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異世界怖い  作者: 名まず
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##バハムート(中)


 個室には窓はついてなかったが、パーティーメンバーが集まる広い部屋には、窓がついていた。


正確には窓ではなく、外の映像を映したテレビのようなものだが、パーティーメンバーは気にしていなかった。


セネカは、アヤトには詳しく説明してくれたのだが、他の仲間には『魔法』ですませている。


そこら辺を聞くと、文明レベルが違い過ぎて、説明が面倒とのこと。

アヤトなら、テレビ・電話・車・飛行機・電子レンジなど参考になる実物や、ファンタジーやSFなどの知識・・・つまり下地があるが、こちらの世界の人間には無いので、概念が想像しにくいそうだ。


頭の良い人に伝えると技術やアイデアを参考にされ、独自の文明の発展を妨げてしまい、頭の悪い人に教えても理解されないので、基本的には教えないようにしているとのこと。


「なので、私の教えたことをうっかり口走くちばしると、人によっては、その情報をようと拷問したり、いろいろ危険があるので、気を付けてください。」と、笑って言われた。


この空船の情報は、各国のスパイが狙っているとか、いないとか。


「あっはっは・・・・気を付けるよ。」


(笑って言うことじゃねえ。)


アヤトは引きった笑いで応えた。


そんなこんなで、快適な空の旅も3日が過ぎた。


空船は高速で飛んでないが、遅いわけではない。


空の上からならゆっくり動いて見えるが、馬車よりもずっと速いし、地上の道と違って障害物や高低差がなく、空は真っすぐに進めるのでかなり速いペースで進んでいるはずだ。


振動や揺れもない・・・多分これ、反重力とかそういう技術で飛んでいる。


実は、秘かにテンションは上がっていたが、オーバーテクノロジー過ぎて戸惑ってもいる。


セネカがすごい奴だというのは分かっていた。


予想はしていた。


ただしそれは、大魔術士とか・・・そういう感じのあれだ。


決してSF的なものではない。


「なあ、これ、本当に宇宙に行けるんじゃないか。」


「行けますよ。

元々の用途は宇宙船ですから。

世間的には、この空船はあまり高くは飛べないし、速いスピードも出せないことになっていますが、『遥か彼方』まで飛んで行ける航行能力はゆうしてます。」


「行かないのか。」


「行きませんよ。

・・・まだ早すぎます。

あと数百年はしてからでないと。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。

あの、それと・・・こっちの世界、空って飛べないんじゃ?。」


「だから、空気中の魔素を排斥する魔道具と魔素を防ぐバリヤーのような魔道具が搭載されています。

まあ 小型化はまだ無理ですが、このサイズのものなら十分搭載可能です。」


「これだけの技術だと国が黙ってないだろ。」


「だから大変なのです。

アヤトさんの元にも変な人が来ると思うので気を付けてください。

ああ、それより、やっとバハムートの姿が見えてきましたよ。

まだ望遠ですけど。」


画面を見ると、確かに黒い粒が映っている。


あれは・・・竜か?。草原の真ん中に立つ(?)竜のような生き物、比較するものが無いから分かりづらいが、多分かなり大きい。


空船そらふねは速度を変えることなく【それ】に近づく。


竜のようにというか、竜より大きい。


普通 竜は大きいが、それでも10~20メートルくらいだ。


それ以上の大きさとなると、頭が悪かったり、鈍重だったり、霊化していたりする。


ただこのバハムートと呼ばれる竜、数百メートルはあるように見える。


そして、弱そうには見えない。

すごく強そうな見た目だ。


「何だあれは・・・・。」


「だから バハムートです。」


画面に拡大されたその生物は、尻尾が長く、おたまじゃくしの尾のように平たくなっている。

体の色は黒だが、光りが吸い込まれそうな黒色、こっちの世界の竜と同じように、手足は長い方だ。

鈍重そうには見えない。

何というか、剣では勝てる気がしない。

勇者が聖剣を持って挑んでも、バハムートから見れば「何その針?」としか映らないのではないだろうか。


そのバハムートの方はというと、こっちを見ている。

映像なので直接アヤトを見たわけじゃないだろうが、こっちに気付いている。


そして動き出す。


