前へ目次 次へ PR 32/118 「抱き枕」 「あ、見て下さい。あの抱き枕可愛いですよ!」 彼女と雑貨屋に来た。物珍しそうにしげしげと色んなものを見ている彼女に、胴体の長い兎の抱き枕を示せば首を傾げた。 「随分と胴の長い兎よな」 「寝る時にぎゅってするんです」 「寝る時に?」 眉をしかめた彼女が問答無用で私の手を掴み、雑貨屋を出た。 「ちょ」 「あんなものより妾の方が温《ぬく》いぞ、端女」 「は?」 「閨《ねや》に連れて行くなら妾にせよと言っておる!」 彼女の耳は真っ赤だった。