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モテてほしいのは俺であってオレじゃない! かつて天才と崇められた魔法使いは、100回目の転生で自分にハーレムを作らせるため奔走します。  作者: いさき
第1章 

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6

「明聖、か。聖騎士が出てくる時点で、君が並の魔法使いじゃないのは理解できた」


 どうやらレクスも警戒はしていたらしい。

 その言葉には今日まで積み上げた警戒の色が濃く滲み出ていた。


「お前ら「魔王」の天敵。言い換えるなら、魔法使いにとっての必殺の刃。それがここ、王都に常駐しているんだ。その気苦労は察して余りある」

「…………」

「話を少し戻すが。恋愛の師匠になる件については、部分的に受け入れる、という形で答えたい」

「部分的?」


 意図が分からない、といった様子のレクスに対し。

 オレは渋々といった態度で説明する。


「全面的となれば、簡単な受け答えだけでなく私生活まで見直す場合がある。実際に必要かは関係なく、あくまで可能性の話だがな」


 仮にそうなったら人格から矯正したいが、今はどうでもいいので話を進める。


「だがそれは、オレという新米の弟子にとっては都合が悪すぎる。贔屓にされすぎるってのは、女社会にとっては嬉しくない待遇なんだよ」


 ざっと一週間ほど過ごして分かったこと。


 それは弟子たちの中でも、ある程度のヒエラルキーが存在していること。

 そしてそれを逸脱、ないし無視しようものなら、レクスの弟子という社会から排除される危険があるということ。


(こういうのは魔法使いとか関係ねぇが、事を荒立てるのは歓迎すべきじゃない)


 オレだけならまだしも、リリのことを想うのなら無駄に敵を増やすのは得策ではない。

 

 あくまでレクスをモテさせたいのはオレの願いであって、リリの人生においては一ミリも関係ないこと。

 少なくともこの件で、リリアという人間の評価を下げ過ぎる必要はない。


「だから、どうしても解決できない時にのみ、オレから簡単な助言をする。そういう関係であれば、オレにとっても悪い話じゃない」


 理想形は、ゲームにありがちな助っ人キャラ。


 困った時に姿を見せ、的確な助言で課題を解決に導き、音もなく姿を消す。

 これであれば、自然な流れでレクスの傍をうろうろしたとて、事が大きくなる可能性は低い。


(重要なのは距離感。特にレクスの場合、下手に近づきすぎるとオレに矢印を向けかねないし)


 オレがレクスを好きになるのは絶対ないが、逆がないとは言い切れない。


 なにしろ今のオレはリリアという、そんじょそこらではお目にかかれないほどの美人。

 既に婚姻の話が遠方からも来るぐらいには、リリアという少女は美人で気立てもよい。


「そして、必ずオレから対価を求める。今回に関しては明聖ミカエラに関する情報だな。それと引き換えに、オレからお前に恋愛のアドバイスを授ける」


 名づけるなら、羊飼い作戦。 

 哀れな童貞男を上手く誘導し、異性からの関心を獲得する。


 流石にそれだけで付き合えるとは思えないが、まずは視界に入れても不快にならないところから。

 随分とレベルが低いが、ここに関してはリリからの賛同も得られたので問題ないだろう。


「どうだ?互いの立場を考えるのなら、これが最善策だと思うが?」


 満足したオレは大きく体の力を抜き、沈み込むほど柔らかなソファに体を委ねた。


 このソファはいつぞやに買ったものだったはずだが、久々に座ると存外に心地がいい。

 我ながら物を見るセンスはあるな、と一人で自画自賛していると。


「明聖ミカエラ、さんは、その。弟子たちの宿舎に定期的に来ていてな」


 思ってたよりも小さく、そして早い口調だった。


 なんなら口元に掌を当てたままだったので、オレはその殆どを聞き逃していた。


「なに?今なにか言ったか?」

「…………いや、だが、しかしこれは」

「あぁもうモゴモゴ喋るんじゃねぇよ!目ぇ見てシャキシャキ話せ!!」


 オレに怒鳴りつけられ、レクスはピシッと姿勢を正すと。


「聖騎士さんは、よく来るんだ」

「来るって、どこに?」

「ここに」

「ここ?」

「君が寝泊まりしている建物。どうやらあそこは本来、聖騎士さんが一人で使うはずの場所だったらしく」


 なにそれ知らないんだけど。


 思わず反射的にそう尋ね返しそうになり、オレは咄嗟に片手で口を抑えた。


(いやまて。確かにそういうことなら、あそこに教会の人間が頻繁に来ていることにも説明がつく。じゃあなんだ?あそこは元々は聖騎士のための場所で、オレはそれを知らないで勝手に強奪したってことか?)


 一回目のオレは見事なまでに嫌われていて、理由が分からないまま転生魔法で人生を終わらせた。

 結局そこが治ることはなく、延々と悩み続けた末に今ここにいるのだが。


(そりゃ、目の敵にされるわな。むしろよくオレを倒そうとしなかったくらいだ)


 施しの精神なのか、あるいはそういったものに関心がないのか。

 いやそれなら定期的に様子を見に来ることもないだろうから、いわゆる騎士道的なアレがナニかもしれない。


「その様子だと、なんか言われたんだろ」

「言われはしてない。ただその、それを知らず勝手に使ってるからか、協会の人間からは凄く嫌われているみたいで…………」

「…………まさかと思うが、「魔王」が使うんだから光栄に思え、とか言ってないよな?」

「…………」

「なんなら、女性だから聖騎士には言えていない、ってこともないよな?」


 まさかの図星である。

 いや、実際にオレがそう思ってたことが数回あったのだから、それがレクスにも当てはまって当然ではあるのだが。


(…………これ、思ってたよりも重症かもしれん。オレに自覚がないって点が特に)


 オレは十分に反省した。

 何が悪かったのかも理解し、改善すべきこともきちんと把握している。


 だが、それはオレが自覚している範疇での話だ。

 今回の事例みたいなのが仮に、物凄い数あったとすれば。


(余罪まみれの可能性あるぞこれ。むしろよく天命を全うできたな、オレ)


 初日のインパクトと、セクハラ紛いのプロポーズをしてない事実に安堵しすぎたか。

 いやそもそも、相手がオレという事実を軽く見過ぎたか。

 

 オレは内心でそう反省すると、おもむろに立ち上がりレクスにこう告げる。


「ひとまず、今日は帰る。色々と整理しないといけない事実が分かったんでな」


 オレとレクスの関係に、聖騎士の動向。


 ここまで分かっただけでも、今日は大収穫とするべきだろう。


「とりあえず、なんとなく想像できるから釘を刺しておくが」

「っ、なんだ?」

「間違っても、今から謝罪しに行くなよ?単なる挑発行為だと思われるだけだ」


 どうやら図星だったらしく、レクスは浮かした腰を再び下ろした。


 そこから俯いて動かなくなったので、オレは放置して部屋を後にする。


 慰める必要はない。

 生憎と、負ったダメージは同じくらいなのだから。

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異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?    ☆☆☆☆☆
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