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異世界怖い  作者: 名まず
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###ポーション製作 (前)


 「ポーションを作ります。

これには幾つかの工程がありますが、今日はポーションの原料となる薬草を採取します。」


そう言って連れて来られたのが森だ。


また森・・・こっちの世界に来てから森ばかり行っている。


こっちの世界、地球に比べると自然が豊かだ。


砂漠や海などを除くと、陸地には木が生えている地形が多い。


なので、森が多いのは仕方ないことだし、環境のことを考えると木々が多い方が良いことは分かるが・・・。


今日も、前回とは違う森で薬草採取に明け暮れる。


「今度はこの草を探してきてください。」


クサ・・俺が思っていた冒険と違う。


違うのは、アヤトがモンスター退治を嫌がるからなのだが、森はちゃんとファンタジーらしい魔物も用意してくれていた。


アヤトのポーション作りの為に?。




 「あった。 多分これで合っているはずだ。」


見本と、目の前にある草とを見比べながら、アヤトは呟く。


これは、以前採取したことがあるやつだ。


(これが、ポーションの原料になるのか。)


まだ、体がこうなる前にお世話になったことがあるが、確かにあれはすごかった。

傷がみるみるふさがっていった。


あの時の傷は、ポーションを使うほどでは無かったそうだが・・・。


いやいや、あんなに血が出ていたんだぞ?。


初のポーション使用というファンタジーイベント『初ポ』で上がった俺の気分を叩き落とした心ない言葉。


ポーションは軽々しく使うべきではないそうだが、冒険者を見ると気軽に使っているように思える。


ポーションのおもな使われどころ・・・主に軍隊や冒険者といったたたかいの現場だ。


魔法水と同じく、ポーションも時間と共に効力が落ちてくる。


置いておくと、少しずつ魔力が抜けて効力が薄れていくので、普段に使うような人でもなければ、常備しておくわけにはいかない。


下級ポーションという名前から安そうなイメージがあるかもしれないが、それなりの値段がする。


町くらいの規模があればともかく、小さな村や個人でとなると常備は難しくなる。



 下級ポーションは高い。


だいたい銀貨2~3枚が相場だ。


日本の感覚で言うと、下級ポーション1本で5万前後か。


有名な魔法使いやギルドで作ったブランド化されている物は、日本円で10万円くらいするし、見習いが作ったりで安く売られている物だと2~3万円くらいで売っていたりする。


