前へ目次 次へ PR 29/118 「花冷え」 「っしゅん」 「何だ? 風邪か?」 「いえ、今日は冷えるのでそのせいかと」 「確かにな、冷え込んでおる」 「花冷えですね」 ほのぼの部屋の中でしまおうと思っていた火鉢に種を入れて手をあてれば、彼女が後ろから抱きついてくる。 「何ですか?」 「……端女、貴様は花冷えを知っておるのにこう、情緒が足りんな」 「いえいえ、あなたほどでは」 「褒めとらん」 一つため息をついて諦めたように彼女は火鉢に手をかざした。寒かっただけか。