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売られた喧嘩。仕事でコテンパンにしてやろう。
彼女は常にNO2、いくら頑張っても抜けないので、腹が立っていたのだろう。
たかが1か月でNO1になったからって調子に乗るなよってことでしょう。
持ち前の負けん気でガツガツ、でも表に出さぬよう、仕事に打ち込んだ。
結果、5年間一度も落とすことなくトップでいられた。
喧嘩を仕掛けてきた子は1年で辞めていった。
辞めるときに彼女から
「あのときはごめんね。」
「文句があるなら、これからはシラフの時にすることね。
仕事で負けたなら仕事で返すこと。裏でコソコソネズミは嫌われるわよ。」
笑顔で返すと、
「うん、わかった・・・。」
「今後もこの商売をお互い続けていけば、きっとどこかで会うはずだから、
その時に笑顔で会えるように仲直り。」
すっと彼女の前に手を出すと、しっかり握り返してくれた。
このお店のママには本当にお世話になった。
ある時、お客様が他店の女の子を連れて、お店にやってきた。
私とママで席にお邪魔すると、だいぶ酔ってるようで、
「アンタがママ?」
とママに尋ねる、
ママに向かってアンタってなんだ!
キレかけたが、ママは
「はい、どうぞお見知りおきを」
と笑顔で返し、彼女が
「噂には凄いママだって聞いたけど、大したことないじゃない、フン」
テーブルの下で拳を握りしめた瞬間に、すっとママの手が伸び、
私の拳を押さえ、小さく頷いた。
10分ほど席にいたが、彼女はずっとママを小馬鹿にしていた。
席を抜けると、
「なんでママは黙ってるんですか⁉行かせてください‼
どこの店か聞きだして、同じことをしてやる!」
「怜奈、気持ちは有難いけど、今後もしあなたがママとして、
店をやる時が来た時のために、覚えておきなさい、
ママはどんなお客様でも必ず笑顔で対応するの。
どれだけ、バカになれるかよ、わかった?」
「全然わかんねーし!自分の尊敬する人が目の前で馬鹿にされて、
黙ってろって言う方が納得いきません!」
「それでも、我慢するの!今ここで喧嘩するのは簡単よ、でもそれをしたら、
一緒に来たあのお客様までなくすことになるわよ?それを分かっているの?」
「あんな客こっちから願い下げです!」
「とにかく黙ってなさい、本当にあなたはじゃじゃ馬ね、フフフ」
と言われ、悔しい気持ちを抑えたが、その夜は女の子達と憂さ晴らしをし、
愚痴や文句を吐き出した。
そしてその日からあだ名が「特攻隊長」になった。




