超絶技巧職人現る!
美人だが貧乳…そうグロウとカイに言われた…セルマの後輩。
セルマは少しでも雅樹に近づく恋のライバルを減らしたい…
~17話~
『う~、どうしても行かないとダメ?』
『そりゃあカイに教えてもらったんだから。』
雅樹とセルマはカイから教わった細工師の工房に向かって歩き出そうとしていた。
雅樹は足取り軽く、逆にセルマの足取りは重い…
後からグロウの大声が聞こえた、
『お~い!雅樹、夕方の時計台の鐘がなるまでに《絶対に》帰ってこいよ!その後で鍛冶師を紹介するからな!《絶対》だぞ!』
グロウの声に見送られながら細工師の工房に向かう。
カランカラン…ドアを開けると小柄な女性がこちらを向く。
カイやグロウが美人と言ったのもうなずける整った顔立ちだ。
『あれ?セルマさ、やっとかめやねぇ!』
雅樹には聞き覚えのある言葉…方言だ。
《セルマさん、久しぶりだね。だったな…懐かしい…》
『ルリ、久しぶり!今日は紹介したい人が…』
『ん?…はな…ぶさ……まさき君?』
『どうして俺の名前を?』
『英雅樹君!どうして?なんで?雅樹君…年取ったね~』
『あっあの…ルリ?なんで雅樹を知ってるの?それにいつもヘンな喋り方なのに雅樹の前だとなんで普通に喋れるの?』
『そりゃあ、どうでもええ男から逃げる為やから。どうでもええ男は来んでええ!』
『あっ、いつものルリに戻った。』
『それよりも雅樹君、なんでコッチにいるの?雅樹君も死んじゃったの?』
『死んでない、死んでない。俺は転移者。なんで俺の事を知ってるの?』
『あ~、薄情だな~。告白した女の子を忘れるなんて。』
『ちょっと待って!ルリ!告白って何よ!』
『好きな男の子にあなたが好きです!って言うヤツなんやけど…知らんかった?』
『それは分かる!じゃなくてルリが何で雅樹に告白したって話よ!』
『そりゃあ雅樹君が好きだったからやけど?』
『いつの間に?雅樹はちょっと前にコッチに来たばかりじゃない!』
『中学ん時。学校帰りの途中のたい焼き屋で。』
『中学?何年前の話よ!って、たい焼き…ってなによ?それにしても…ルリが恋愛に興味があるって知らなかった!寄る男をバッサ、バッサ切り捨てた…あのルリが…』
『で?雅樹君、思い出した?』
『もしかして…瑠璃、樋口瑠璃ちゃん?あの後…』
『思い出した?正解!樋口瑠璃ですよ~。告白の後で病気で死んじゃった瑠璃で~す。生まれ変わってルリとして生きてるよ。』
『いや…瑠璃…ルリちゃん、…向こうで…そんなにナマってなかったよね?』
『ああ~。おばあちゃんの真似してるよ。なんせ顔が良くって技術者、しかも、この幼児体型…刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる…ヘンな男が寄ってくる…』
『ルリは日本で瑠璃だった頃からモテてたからなぁ。』
『そうそう!私モテモテだったよね?《どうでもいい男》にね。』
『そうか?かなり贅沢な状態だったと思うけどね?』
『だから!私が好きでもない男は、いい男ではなくって、どうでもいい男なの!雅樹君に告白したけど振られちゃったけどね?』
『ゴメン…俺は…』
『香奈ちゃん一筋だったモンね~。それで香奈ちゃんはモノにできたの?』
この会話…セルマはいたたまれなくなり、咄嗟に勢いよく右手を高く上げ異議を唱える。
『はい!そろそろ本題に入るべきと思います!』
すかさずルリが…
『異議あり!本件は商談に関わりが深い。如何ですか?』
セルマとルリ…二人が雅樹に視線を送る…
『セルマの異議を棄却します。ルリは商談に必要とされる事を話す様に。』
『裁判長!了解しました!それでは雅樹君、あなたは香奈ちゃんと結ばれましたか?それとも報われませんでしたか?お答え下さい。』
『誰が裁判長だよ…香奈とはあれから結婚したよ。結婚から27年経つよ。』
セルマは会話の流れを変えるべく奮闘する。大きく右手を高々と上げ…
『異議あり!まず!《裁判長》って何よ!それから雅樹の結婚話は本件に関係ありません!』
ルリはすかさず返す。
『まった!雅樹君…27年って?今いくつ?どう見ても若いよ?』
『色々あってなんだかんだで30歳に戻った。本当は50手前。』
サラッと雅樹は答える。
『うわぁ~、時の涙を見た感じ…』
セルマは会話についていけず落ち込む…
『あっ、サボテンだ…赤い花を付けている…』
『フッ…セルマ、頑張り過ぎだな…この話は重力に引かれて最後まで行く…』
雅樹は呆れ、
『ぶざけるな!たかが馴れ初めの話し位、商談で押し返してやる!…そろそろ本題に入ってもイイかな?!』
『雅樹君は昔から変わらないねぇ~。この会話何回したことやら…テレビや小説、ビデオ、映画と語りまくったねぇ~』
『あれから更に作品は増えたよ。時空の違うヤツも産まれたしね。じゃあ、そろそろ、ルリに鹿の骨を見てもらいたいんだけど…』
