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VSレッド

挿絵をイラストレーターの蒼獅郎 様に描いていただきました。

前書きに外部リンクを載せるのはNGなので、

詳細はこちらの活動報告

( https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2832088/blogkey/3621729/ )

をご参照ください。

※AI学習禁止

挿絵(By みてみん)


――夜、夢を見た。


『大丈夫、もう怖くないからね。』


3年前、私が恋した男の子は、同世代より大人っぽくて……頼りになって。

誰よりも「ヒーロー」みたいな人だった。


でも……


―――


――


「ピロリロリン」


ふと、スマートフォンの着信音で目が覚める。

レースカーテンを通して、朝日が私を照らしていた。


「はい、もしもし……」


『あ、リリア?俺はもう事務所に向かってるよ。リリアもそろそろ準備して。』


カグラは、それだけ伝えると電話を切る。


(そうだ……行かなきゃ。)


時刻は朝の5時。もう6月ということもあってか、外はかなり明るい。


事務所の前まで来た時、狭い路地にオレンジ色のパーカーを着た男が立っているのが見える。

その背丈と茶色い髪を見て、私は顔を(しか)めた後で足を速めた。


「待ってよ、どこ行くんすか。」


「……今日、大事な用事があるのよ。話がしたいなら簡潔に済ませなさい。」


無愛想に言うと、多々良はクスクスと笑ってから

「焔っちょに勝とうとしてるらしいっすね、君。」と口にする。


「だったら……何。」


「帰った方がいいっすよ。『次元が違う』んだから。焔っちょはねー、普通の人間が憧れるのも越えようとするのもおこがましい『完全なヒーロー』なんです。」


「……そんなんじゃないわ。あいつは『赤城焔』って言う、人より強くて顔が良くて、ちょっと鬱陶しいただの男の子よ。」


拳を握りながら、そう呟く。


「……あは……」


何を感じ取ったのか、多々良さんは私の方にじわりじわりと近寄ると、目の前に立って私を見下ろした。


「君、『こっち側』でしょ?」


「は……」


多々良のよくわからない言葉に、私は困惑する。


「『本物』を諦めたって顔してる。そっかあ、だから変えようとしてるんですね?焔っちょを超えれば、『本物』になれなかった事実を塗り替えられると思ってるんだ!」


「何……意味わかんないこと言ってんのよ……」


しかし、多々良の言葉には私の心の弱い部分に触れるような、不気味さがあった。


「俺も……何度も塗り替えようとしたんすよ。救おうとしたものを取り溢して、それでも諦めずに泥の中であがいて……でも、ね?所詮、無駄な足掻きっすよ。」


「……」


「終わったら連絡してね、リリアちゃん。凡人同士、泥の中で傷を舐め合いましょ。あはははは!」


多々良は笑いながらその場を去る。

無理矢理握らされたメモの切れ端には、多々良の連絡先らしき文字列が書かれてあった。


(――不快な奴……!)


私はそれをぐしゃりと握りつぶしてから、グランドに向かった。


……


グラウンドに到着し辺りを見渡すと、焔が少し暗い顔をして立っている。

今日はヒーロースーツを身に着けており、余程のことがなければ自分の炎で焼かれることは無さそうだ。


こんな早い時間になったのは、お互いの身に「何か」あっても療養の時間が取れるから。


愛の適切な処置とナギやカグラの能力があれば、ある程度の怪我はリカバリー可能……つまりは、大勢のバックアップ下の元、本気で戦う為の土台を作ったのだ。


「リリアがどうしてもって言うから着てきたよ、スーツ。紅丸も持って来た。その代わり、君はチップを2つ持ち込める、それで本当にいいのね?」


焔は言いながら「紅丸」の鞘を抜く。彼の専用武器であるそれは、燃え盛る刀である。

アニメで見た時はかっこいいとしか思わなかったが、近くで見るとかなりの迫力があった。


「ええ。焔、準備はできてる。……始めましょう。」


私と焔は、特に世間話を挟むこともなく「よろしくお願いします!」と挨拶した。

緊張からか、少しだけ足が震えてしまう。


(絶対零度を……!出す……!)


私は気を集中させながら体に冷気を巡らせる。

――しかし、焔は何かを察したのか、物凄い速度で走り寄り、力強く刀を振り下ろしてきた。


(まずい!)


反射的に刃を受け止めるも、ゴム製の刃先がぶつかった瞬間、柄にも熱が伝わってくる。


そして焔の体から炎が出ると……ゴムの刃がどんどんと熱で歪んでいくのが分かった。

すぐに氷で刃先をコーティングしてから、自分の体も氷で覆う。


絶対零度を使うには、龍族のチップを使用するか、何もチップを使わない状態で戦わなくてはならない。


だが、焔の猛攻はチップの針を刺す時間すら与えてくれなかった。


(このままじゃまた、何もできないで負ける――!そんなの嫌!)


冷気の粒を纏い、触れてきた焔を凍らせようと試みたが、すぐに炎の熱で溶かされる。


ワンパターンや力押しはダメだ。前、それをやったせいで焔は力の差を感じて手を止めてしまった。

分析しろ……!焔には一見、「目に見える弱点がない」。


しかし、「内面」になら……いくつかの脆い部分がある。


私は焔の刀の刃を受けていた手から力を抜く。

そして、焔の重心を地面に流した。


焔の大きな身体はバランスを崩し、傾く。


焔の弱点……それは、「過剰な自信」にある。


「この力で押せば相手は倒れるはず。」「炎を出せば手が出せないはず。」……とんでもない場数を踏んできた経験に根ざしたその戦闘スタイルは、どうしても「短期決戦向け」に力みがちになるのだ。


だからこそ、その力を利用されたりする戦い方にはきっと慣れていない。

焔が「押してきた時」、「引けば崩せる」。


その隙を狙い距離を取ると、私は息を整え龍族のチップを取り出した。


(『自分が絶対零度を使うこと』に拘りすぎちゃいけない。勝てばいいの、一番勝てる選択肢を視野に入れなきゃ。)


そして針を刺そうとした瞬間、固い「何か」がチップを弾き飛ばす。

くるくると回りながら遠くへ滑っていく黒いチップ。

何が起こったのか理解できず熱を感じる足元に目をやると、ゴムの弾丸がグランドの地面を抉っているのが見えた。


(銃で撃ったの!?しっかり距離を取ったと思ったのに……!)


焔は遠くから銃を構えながらこちらに走り寄る。

走っている最中ブレるはずの弾道は、こちらを的確に射貫こうとしていた。


「銃の扱いまで一流とか、ズルいんですけど……!」


文句を垂れながらも、距離を縮められないように壁を作りながら逃げ回る。


(あった!龍族のチップ……!)


地面に弾き飛ばされた龍族のチップを何とか見つけて手を伸ばす。


指先にチップが触れた瞬間、私の上に大きな影が落ちた。


「え」


私の作った壁の上を伝いながら、焔が炎を纏い上空から現れる。

そして、足元が揺れる程の衝撃を起こしながら地面を切りつけた。


――その、足元にはバラバラになったチップがあり……そこから液体が漏れ出している。


「武器破壊はルール違反じゃないもんね。」


焔はゆっくり立ち上がると、そう言って穏やかに微笑んだ。

本日から7日後(5月1日)に当作品を検索除外にします。更新は続きます。

1日当日、序章、ロクタ編に大幅な改稿が入りますので読み返している方はご注意ください。

以上よろしくお願いいたします。

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