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雅樹仕留める!

今回は雅樹と、召喚時の事故の現場に残された家族の2本立てです。

~13話~




茂みからドサッと何かが倒れる音がする。


『多分、首に刺さったと思うんですが…動けないハズです。』


《おかしい、徹夜明けでこんなに集中出来るのか?昔の若い時なら当たり前に出来てたけど…》


雅樹は最近では経験のない感覚に驚く。


『雅樹やるな~!姿が見えない獲物を一発か!』


『雅樹が《そこそこ》って言ってたから…こんなに凄いと思わなかった…』


グロウとセルマは素直な感想を雅樹に伝える。

茂みを覗き込むとかなり大きな鹿が横たわる。

雅樹の狙い通り、鹿の首筋に矢が刺ささっている。


『よかった…イメージ通りだ…』


雅樹は安堵するも、自身に違和感を感じ、右手を開いてジッと見つめる…


《おかしい…若い時の身体の感覚だけじゃない…今の俺の感覚が若い身体にプラスされた…今までに経験した事がない…不思議な感覚だ…》


そんな雅樹の様子を見たグロウは口を開く。


『で?首を狙ったのに理由はあるんだよな?』


『はい。まず毛皮のキズを最小限に。頭部は剥製に。可食部位には傷を付けたくなかったので。』


『なるほどなぁ。昨日言ってた事か…』


『それでは血抜きと解体、始めましょう。』





雅樹が異世界に転移した直後の日本では…


ドッ…ゴッ…ガッ…ガシャーン!

トラックが周りをなぎ倒して歩道に乗り上げ壁に突撃する…


危機一髪、雅樹に助けられた二人は倒れ込みながらトラックと雅樹を探し叫ぶ!


『パパー!』


『雅樹さん!』


トラックの直撃コースにいた由香と瞬を突き飛ばして庇った雅樹は壁とトラックの間に挟まれている…と誰もが感じ取った。


少し離れた場所で雅樹の妻、香奈は咄嗟に走り出した雅樹を目で追うことしか出来なかった…


事故の瞬間に雅樹の身を案じて、香奈は半狂乱で走り出していた。


『雅樹ーッ!雅樹ーッ!』


しかし香奈は間に合わなかった…


『二人とも無事?怪我は…ない?』


雅樹の身を案じ恐怖ですくむ香奈は何とか声を絞り出す…


『私は…大丈夫だけど…パパ…トラックに…』


『雅樹さんが助けてくれたから…』


『そう…二人が無事で良かった…』


とトラックと壁を見つめる香奈。

多分雅樹は…と思った瞬間に香奈はへたり込む…

ようやく立ち上がった香奈と瞬はへたり込む香奈に寄り添う…


周りにいた通行人達は慌ててスマホを取り出して電話をする者、事故現場の状況を写真に撮る者、面白半分で動画を撮る者…


『大丈夫ですか!怪我人はいますか!』


側を通りかかった男性が慌てて駆け寄る。

由香は震える手でトラックを指差し


『パパが…パパがトラックに…』


由香は泣きじゃくりながら必死に説明する…


香奈は呆然とし、身動き一つ、瞬きすら忘れたかの様にトラックと壁を見つめる…


三人には永遠とも思える時間が流れてようやく

遠くでパトカーと救急車のサイレンらしき音が聞こえ始める…



雅樹の最愛の妻…グロウは互いに苦労するな…と言った香奈。日本編を読まれていない方に、どんな妻か知ってもらいたくて。

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