選手入場ッッ!
魔王軍領地の砂漠のど真ん中に突如として現れた、巨大な円形闘技場。
照りつける太陽の下、観客席を埋め尽くしているのは魔王軍の魔物たちと、中継魔法で見守る勇者の仲間たちだ。
勇者に何かあった時に手出しされちゃ邪魔なので、仲間たちにはライブ配信を見てもらう事にした。
『さああああ!! 始まりました異世界勇者トーナメントォォォォ!!』
実況席から、マイク型モンスター――機械騎団特製[爆音・バット]が絶叫した。
身体は丸っこいマイク。羽根と手足が生えている。あと無駄にテンションが高い。
『実況は私! 機械騎団のスーパーハイパー実況モンスター、爆音バットがお送り致します!!
そして解説はこの方!! 謎の仮面男、タ・カートさんです!!』
『どうも』
何故か解説役に抜擢され、実況席に座っている。
寂しいのでリリベルも一緒。
『いやー! 今日はどんな異世界勇者達が見られるのか! ワクワクしますねぇ!!』
『ええ。主に怖い意味で。』
『では早速、出場者の紹介だァァァ!!』
ドンッッ!!
爆発音。
闘技場の端に、巨大なゲートが開く。
『まずはこの男ォ!! 一度見た武器や道具を何でもコピー! 歩く武器庫! 武器の勇者、ゴロォォォウ!!』
「おおおおお!!」
観客席の魔族達が盛り上がる。
いや、そいつは敵だぞ。なぜ盛り上がる。
ゴロウは無言で歩いてきた。
黒髪。長身。いかにも寡黙な剣士って感じだ。
背中に剣を一本だけ背負っている。
……一本だけ?
『続いて!! 炎を操る紅蓮の破壊者!! 炎の勇者、リツカァァァ!!』
赤髪の女……っぽいが男?が出てくる。
火の粉を撒き散らしながら。
うーん派手。
『水を操る静かなる支配者!! 水の勇者、トキオォォォ!!』
青いコートの男。何かクールぶってる。
炎の勇者と性格も相性悪そうなのは運命なのか。
『捕まえた魔物を自在に操る!! 異世界の携帯獣マスター!! 携帯の勇者、サトルゥゥゥ!!』
帽子を被った身長の低い青年が走ってきた。
待て。その見た目大丈夫か?
『全てを壊す力が沸いてくる!! 力の勇者、カズヤァァァ!!』
筋肉。とにかく筋肉。
何かもう服まで筋肉に負けてる。
『全ての害から身を守る最強の盾!! 守護の勇者、マモル!!』
白い鎧の屈強な青年。
いかにも堅そう。
『全てを吸収する底無しの怪物!! 吸収の勇者、ナオト!!』
黒いローブの男。何か顔色悪い。
『そして最後ォォォ!! 無限の魔力を持ち、あらゆる魔法を使う!! 歩く魔法図鑑!! 魔力庫の勇者、タカノリィィィ!!』
最後に、魔導書を持ちながら貴族っぽい男が出てきた。
『いやー! とんでもないメンバーですねぇ!! タ・カートさん、どう思いますか!?』
『能力説明だけ聞くとそこまで脅威と思えないんですけどね。実際戦ってみると頭を抱えるんでしょうね。』
『おっと! 解説も警戒しております!!
ズバリ! この大会の見どころはどこでしょう!?」
『揃いも揃って、能力説明が雑すぎるんですよね。
雑な能力ほど、解釈次第でありえないチートになります。
能力も、魔法系・身体能力系・道具系と系統がバラバラになったので、幅広い戦いを見て勇者を学んでいきたいですね。』
見どころというか見たくないというか勝手にやり合えというか。
チート同士の戦いなんてハチャメチャが押し寄せてくるに決まっている。
このトーナメント、無事終わるのか?