飛び立とうとしたバハムートだが、動き出した瞬間、突如現れた結界にはばまれ、バランスを崩す。


映像画面がさらに拡大され、バハムートの足元に小さな生物がいる。


生物ではなく、大きさも小さくないが、この前ダンジョンで見たゴーレムだ。

バハムートの側にいると小人に見える。


よく見ると3体いる。

3角に周りを取り囲み、結界でバハムートを抑えつけている。


アヤトは焦る。


「おいセネカ、また核を使うんじゃないだろうな。」


「アヤトさん、さすがにそれは・・・・・・。

アヤトさんは、私がそんなものを簡単に使うような人間に見えるのですか。

それに、そのつもりなら空船に乗って来たりしません。

ルシュラン神聖皇国の斥候も監視しているなか、この辺り一帯を消滅させる気はありませんから。」


少しホッとする。

実は使うような人間だと思っていたのだが、・・・さすがのセネカも常識はあったようだ。


「じゃあ どうするんだ?。」


「荷電粒子砲準備、出力は11パーセント、収束を8パーセントの範囲内、持続時間300秒、魔力充填、魔法陣展開、魔法構成調整・・・・・・・・・・発射。」


いきなり画面が光り、バハムートに向かって光りの線が伸びる。


映像画面にこの船は映っていないが、あの光りの線が、この船から伸びているのは明らかだった。


画面上のバハムートの体・・・胴体に大きな穴が開いている。


そのまま、バハムートの身体からだが地面に倒れる。


(えっ!、これで終わり?。)


あっという間に終わってしまった。


「・・・・・・・・・・・・・・おい!、何だよあれ。

荷電粒子砲って・・・世界観 間違ってないか。」


「いえ、例え間違っていても、さすがに個人レベルの魔法で、【あれ】を倒すのは困難です。」


「それはそうだが・・・・・・ああいう強敵は、もっと、こう 激しいバトルとか、待ち受ける困難とか そういうのがあるだろ。」


「【あれ】とそんな戦いを繰り広げたら、周辺は壊滅します。」


「っていうか、結局あのバハムートって何なんだよ。」


「アヤトさん、バハムートという単語を頭に思い浮かべてください。

何という漢字が出てきますか。」


アヤトは脳裏に思い浮かべる。


宇宙竜バハムート】・・・?と出た。


宇宙竜うちゅうりゅう?。」


俺の異世界後の翻訳知識はセネカの知識が元になっている。

けど、厳密にやくすると大変なのと、アヤトが自分でこの世界のことを学ぶことを前提としたものだ。

最低限 喋れれば良いという、けっこう適当な翻訳をされていることもあった。


(翻訳の間違いだろうか?。)


「ええ、その通り。 本来 彼らは宇宙で暮らす竜なのです。

たまに食事をしに星に降りてきますが、普段 地上では暮らしていません。

かつて、天から降りて 神も悪魔も焼き尽くしたと語られる魔獣バハムート、

『災害』・『災厄』・『邪悪なる竜』の名をかんし、『空を泳ぎ 遥か天空の彼方よりやってくる魔魚』とも言い伝えられる伝説のモンスターです。

クラーケンと同じくらい有名な魔物ですよ。

本来この船は、あれの2・3匹と戦うことを想定してつくられています。」


「つくるなよ。 そんなもの。

ところであの荷電粒子砲?・・・・出力11パーセントとか言っていたが、なんで100パーセントとか120パーセントじゃないんだ。」


「いえ、そんな出力で撃てば、成層圏が吹き飛んで 大気が無くなってしまいます。

数百の国が滅びますよ。

その出力で撃つのはいですが、権限だけアヤトさんに渡すので、自分で撃ってください。

先ほども言いましたが、この船の本来の用途は宇宙船です。

地上を攻撃することを想定した装備では無いのです。

威力の調整が難しいのですよ。

それと、最も安全に、最も安定的に荷電粒子砲を発射できる出力が100パーセントなので、無理をすれば250パーセントくらいまで出力は出せますが、120パーセントなんて出力を出したら、砲も炉も船体も痛めてしまいます。

・・・今回は特別に120パーセントの出力に設定しましたが、一体どこの国に撃ち込むのです?。」


「やらねえよ!。」


そんな説明を受けて誰がやるんだ!。


「残念です。

極悪非道の魔王として、アヤトさんの名を売れるチャンスだったのに・・・。」


どこまで本気か分からなかったので、取り敢えず その話しは流した。


もちろん冗談だというのは分かっていたが・・・もちろん!。


・・・分かっていたよ?。






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