第13話
「うっ、う〜ん」
なんだろう、なんか、頭が重い。
私は起きようと体を動かそうとします。
あれ?体が動かない。
何かに縛られているように感じます。しかも私は自分の体を見ようとしましたが何かに遮られていて真っ暗で何も見えません。
・・・もしかして私、誘拐された?
私はニュースでたまに流れた幼児誘拐殺人の文字を思い浮かべてしまいパニックを起こしました。
「どうやら起きたみたいですね。」
「っ!」
近くで誰かの声がします。
私の体は緊張で固まってしまいました。
「マジか!下級とはいえ竜種が二日眠り続けた薬だぞ。」
「おそらくこれは水系統の精霊様の祝福を受けているんだろう。しかもかなり級が高い精霊様だ。」
「はっ。異教徒のくせにそんなに上等な精霊様の祝福を受けてるのかっよ!」
〈ドカッ〉
「っ!」
痛い!
私は頭に衝撃を受けました。どうやら蹴られたようです。
しかしおかげで落ち着きました。状況の把握ができるくらいには頭が回るようにはなりました。
どうやら私は猿ぐつわをかまされ手足を縛られたうえに袋に入れられているみたいです。自力での脱出は不可能でしょう。救いがあるとすれば私が誘拐された時にお祖父様とユリエル様が側にいたことでしょうか?
・・・あれ?そういえば私、どうやって拐われたのでしょう?
拐われたと思う時、お祖父様が側にいたような気がします。
まさかお祖父様はもう・・・。
最悪な想像に頭に血が登るのを感じます。
その時、
『・・・』
ビナー様に大丈夫と言われました。お祖父様は無事みたいです。私はほっとしました。
しかしそうするとどうやって拐われたのかがわかりません。とりあえず情報収集です。
「おい。うっかり死んだらどうする。」
「悪い。こんなのに精霊様の祝福を与えられてると思ったらついかっとなって。」
「気をつけろよ。これの中の精霊様の祝福はお前に移される予定なんだから。
「・・・本当か。」
「ああ。」
「あぁ、世界におられます精霊王様。ついに私に祝福を与えてくださる精霊様を連れてきてくださったのですね。私もついに使徒になれるのですね。」
・・・異教徒や使徒という言葉を使うということはどうやら彼らは精霊教の方々のようです。
精霊教とは400年前初代セヒァラト教国法王ラウルによって広められた精霊様を信仰する宗教です。それだけ聞くと精霊道と同じように聞こえますが、精霊道では精霊様は世界を構成する大切な要素であり共に歩む存在としているのに対し、精霊教は精霊様は世界を作りあげた絶対的存在であるとしています。それ故に祝福持ちの人を精霊様に遣わされた存在として使徒と呼んでいました。
精霊教は世界中で信仰されていました。しかし30年前の法王アウルに代わってから状況が変わりました。教国は精霊教を唯一絶対の宗教とし信仰しない人達を異教徒と呼ぶようになりました。そして教国による祝福持ちの子供の保護と称した誘拐が多発しました。また精霊教を信仰していない祝福持ちは精霊様の意に沿わない裏切り者として殺害も起きるようになりました。さらに教国は周辺国に宣戦布告を行い侵略を開始しました。
そして、アーネンベルク皇国と10年にわたる戦争に敗北し教国は崩壊、精霊教は廃れました。
ただ一部の方々はまだ信仰していて教国再建のために過激な行動を行っていると聞いていましたがまさか自分が会うとは思いませんでした。
私は自分の状況がかなり最悪だということを知りました。




