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12/15

五、再び奈良の旅 その3

翌日二人は何事もなかったかのように

帰路に着いた。

そして私はしばらく

沙希とは会わない生活が続いたのであった。


彼女と別れてしばらくの間私は正直ホッとしていた。

それというのは当時職場で不倫を理由にしたいざこざが起こり

私としても彼女との関係が発覚することを

恐れていたからである。

また彼女と付き合っているときに

彼女の夫の影をみたような感じがあり

それが重荷になっていたのである。

だから彼女から言い出したことをきっかけとして

別れることが出来たのは良かったと思っていたのだ。

そしてもうしばらくは誰とも付き合うのは止めようと

私はよく自分に言い聞かせていたのである。

そして彼女と会わなくなって半年ほど経ったときであったが、

そんなある日のこと私は久しぶりに映画を観た。

そこで出てくる女優の雰囲気が

彼女にとても似ているように思えたのである。

それは自分だけの感想だったかもしれないが、

それを誰かに話したくなったのだ。

そして私は彼女に電話をしたのである。

彼女はあっさりと会うことを承諾した。

半年ぶりに会ったバーで彼女が最初に言った。

「いったいどういう風の吹きまわしですか。

あなたから電話をくれることなど

以前にもほとんどなかったのに。」

私は映画の話をした。

ただそのことを話したかったというだけの理由で

電話したのだと強調した。


しばらく会わなかった彼女は

いっそうセンスの良いものを身に付けて

仕事も充実しているように見えた。

彼女が眩しく見えてきたのである。

私は彼女と別れたことに後悔をし始めていた。

しかしそれ以上のことは触れようとはしなかった。

そしてほとんど世間話し終始して帰る約束の時間になった。

私は最後に言った。

「今日はこのままきれいに別れるんだよね。」


私は彼女に求めて誘っていたのである。

とうぜん彼女には断られるものと思っていた。

しかし彼女は言ったのだ。

「私がお願いすれば抱いて頂けるのですね。」


半年ぶりに私は彼女を抱いた。

彼女の体は懐かしいものに思えた。

私は彼女の体のあらゆる部分を確認するように求め

彼女もまた私の求めに応じてきたのである。

こうして私は彼女とまた以前と同じように

付き合うようになったのであった。

そして奈良行きを約束したのである。


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