閑話「ギャル男に優しいオタクちゃん 3」
コミック「ギャルに優しいオタク君6巻」
本日発売です!!
放課後の誰も居なくなった教室にポツンと佇む一人の少年。彼はこのクラスの委員長である。
彼は今、重大な事で悩んでいた。
(最近、小田倉さんと話す機会がめっきり減った)
オタクちゃんとクラスメイトの委員長。彼は隠れオタクである。
同じく隠れオタクであるオタクちゃんとはひょんな事から意気投合。
誰も居なくなった教室で、オタクちゃんとオタク会話をするのが彼のひそかな楽しみになっていた。
しかし、委員長はある日を境にオタクちゃんと話す機会が減ってしまう。そう、オタクちゃんと雄介の出会いだ。
オタクちゃんにべったりな雄介にジェラシーを感じる委員長。
(……小田倉さんは根暗なオタクよりも、気さくで陽気なギャル男のが良いよね)
委員長の想いは募っていく一方だった。
(そうだ。小田倉さん好みの陽キャになれば、また仲良くしてくれるかも!)
そう思い立った彼は、オタクちゃんの好みを調べる為に第2文芸部に向かった。
第2文芸部。
オタクちゃんが用事で帰り、部室にいるのは女子2人。
「ちょっ、これマジ好きなんだけど! ちょっ、ヤバイって!」
PCの前で騒ぐふくよかな女子。本名は忘れられ、「チヨ」というあだ名で呼ばれている少女だ。
あだ名の由来は「ちょっ!」を連呼するかららしい。
「分かりみが深い! 魔法少女になった男の子がスカートを抑えてパンチラガードする姿からしか得られないニュートリ!!」
チヨと共に、PCの画面に表示された魔法少女のような衣装を着たアニメキャラを見ながら、痩せ気味の少女が満足そうに頷く。
彼女もまた、本名を忘れられ、「ヌトリ」というあだ名で呼ばれている。
あだ名の由来は普段から「アニメキャラ+ニュートリ(栄養の英語)摂取!」と言っているかららしい。〇〇ネシウムと言わない辺りに拘りと拗らせを感じる。
そんな彼女たちがPCの前で他愛のないオタク会話をしている時だった。
ガラガラと控えめな感じに扉が開かれた。
今日も雄介かリュウが来たのかと身構えるチヨとヌトリだが、扉の先に居た人物はいつもと違う。
おっとりとした佇まいの少年だった。バッヂの校章から同じ学年であることが伺える。
制服を綺麗に着こなし、漆黒の髪は綺麗に七三分けされている。
(委員長だ!)
彼女たちは同時に彼が委員長だと感じ取った。
別に彼女たちのクラス委員長をしているわけではない。雰囲気が委員長なのだ。
「あの、すみません。少しお話宜しいでしょうか?」
少年の物腰の柔らかい喋り方。見た目だけでなく中身も完璧な委員長である。
雄介のようなギャル男にはめっぽう弱いオタクちゃんたちだが、相手が委員長なら弱気に出る必要はない。
彼女たちは警戒を解いた。
「ちょっ、どうしたのかな?」
「入部希望か見学希望かな? ここは第2文芸部だけど」
稀に文芸部と勘違いして、第2文芸部に来る人はいる。
大抵はそのまま文芸部に行ってしまうのだが。
彼女たちの問いに、委員長がニコリと微笑む。
「いえ、ここであっているので大丈夫ですよ」
チヨとヌトリも、ニコリと鼻の下を伸ばして微笑み返す。
「それで第2文芸部には何の用で?」
「はい。実は小田倉さんの性癖を教えて欲しくて……」
(訳:小田倉さんの趣味教えて欲しいのですが(ToT))
「……ちょっ!? なんて!?」
「ですから、小田倉さんの性癖です。好きなゲームやアニメの女の子を教えてください」
(訳:あの、小田倉さんの好きなゲームやキャラを教えてくれますか?(゜ロ゜; ))(( ;゜ロ゜)オロオロ)
唐突に性癖を教えろと言い出す少年。
2人は解いた警戒を一気に最大レベルまで引き上げる。
彼女たちの第6感が言っている。コイツはヤバいと。
オタクちゃんの性癖を暴き、クラスで晒し者にするつもりなのか。
それとも、隠れオタクをしてるオタクちゃんへの脅しに使うつもりなのか。まるでエロ漫画のように!
