前へ目次 次へ PR 22/118 「声かけ」 春麗《はるうらら》と呼ぶにふさわしい晴模様。私は新芽が出てきた本柚子《ほんゆず》の木にホースで水を撒いていた。 「ちゃんと実って下さいねー」 「植物に声をかけるのか?」 「わっ!? びっくりさせないで下さい」 「ふん、この程度で騒ぐでないわ。で、何故声をかける?」 「えーっと、なんとなくその方が美味しくなってくれそう、だから?」 「ふむ」 1つ頷いた彼女は、何故か私に。 「美味しくなれよ」 と言って頭をなでてきた。私、植物じゃないんですけど。