雅樹はルリに鹿の大腿骨を手渡す。
『了解~。鹿の大腿骨、傷一つなく、キレイにしてあるね。コレ、細工用に加工したの?』
『いや、食肉加工の時に外した。』
『やるじゃん!肉を取った後は包丁の傷が細かく入ってる事が多いんだよね。コレ凄くいい!』
『そっそう!雅樹は解体凄いんだから!』
『何でセルマさ、自慢気なん?』
『ルリ、コレ加工に使える?』
『大腿骨…そうだね。色々加工できるよ。1番は牛の骨がいいんだけどね。』
『加工するなら何になる?』
『アクセサリーが多いかな。ちょっとコレを見てくれる?』
ルリは雅樹とセルマに小箱を手渡す。
『うわぁ~、キレイ…ピアス?』
『そう!丁寧に削って、こんなのに生まれ変わるよ。』
『へぇ~、ルリは器用だな~』
『実は…今大作を…コレ見てみ?』
『うわ!コレ…あのロボット!最後スイカバーと言われる、あの突撃の!』
『完全変形!しかも日本では頭を外して変形だったけど、これは頭を収納して変形!アニメそのまま!』
ルリは模型を流れるような動作で人型から飛行形態に変えていく。
『ルリ、悪い…今ではデフォルトだ…』
『ウソでしょ…私は刻の涙を見た…』
日本の技術力、特にプラモの急成長を甘く見ていたルリは膝をつく…
『ルリの技術は間違いないな…セルマ、どう思う?』
『私は二人が何を話しているのか…スイカ…?難しい話しだったから分からない…けど、ルリは器用だなぁって思う。』
『予想以上の結果だよ。ルリ、俺達と取引しないか?コレから色々な動物の骨を持ってくるから買取しないか?もちろんルリの指定した品質は約束するよ。』
『雅樹君、オタク仲間だから、品質は信用するよ。傷があると加工出来ない場合もあるから…』
『O.K.、それから、この大作を売るの?』
『非売品!絶対コレは売らない!売るなら…コレは?』
いそいそとルリは違う模型を差し出す。
『こっ、コイツは!作品最初の主人公が最初に乗った機体!…コイツ…動くぞ!ちゃんと分離して、脱出用の戦闘機まで細かく稼働…』
『そそ、コレなら構造がそこまで複雑じゃないから。コレなら材料があれば3日あれば作れるよ。』
『俺はカメオとかって考えてたけど…コレなら!1体で50万とか…もちろん転移者向けに…貴族なら更に出すかも…』
『大丈夫?日本ではかなり肩身が狭い趣味だよ?だから話が合う雅樹君と付き合ったら…って思ってたんだから。』
『安心しろ。今の日本は熱狂的なファンで溢れかえっている。老若男女、国籍すら問わない人気だ。』
『本当に?なら…私もう少し長生きしてたら趣味の合う極上の彼氏…出来てたかも…』
セルマの耳がピクリと動く…
セルマはその一言を聞き逃さなかった。
『ルリ、転移者向けに売ったらきっと雅樹よりステキな人が現れるよ!絶対に!』
『そうだなぁ~、可能性は高いかな。ルリのお眼鏡にかなう相手もいるだろうしね。』
『よっしゃ~!じゃあもう方言は辞める!普通の話し方で、オタ彼見つける!雅樹君は香奈ちゃん一筋だもんね?日本の時より、美人に生まれたけど、胸…なくなったし…香奈ちゃん程はなかったけど、それなりにあったんだけどな…』
『胸なんて所詮飾りなんですよ!エロい人にはそれが分からんのです!顔や身体で寄ってくる男はロクなのがいないぞ?』
『おやおや?雅樹君は…香奈ちゃんの顔と胸をしょっちゅう眺めていたのを私は知ってるよ?ふ~ん。エロい人が偉い人になったもんだ。』
『雅樹…エロい人だったの…?』
セルマはドン引きしている…
『ちっ、違っ!確かに眺めてた!けど…』
揶揄うようにルリは雅樹を攻撃する。
『否定と肯定が一緒になってるよ?ま・さ・き・君。』
『もう!からかうなよ!好きな女の子を見ていただけだ!』
『まぁそう言う事にしておきますか?ねぇ?セルマちゃん。』
『うん…』
セルマは自分の知らない雅樹、そして異次元の言語の様な会話を雅樹と楽しむルリ、自分の存在が不安になる。
その様子に気が付いたルリはイタズラっぽく雅樹に言い放つ。
『あっ、そうだ!彼氏ができるまで雅樹君が暫定彼氏だからね?まぁ、暫定彼氏だから今夜泊まりに来ても構わないけど?』
『んなっ!ルリ絶対にダメ!雅樹も!いいわね!』
クスリとルリは笑う。
雅樹は慌てて、
『なんだよ!それ…日本でも瑠璃と付き合ってすらいなかったんだぞ!』
『はいはい、じゃあ次は商品を持ってセルマと遊びに来てね?』
雅樹は新たな取引先をゲットしたが…尊厳を少し失った…
『はぁ~、もうすぐ鐘がなるなぁ…セルマ、グロウとの約束だ。帰ろうか?』
『何でルリの所でこんなに時間を使ったんだろう…雅樹とデートしたかったのに…』
二人はルリに別れを告げ、グロウの元へと向かう。
新キャラ登場!ルリの技巧、説明図も何も無い所からロボット(可変式、頭部収納)と現代のプラモの技術を骨を使って構築…とんでもない技術ですね~
会話の内容はセルマには異次元の言語と思われています(笑)