どちらかは分からないが、彼女たちに仲間を売るという選択肢はない。
「いやぁ、あっはっは」
「小田倉氏の性癖をと言われましても、皆目見当もつきませぬな」
顔を見合わせて笑う2人の元へ、委員長がニコニコしながら近づく。
「ねぇ、教えてくれるよね」
(訳:小田倉さんと仲良くなりたいから、お願い(*´∀`人))
少年の瞳からハイライトが消えていく。
あっ、こいつソッチ系のヤバい奴だ。2人は蛇に睨まれたカエルの如く脂汗を吹き出し始める。
「ほら、早く。イジワルしないで。これは命令」
(訳:ダメかな?(;´・ω・))
「ちょっ、こんなところに偶然小田倉殿のフォルダがあるね!!」
耳元で囁かれ、耐えきれなくなったチヨが、オタクちゃん用のフォルダを開いていく。
フォルダの中は、アニメキャラの画像だらけである。
「見せて」
(訳:ありがとう(^^)/)
「は、はい!」
チヨがピョーンと椅子から跳ね退くと、委員長が椅子に座ってフォルダの画像をあさり始める。
「メガネをかけた男性が多いんですね」
「そ、そうです。小田倉氏は基本メガネが好きと言ってたましたな!」
「他には?」
「えっ?」
「だから、他には?」
(訳:まだ何かないですか?(?_?))
「ヒィ」
耳元で囁かれ、思わず悲鳴を上げるヌトリ。
素直に教えれば満足して帰ると思いきや、まだ情報を求めてくるのだ。
「ちょっ、そう言えば最近はギャル男……鳴海殿や姫野殿と一緒に居るのをよく見るかな!」
「それは知ってます」
どうやら地雷を踏んだようだ。
先ほどまで大人しかった少年が、声を張り上げたのだ。
「ヒィィィィィ」
ヌトリに続き、チヨも悲鳴を上げ始めた。
別に委員長は脅してるわけではない。やっと共通の話題が出て嬉しかっただけなのだ。
耳元でボソボソ喋るのも、興奮するとオタク特有の早口言葉と大声が今のように出てしまうから、自分を律するためにやっているだけで。
もちろん、そんなことはチヨやヌトリが知る由もない。
「包み隠さず、全部教えてくれるよね?」
(訳:そろそろ下校時間だから、今のうちに小田倉さんの好み他にも教えてもらっても良いですか?(o*。_。)oペコッ)
「あ、あれだ。執事系ニュー、執事系の栄養素を欲してたようです!」
「執事系?」
委員長がパソコンで検索すると、執事キャラの画像が次々と表示される。
ちなみにオタクちゃんが執事にハマっているのではなく、雄介たちがホストっぽいからやってみたいと言ってたので少し調べていただけである。
「そっか、小田倉さんはこういうのがタイプなんだ」
委員長はUSBメモリを取り出し、オタクちゃん用のファイルと執事系の画像を保存していく。
「……今日はこれで帰ります。次回までに小田倉さんの事もっと調べておいてくださいね。約束、破ったらお仕置きですよ」
(訳:アニメのキャラのセリフ、なんちゃって(^^ゞ)
「「は、はい」」
ギャル男とはまた違う圧を放つ委員長は、そのまま来た時と同じように控えめな感じで扉を開けた。
振り返る事なく部室を出て、また控えめな感じで扉がしまる。
「何見てるんですか?」
(訳:お約束展開のワッ!\(^◯^)/ )
「ヒィィィィィィィ!!!!!」
いなくなったか確認をしようとしたチヨとヌトリが、扉の窓越しに委員長と目が合う。
思わずその場で尻もちをついた2人に目もくれず、静かな足音を立てて委員長は去って行った。
「ちょっ、見た!?」
「ヤバイヤバイヤバイ」
「拙者、ギャル男に絡まれる小田倉殿を見て、正直羨ましいと思っていたけど、間違いだったかもしれない」
「それな! ニュートリの摂取のし過ぎは体がもたないと悟らされた……」
しばらく震えた後に、やっと落ち着いたチヨとヌトリは、制服についた埃を払いながら立ち上がる。
賢者タイムである。
「ヌトリ。この想い、ぶつけよう!」
「チヨ氏。微力ながら我も手伝いますお!」
チヨとヌトリ。彼女たちは後に「オタクちゃんに優しいギャル男+」という新刊を出し、一世を風靡ふうびする事になる。
新キャラのドSメガネがヤンデレを通り越した内容があまりにリアル過ぎたために「完全にホラーじゃねぇか!」と騒がれ話題になるが、それはまた別の話である。
応援誠にありがとうございます!
気が付けば6巻!売れ行きが良いみたいでまだまだ続刊する予定です!
ですので、これからも応援して頂けますと幸いです。
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