前へ目次 次へ PR 35/118 「藤棚」 裏庭には色んな果樹や花壇、畑に。今の季節は特に綺麗だ。躑躅《つつじ》の植わった花壇沿い朝露に輝く花を見ていた。 そして花壇は藤棚へと続いていて。 淡い紫が葡萄《ぶどう》のように連なっている藤を見ていた。 「ほぅ、見事な藤棚ではないか」 「今日は歩きで来たんですか?」 「うむ」 彼女は気分によって家まで来る方法が違う。はらりと風に揺れつつ微かに散る藤に彼女は。 「君がため藤花咲《ふじはなひら》き、風に散るらむと言った所か」 ドヤ顔で彼女が一句詠んだ。