の基本を理解し弓の性能を引き出す。》
『ねぇ、雅樹…?何でアンタに弓術のスキル発現してるのよ!』
怒り狂うセルマに俺は冷静に分析した結果を話すことに…
『きっと元々あった弓の技術をセルマに《指導》した事で俺の理解が深まったから…と。』
『理不尽!理不尽!理不尽理不尽理不尽理不尽理不尽~!』
『私の《青果物管理》と交換しなさいよ~!』
『やれやれ、コレでは厄介なクレーマーだよ…』
『そんな事はどうでもいい!私の何年も続けた弓への努力!返しなさいよ!』
『いいか?俺が推測するとだけど、ある程度の実績も必要だと思う。だってセルマには悪いが、あのヘッポコな弓をどんだけ撃っても成功例とは…逆に今のセルマなら練習を重ねれば弓術に届くと思ってるけど。』
『うぅ~、メチャクチャ腹が立つけど、言い返す言葉がない…』
むくれるセルマを置いて雅樹は、初心者パックを開くとする。
《スキルの発現…経験の積み重ねにより発現方法は変わります。ある程度の成功と言える体験が必要。更に知識も不可欠です。》
この文章をセルマにも見せると…
『雅樹は異世界でも弓をやってたんでしょ?』
『まぁ、それなりにだけどな…』
『なのに何で初めからスキルがなかったの?もしかして私に抱きついた時に吸い取ったり…』
バッと音がする様な勢いでセルマは距離を開け両手で胸を覆い隠す…
『抱きついてない…吸い取ってない…人を変態みたいに言わんでくれないか…』
『冗談だよ、雅樹が本気ならあの時に押し倒されてもおかしくはなかったから…でも、私ってそんなに魅力ない?行き遅れだから…?』
『何言ってるんだ、セルマは若くて十分魅力的だぞ?』
『そっか…それなら許す。』
何とかその場を治める。
ピコン!
『またか!もうトラブルの元凶は要らない…』
そう思いステータスを確認する。
スキルが光りnew!の文字が…
『何かデジャブが…』
そう思いスキルを開く
《クレーム対応…相手が何を怒り、何を伝えたいのかを理解し、正しい答えを導く》
『私ってクレーマーだった…?』
こうして二人はガックリと肩を落として脱力するのであった…
『…とりあえずジャックフルーツを見てみよう…』
『…そうね…スキルを使ってみたいしね。』
《青果物管理》
『まだ、完全に熟してないみたいね。追熟すると美味しくなるみたい。あと4日って感じみたいね。価格は…1500円追熟完了したら…3500円?4日置いただけで2000円も高くうれる?』
『凄いな…ココまで解るって…』
『ねぇ、このスキルってもしかしなくても凄いスキルなんじゃない…?』
『だから凄いって言っただろ?ココまでとは思わなかったけど…』
『弓術よりよっぽど使えそう…だって弓を撃つだけだもん…間違いなくお金に換わるのは《青果物管理》ね…』
『そうだな。狩猟だけなら獲物を狩ってそれを売るだけだとそんなに儲けも出ないし何より労働の対価として利益も低いだろうからな。数歩ごとに獲物が現れれば話は別だろうけど、加工して付加価値を付けないと利益も変わらない。だから必死に獲物を探す事になる…と悪循環を繰り返す。』
『このスキルを上手く使えば付加価値が付けられるって事?』
『そう!朝、鮎を開いて干しただろ?日持ちだけではなく味も太陽の力で良くなる。コレは俺のいた地球の知恵だ。そのままの鮎よりも付加価値が付き高く売れる。』
『異世界の知恵…ねぇ雅樹は街に行きたいんでしょ?明日の朝、街に向かう?』
『そうだね。街に向かうまで俺も《弓術》を試したいし、セルマの《青果物管理》も使いながら売れそうな物を探して歩くか…』
『なんだか狩人ってよりも行商みたいね。街に着いたらウチにおいでよ。泊まるところもないんでしょ?』
『いやいや、若い女性の家に押しかけるなんて…それに何故か金はあるから。』
『使わないお金は減らないって知ってる?』
『うっ…と言うか何でそんな諺知ってるんだ?』
『前に異世界人に会った事が有るって言ったよね?その時に異世界人の橘さんって夫婦に色々聞いたの。』
『橘さんねぇ…橘、橘、橘さん…夫婦…たちばなぁ~!』
雅樹は途轍もなく大切なワードを聞いて驚愕するので有った…
それは雅樹の家族の一人として迎え入れた橘瞬に関係するのかもしれない。
『セルマ!橘って夫婦、まだセルマの街にいるのか?』
雅樹は焦ってセルマに強く問いただす。
『まだいると思うけど…』
『予定変更!コレから街に行く!でも、野菜は探すから。セルマのスキル、当てにしてるからな!』
『うっ、うん。わかった…』
普段飄々とした雅樹が狼狽える…セルマは不安を抱えながら雅樹と歩き出す。
『雅樹、このキノコ、マツタケだって。相場は…』
『マツタケ!?高級キノコだ!相場は?』
『うん、500円。』
『なにぃ~!500円だと…』
『たまに生えてるけど、味、そんなに美味しくないし、オガクズみたいな匂いだし…』
『そんな、俺の国だと10000円とかするぞ?』
『そんな高値なら刈り尽くされてるよ。』
ピコン!
また雅樹のステータスが通知音を鳴らす。
初心者パックが光りnew!の文字。
《青果物管理》は相場は国、街、対象を指定可能です。
『もしかしてコッチの人間には価値がない…?セルマ、スキル相場の所を召喚者に絞れるらしい。やってくれるか?』
『やってみる。《青果物管理!》雅樹、マツタケ…転移者相手なら8000円…なにこれ?怖っ…』
『集めるぞ。マツタケ!集めて転移者に売りつける!』
『うっ、うん…雅樹目が怖い…』
『セルマ!ASAP!可及的速やか…だ!マツタケは香が命!なるはやで街に持ち帰る!限界まで歩き、野菜を探すから。出来ればマツタケ中心に!』
『何で弓の特訓よりもハードなのよ…雅樹はお金あるんでしょ?そんなに目の色を変えなくても…』
『創造神がくれた《ある程度》の金はあるよ?だけど、増やすチャンスを無駄にする必要はないよね?』
『うううう…』
こうして一晩中強行軍を強いられるセルマであった…
セルマのスキルはどんな価値を秘めているのか?
雅樹はスキルの価値を理解している様だが…
何故、地球から転移した雅樹がスキルの価値を知っているのか…