だが、村なら銀貨1枚で大人1人が1か月生活できるので、銀貨2~3枚は充分高い。



 下級ポーションは安い。


さっき言った事と矛盾しているようだが、効き目の割には安いと言える。


日本で傷を治療してもらう事を考えよう。


それなりの傷だと、保険制度を利用しないと何十万円・・・下手すれば何百万というお金を請求される。


それを数万円で治せるなら充分安いと言える。


しかも、自然治癒と違い、飲めば可及的速かきゅうてきすみやかに治すことが出来る。


すぐ動け痛みも引く。

戦場において、傷を負っても すぐに また戦いに出られる事の意義は大きい。


だから、売れるし、常備される。


ただ、安易に使えばい、というモノでも無いらしい。


人間には治癒能力というものがある。


からだが本来持つ、身体からだを治そうとする力だ。


ポーションは、驚異的な速さで傷をいやし、死に至る傷をも完治する。

まさに魔法の薬だが、弱点が無いわけではない。

使い過ぎると、本来 体が自然と持つ治癒能力を弱めてしまうのだ。


働いたり働かなかったりする細胞の漫画がある。

君がそこの登場人物で、体の細胞ならどうするか。

本来なら、自分が働かなくては傷が治らない。

死んでしまうのは嫌なので、頑張って働くだろう。

だが、もし、何もしなくてもポーションが治してくれるなら・・・君は頑張って働くだろうか?。

「いや、働かなくても、いつもみたくポーションが治してくれるでしょう。」と、やる気のスイッチがオフになるのではないだろうか。


そういう理由わけで、戦闘中など差し迫った危険がない限り、ポーションの多用はしない方が良い行為とされているそうだ。


また、ポーションは身近なものの割には・・・いや、身近だからだろうか・・・意外と、詳細については知られていない。


こっちの世界の住人、ポーション万能説・・・と言うか『魔法』と同じく、怪我や病気であれば、ポーションがあれば何とかなると思われている。


セネカが、魔法で怪我を治した時も、「ポーションで治しました。」と言うと、相手は納得してしまう。


どう考えても、(ポーションじゃ どうにもならないだろう。)という傷だったのに、「すごいポーション・・・。」で押し通すと、深く考えるのを止めてしまった。


冒険者ギルドの講習や学校の授業でも、ポーションの使い方は詳しく学ぶが、作り方や使う素材・どういう原理で治るのかなどは、ふわっとした事しか教えてくれない。


それは、ポーション作成には専門の資格がいることも関係している。


ポーション作成の資格は、国やギルドによって厳格に管理されている。


資格を取らないと、使う素材に関する詳細や具体的な製作方法は教えてもらえないし、安易に他者たしゃに教えることは許されていない。罰則もあるそうだ。


なので、魔法使いや錬金術師でさえポーションを作れない人がいる。


まあ、当然だろう。


体の中に入れるものだ。


安全性を担保する為にも、中途半端なものを作ったりされない為にも、ちゃんとした人にしか教えられない。



 ポーションは、薬は薬でも魔法薬と呼ばれるものだ。


言葉の通り『魔法の薬』である。


当然原料に薬草を使うが、より重要な要素が魔法だ。


その媒介になる重要な要素は2つ。


1つは、魔力の供給、魔法は魔力によって発動する。

ポーションの場合、魔石から抽出された魔法水を魔力の供給源としている。

他にも、水などの液体に魔力をめたりすることもあるそうだ。


もう1つが、魔法効果。

魔物の素材や魔力を帯びた植物に魔法を付与することで、ポーションに治癒魔法の効果を持たせることが出来る。


例えば傷に効く一般的な治癒ヒールのポーションの場合だと、傷に反応し魔法が発動、ポーションの中の魔法水の魔力が続く限り傷を治し続けてくれる。


ポーションの材料は薬効を持った薬草、魔力を帯びた特別な霊草、魔物の素材などである。


飲むタイプの物だと、魔物の肉などはきちんと浄化をしないと人の口には入れられないが、ちゃんと処理すると超高密度・超特殊構造のたんぱく質で、ほんの欠片カケラでも人間の腕1本分の材料になるものもあるそうだ。

あの小さな瓶のポーション、それでいて、上級のポーションともなると四肢欠損さえ治癒を可能にする秘訣の一つであるとか。


掛けるタイプのポーションだと、外部から傷や毒を特定して直接働きかけるような魔法効果のある素材が配合され、魔法の効力を助けているそうだ。


その魔法薬ポーションの効果だが、複雑な魔法の組み合わせによって実現されている。


傷を治す下級ポーションの場合、

薬草の効果を引き出す魔法。人間が本来持つ自然治癒力に働きかける魔法。汚れを綺麗にする浄化の魔法。雑菌を防ぐ消毒の魔法。複数の魔法陣を同時に働かせる為の魔法。痛みを緩和する魔法。免疫に働きかける魔法・・・・・・。


全てが解明されているわけではないそうだが、実にたくさんの魔法が付与され、複雑に連動している。


魔法構成も複雑な分、魔力の消費が激しく行使が難しい。


その問題を解消する為にあるのがポーション作成の魔法陣であり、世界刻印魔法だ。


異世界 グラン・グルンでは、世界に魔法が刻み込まれている。


それは、世界全体に作用する法則のような魔法だ。【世界干渉魔法】である。


刻み込まれたものの中には情報も存在する。

それを元に、その人の正しい状態を調べ、それに沿って体が正しく機能するように治す。


それは、おもに古代魔法文明の技術で、神の御業みわざに近いものだ。


完成され過ぎていて、魔法構成を変更する事が困難、勝手に独自の魔法に変更することが禁じられている。


召喚魔法・治癒魔法・認識疎外魔法・神聖結界・盗聴防止の静穏結界などの一部も世界刻印魔法で、構成が複雑で現在の魔法技術では解析不能とされている。


つまり、何故 魔法が発動するか分かっていないが、便利だし 使えるので使用しているという部分がある。


アヤトとしては、「それ大丈夫か?。」と思うが、長年の使用により安全が確立されている技術だそうだ。




 ポーションには色々な種類があるが、


一般的なのが、傷を治すポーションと病気を治すポーションだ。


どちらも、こちらの世界では当たり前に使用されている。


他にも、元気がない時に飲むポーションなんてものもあるそうだ。

これは、栄養ドリンクのようなものだ。

完全に合法なもので、目が覚めるような覚醒作用もない。

元々は、飲んで服薬するタイプのポーションの、弱った体力の向上を助ける栄養補給機能や、体の一部欠損を回復させる為の体に必要な栄養素を外部から補う機能から派生したものであるらしい。


