前へ目次 次へ PR 33/118 「蓬」 「蓬《よもぎ》を持ってきたぞ端女よ。何か作れ!」 「飛び入り参加はご遠慮願います」 「この妾が言っておる、早よせんか!」 「ダメだ聞いてない」 片手に蓬の束を掴んでいる彼女には申し訳ないが。 「じゃあお夕飯で。食べていって下さい」 「む。八ツには使わんのか」 「……おやつは蓬の草餅と新茶です」 「!」 目をまん丸に開いた彼女は。 「以心伝心というやつか」 と蓬を台所のテーブルの上において、手を洗いにご機嫌で踵《きびす》を返したのであった。