前へ目次 次へ 21/118 「鯛」 台所にて。 「骨は後で骨煎餅にしましょう」 「つまみか?」 ひょこっと顔をのぞかせた彼女に思わずびびる。酒か? 酒? と嬉しげな彼女には悪いが。 「今からお昼ですよ。鯛の煮つけ、刺身、春キャベツと鯛のご飯です」 と言えば途端に目が輝きだすから愛しい。彼女は「食べる」という行為が好きだ。 そんな彼女に。 「骨煎餅は後でおつまみとしてお出ししますからお楽しみに」 と告げれば。首の骨を折らんばかりに抱きつかれた。死にそう。