ポーションの無い あっちの世界の住人から見て 意外なのは毒のポーション、これもよく使われている。


これは、こっちの世界では毒殺が一般的・・・と言うわけではなく、毒を持つモンスターが多かったり、虫刺されや、蛇などの毒をもつ動物、毒草によるかぶれ等に使用されているからだ。


もちろん、毒殺対策としても用いられるそうだが・・・。



 ポーションは、下級・中級・上級の、3つの区分のポーションがある。


中級・上級の効能は、作る人や使った素材によって効能に大きく差異が出る。


特に上級は、特別な素材や魔法付与・魔法使い独自の技術で高い効果が期待できるそうだ。


また、3つの区分よりさらに上の特級もあるそうなのだが、こちらは制作も不可能に近く、手に入れる事は奇跡とのことなので説明ははぶく。


下級ポーションは作り方が決まっており、差異はあっても、大きく違いは出ない。


ただ、傷を治すポーションに関しては意外な事実ことがある。


傷を治す中級ポーションの効き目は、実は下級ポーションより弱いのだ。


そのくせ お値段だけは下級ポーションの倍以上する。


値段が高い割には効かないので、街の店では中級ポーションを置いてない所も多い。


ならば何故 中級ポーションなんて物があるのか。


実はこの中級ポーション、貴族などにはよく売れる。


庶民は買わないので、貴族ポーションとも呼ばれている。


貴族として安物やすものを買うわけにはいかないのかもしれないが、無駄な金の使い方・・・だと思ってはいけない。


物事には、何事にも 理由があるのである。






 ミシッ・・・・・・・ミシッ・・・・・・ミシィ・・・・・

・・・・・・・ミキィ・・・・・・・ミシッ・・・・・・・・


小枝が踏まれる音、・・囲まれている。


薬草採取の最中、いつものように襲われる。


槍に魔力を通し、構える。


本当ほんとこいつ等 何処どこにでもいるな・・・。」


手に持った薬草をしまいながら呟く。


何処にでもいるのでウンザリする。

初ゴブの感動ははる彼方かなただ。


アヤトは、この世界に来てそんなにったわけでは無いが、それでも こいつらの顔は見飽きている。


薬草を食べているゴブリンもいた。 洗いもせず そのまま口に入れている。


そう言えば、・・・思い返す。


学園の薬草学の講義でも、薬草を採る時は、特にゴブリンに気を付けるよう、注意をうながされた。


その時は、何で 今 ゴブリンの話し?、とハテナを思い浮かべたが、何処どこにでも居る存在、それがゴブリンである。


薬草採取や山菜取りに夢中になり、後ろからゴブリンに襲われる。

熊なんかより ずっと遭遇率が高い。

薬草の採取作業は、必然的にゴブリンに出会うものなのかもしれない。


実際 毎回 こいつらを蹴散けちらしているし・・・。


採取した薬草を乾燥させる場所も考えなければならない。


下手な場所に干しておくと持って行かれる。

俺はそんな間抜けな事はしない、かもしれない・・・かもしれない。


正に敵だ。


まあ、俺達 冒険者より、狩人の敵であるそうだが。


魔物は動物に興味を示さないが、ゴブリンは違う(魔素タイプのゴブリンは別)。


森の中で、鹿や猪などの肉の取り合いになる。


また、ゴブリンは雑食だ。

木の実はもちろん、食べられる木の根も食べる。

野草や薬草は苦いのが多いので、あまり食べたがらないらしいが、いつもお腹を空かせているので 何でも食べてしまう。


これがまた痛い。


猟師は動物の肉だけでなく、山や森のさち・薬草を取ってかてにしている。


ゴブリンが増えると商売あがったりである。


そして、冒険者より・・狩人よりも・・・迷惑を受けているのが村人だ。


城壁のない田舎の村ではよく畑を荒らされる。


村から野菜も持っていくし、村の周りの野草も食べくす。


家畜も襲われる。

畑を耕す労働力、糞は畑の肥料になる。

何より、冬の保存食である家畜がいなくなるのは、村人にとって死活問題。


村では貴重な金属の道具である畑道具や包丁を盗む不俱戴天ふぐたいてんの敵、女子供をさらうことさえある。


『村人の敵』ゴブリン・・・なのである。


        ・

        ・

        ・


「まあ、小鬼それと同じくらい嫌われているのが屍人アンデッドなのですが・・・。」


誰かさんの心ない言葉に、そっと目頭めがしらを押さえた。








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