第9話
お祖父様がお屋敷にいらした次の日、ユリエル様がいらっしゃいました。
「クララ、大丈夫だったかい。いやな思いしなかったかい?」
ユリエル様が心配そうに尋ねます。しかし意味がわかりません。
「あっいやこの前ジークの奴に会っただろ。その時嫌な思いをさせられたんじゃないかと思って。」
「いえ、だいじょうぶでしたよ。」
むしろお祖父様との会話は少し楽しかったです。
しかしユリエル様のこの様子、私は気になって質問しました。
「あの、おじいさまはおとうさまになんのようじだったのでしょうか。」
「いや、なに。大したことじゃない。」
「たいしたことじゃないのならユリエルさまはわざわざいらっしゃらないとおもいます。それにあのひ、おとうさまのきげんがとてもわるかったんです。おねがいしますユリエルさま。どうかおしえてくださいませんか。」
「・・・ジークの奴、ジルにライラと別れなくてもいから離婚して愛人にしろ。と言ったそうだ。」
「はい?」
「ライラは別宅に住まわせて、伯爵家の娘と結婚しろと。」
「・・・」
ユリエル様の言葉に頭が真っ白になります。
「うそです。」
「クララ。」
「うそです!おじいさまがそんなことをいうわけありません。」
口ではそう言ってますがユリエル様が嘘をつくはずないとちゃんとわかっているんです。でも信じられません。いえ信じたくないんです。だって、
「きらいじゃないっていってくれたもん!わたしのはなしきいてくれたもん!ほめてくれたもん!」
あの不器用そうなお祖父様のことが好きだからです。
「嫌いじゃない、ジークがそう言ったのかい?」
私は泣きながら頷きます。
するとユリエル様は
「あのジークが・・・」
そう呟いてなにやら考え始めました。
「だから今更そんなことを言い出したのか。」
しばらく考えていたユリエル様は納得したかの様に呟きます。
「どういういみですか?」
私は尋ねます。
「つい最近ジークに会ってな。その時君達の話をしたんだ。その後悩んでいたからもしかしたらジークの奴君達のためにこの結婚を持ってきたのかもしれない。」
「・・・」
「いや、やはり先程言ったことは忘れてくれ。そろそろ帰らせてもらうよ。」
「はい。道中気をつけてください。」
私はユリエル様を見送りながら先程のユリエル様の言葉の意味を考えます。
ユリエル様は私達のためと言いました。そこから思い付くことは一つしかありませんでした。
それから暫くしたある日ビナー様が馬車の中から誰か見てると言ってきました。私はその日たまたまお屋敷に来ていたユリエル様にビナー様へのお礼をお頼みするついでに相談するとお祖父様の馬車と教えてくださいました。
その日から時折柵の向こうにお祖父様の馬車を見る様になりました。
あれから三年ついにお父様にばれてしまいました。これでお祖父様は柵の向こうに近づけなくなるでしょう。私はこれからどう動くか考え続けました。




