第18話
お久しぶりです。
「えっ?」
「実は私たちがここに突入したとき、二人いたんだが、一人は私たちに気がついたと思ったら消えられてしまってな。突入前に結界をこの部屋に張っておいたから逃げられはしないとは思うが何処にいるか全くわからなくてな。まだ隠れているはずだが爆発で部屋全体を吹き飛ばしたが見つからなくてな。」
お祖父様の話を聞いて私は辺りを見渡します。
袋詰めにされていたときに聞いた話だとここは戦争時の奇襲基地だそうですが、見た感じは大きな洞穴ですね。基地っぽさといえば床にある陣の跡と砕け散った魔晶石くらいでしょうか。
陣は魔力を吸収する特殊な塗料で描かれたものでここに魔力が流し込むと魔力が陣の形になり魔術が発動するという仕組みです。
魔晶石は魔力を溜め込む石ですが魔晶石の溜め込もうとするよりも陣が魔力を吸収するほうがわずかに強いため陣に魔晶石を置くと自動的に魔術が発動します。
後この洞穴にあるものといえば壁の前に蹲っている人だけでしょうか。
おそらく先程お祖父様と戦っていた人でしょうが身体中が焼け焦げていて顔もわからなくなってしまっています。
他には私たち以外誰もいませんし、何もないので隠れる場所もありません。
本当にまだいるのでしょうか?
「駄目じゃな。見つからん。」
「シルフ様でもわからないのか、ユリエル。」
「ああ、シルフ様によるとかすかに儂ら以外に誰かいるとは感じるが何処かはわからんそうだ。」
シルフ様はユリエル様の番である風系統の精霊様です。
精霊術で力を貸してくださるのは基本的に下級精霊様たちですが、まれにユリエル様のように特定の中級精霊様の力をお借り出来る方もいます。
そういった精霊様は力を貸す人から離れることはないため両者を番と呼んでいます。
シルフ様のような風系統の精霊様は大気を司ります。そして大気は世界中に満ちているため風系統の精霊様は何かを探すことに長けています。
つまり風系統の精霊様から何かを隠すのは至難であり魔術で中級精霊様であるシルフ様から隠れるにはかなり大規模な陣を描く必要があるため、不意討ちを受けた状態では不可能です。
短時間でそれをなせるのは精霊様の力を借りるしかありません。精霊教は精霊術を認めていないので、残る可能性は精霊様を身に宿す祝福持ちだけです。
「つまり相手は使徒か。」
「ああ、間違いないでじゃろう。」
お祖父様たちが難しい顔をしています。
それもそのはずです。人間と精霊様は魔力の量も質も違います。そしてその力の恩恵を受けられる祝福持ちは何の訓練をしていない子供ですら一般兵二人分の強さを誇ります。
ましてや精霊教の使徒ともいえば100人ほどの中隊とも互角以上に戦える存在です。
お祖父様とユリエル様の二人では厳しい状況です。
「ただ、」
「?」
「その使徒に宿っているのは闇系統の精霊様じゃろうから、攻撃手段はないじゃろう。」
「どうしてそう言い切れる?」
「シルフ様が微かに存在を感じるからじゃ。もしも地系統の精霊様なら大地に隠れているからシルフ様では見つけられぬし、風系統の精霊様なら向こうのほうが発揮する力は上じゃから何も感じんしそもそも隠れる場所のないここでは意味がない。音や匂いは隠せても直接見ることができるからのう。その存在を感じられるとすれば存在感を消すことで隠れる闇系統の精霊様だけじゃ。」
「なるほどな。闇系統の精霊様の存在感の消失は隠密や奇襲といった初めから隠れている、つまり相手に認識されていないときに最も力を発揮する能力だからな。それおを襲撃から逃れるために我々に姿を見られている状態で使ったがゆえに微かに存在を感じるというわけか。となれば、」
二人は会話を終えるとお祖父様は陣を描き始め、ユリエル様はシルフ様との繋がりをつよめました。
精霊術は精霊様に願いを伝えるため、そして魔力を渡すために繋がりを作るのですが、その繋がりを強くすればすることで精霊様によりスムーズに願いを伝えられるうえ、精霊様の知覚情報を感じるようになります。その代りもらわれる魔力量もふえますけどね。その状態を精霊様を降ろしたといいます。
お祖父様が陣を描き終えます。
炎へと象を変える炎の陣を直径2メートルという大きさで描く獄炎。
陣を描くのに使われた魔力量からみるとこの部屋にあるものすべてを灰にするだけの威力はありそうです。
・・・なんとなくお祖父様がしようとしていることがわかりました。
闇系統の精霊様が司るのは消失です。ただ消失させやすさがあるためもしも人を消そうとしても魔力や生命力といった消失させやすいエネルギーといったものから消え肉体そのものを消すのはかなりの力が必要です。
そのため、闇系統の精霊様は防御や拘束に向いており、攻撃は得意ではありません。
だからこそ準備に時間のかかるけど威力の高い獄炎を選んだのでしょう。今現在相手が力を割いている自身の存在感の消失から少しでも防御に力を回させるために。
とどめをさすのはユリエル様でしょう。シルフ様を降ろしたのは相手を確実に見つけ、素早く攻撃するためでしょう。
魔方陣を描く魔力が炎へと象を変え、周囲へと広がっていきます。
そして・・・
久々の投稿です。
頑張って書いてはいたんですがなかなかうまく書けずに気づいたらこんなに時間がたっていました。
次話こそはなるべく早く書き上げたいと思います。
・・・1週間以内に書けたらいいな




