8,過去
2025年4月12日。
藤沼と瓦井は情報収集にあたっている。
過去の資料を漁り、事件の真相にせまろうとしていた。
瓦井は過去の事件を調べ、藤沼は眼球が飛び出て死に至る病について調べていた。
「はぁ〜。」
「そのため息は手詰まりってことですかね?」
「そこまで分かられちゃうと、さすがに鬱陶しいかも。」
「んな事言わないでくださいよ。
こっちは少し収穫がありましたよ。」
「私の方はダメだ。
眼球が飛び出る病はあるにしても、死に至るのはその延長線…決定打にならなすぎる。」
被害者は病気という訳でもなかった。
帰ってからすぐに、被害者たちの脳に異常がないかを確認したが、特におかしいところは見当たらない。
脳の異常で幻覚を見て精神をおかしくしたという説は途絶えてしまった。
「そっちは何を収穫したの?」
「10年前に同じ事件が起きてました。」
椅子に倒れ込むようにしていた藤沼は飛び上がりそうな勢いで体制を元に戻した。
「何が少しよ。とんでもないもの見つけてるじゃない。」
「でも、手がかりになるかは分かりません。
今回の事件との場所は全くと言っていいほど違います。
10年前は岩手、新潟、沖縄、静岡、茨城、広島で起こってますね。それも1ヶ月以内に。」
順番もバラバラ、犯人が逃げたとして、そんなに長距離で人を殺しながら回れるものだろうか?
あまりに早すぎる。
完全犯罪を成し遂げられるような相手かもしれないからその線は否定できない。
「月は?」
「えーと、全員4月です。」
「今の状況とほぼ同じ。被害者に共通点は?」
「ほぼないです。死に方以外は…
何回も見直しましたけど、特に思い当たる節はないですね。」
瓦井は藤沼に資料を渡し、確認をさせた。
藤沼は何か見落としてないか、真剣に資料を5回は読み返したと思う。
それでも、共通点は死に方以外に見つからなかった。
「この事件を担当した人は?」
「既に亡くなってます。」
「亡くなってる?」
「この事件を追っていたのは自分たちとは違って1人の刑事だったらしいんですが…
広島の人でした。」
「つまり…」
「はい…眼球が飛び出て亡くなってます。」
ありえないことだと自分に言い聞かせる藤沼。
仮にも刑事だぞ?
そんな簡単に殺されるはずがない。
自分たちのようにバディで探していたのなら、片方に話を聞くことが出来たかもしれないのに。
生憎の1人…
無理もない。こんな事件を調べるのはもの好きだろう。
厄介事を大きくすることなど誰も望まない。
警察であっても、中身は人間だ。
普通、捜査を続けると思うだろうが、前の事件から10年経っているとなると世間からの目も薄れていく。
そしてまた10年が過ぎ、ひたすらに負の連鎖をループしてしまうかもしれない。
「6人が亡くなったのよね?」
「そうです。」
「あと3人が死ぬかもしれない…
私たちでどうにか助けたい。」
その言葉に瓦井は返事ができなかった。
かといって、「どうやって?」なんて聞けば、「分からない」と返ってくるのは明白である。
そのまま大きな手がかりもない状態で資料だけが増えていき、4日が経過してしまったのだ。




