ジゲンの考え
ジン達がディノケイドとの面会を終えて騎士団の訓練場に向かっているとデイダラが何の気無しに話し始めた。
「いやぁ、流石は大国の王って感じだねぇ。俺っち割と萎縮しちゃったよ」
「奴は何も考えてないだけだ」
衛兵などに聞かれたら余裕で不敬罪で死刑千万だがジゲンは「カッカッカ」と笑って答える。
「まぁ、たしかに底が見えない感はいなめないよね」
ジンも会話に参加する。
「旦那とジンの肝の座り方もわりかし異常だぜい?」
「バカにしてるのか?デイダラ」
「いやいや、俺っちが旦那をバカにするなんて天地がひっくり返ってもありはしねーさ」
ジゲンに睨まれて、咄嗟に取り繕うデイダラにジゲンは全くと呆れて話を変える。
「ついてから説明をするつもりではいたが先に伝えておこう。デイダラ、お前には遊撃大隊の指揮を任せる。テンゼンはその補佐だ」
「ふーん、反論は出ないんかい?いきなり来た余所者が大隊の団長なんて」
「あるわけなかろう。小国とは言え国軍の将軍で有名なお前だ、誰も文句は言わんさ」
「そっか、俺っち割と有名人でよかったわ!」
デイダラは歯に着せぬ物言いで得意げに笑う。
ジゲンがデイダラとテンゼンのこれからをいい終えて話はジンへと向かう。
「ジン、お前には一個小隊を任せる」
「一小隊?一兵卒じゃなくていいの?」
「一応は面子もある。無難なところだろう。ちょうど新兵が200人入ってきたところだしな」
「そ、りょうかい」
ジンとジゲンのやりとりに待ったをかけたのはデイダラだった。
「ちょいちょい、旦那!ジンを小隊長なんてありえんだろーに」
「ほう、なぜだ?」
「ジンはテンゼンと張る実力だぜよ。だったらそれ相応の立ち位置ってもんが相場だと思うよ?」
「いや、デイダラさんそれは違うよ」
待ったをかけたデイダラに被せて待ったをかけるのは他ならぬジンだった。
「ここで俺がどこかの部隊の副団長にでもなったら親父殿の七光って奴になる」
「そんなんはすぐに解消されるほんの二、三人のしてやりゃーそいつでしまいだ。みんな理解するだろ、お前の実力を」
ジンの話にデイダラは自分が小国でやったことをそのまま提案する。
「たしかに理解はするだろーね。けど納得はしないさ。うちの、いや青龍騎士団は他の軍とは違って平民が半数以上を占めてる。そしてあんま貴族のことをよく思っていない。そこに平民出の英雄とはいえ貴族になった親父殿の息子がいきなり大役にでもなったら人は思うんだよ。親父殿も貴族になって変わったのかってね。納得はしないってことは軍の士気に関わる。これから時間があるならそれもまぁなんとかなるけど、俺らはもうそう遠くない未来戦争をする。そこで士気がバラバラだった場合勝敗にも大きく関わるかもしれない。それじゃ本末転倒ってになるってことさ」
「......なるほど」
デイダラはジンが言ったことを正しく理解し、頷き、ジゲンはジンがしっかりと自分の言ったことを理解していることに満足気に頷いた。
この時テンゼンだけが戦慄していることに誰も気づかなかった。たった12、3の子供でこの思考は異常としかいえない。だが誰も疑問を持っていないことにただただ戦慄するのだった。




