第11話 校舎裏の番長決定戦
ゴールデンウィークが明けた教室は、どこか浮ついた空気が漂っていた。
自分の席についた瞬間、甲高い声が飛んでくる。
「ねーねー御珠っちー!」
「なんじゃ光莉よ」
前の席から身を乗り出してきたのは、遠足で御珠と仲良くなったギャルだ。
御珠は読んでいた本から目を上げず、淡々と応じている。
「もうすぐ中間テストじゃん。一緒に勉強しようよ!」
「勉強か。ふむ」
「坂本っちも来る?」
突然こっちに話を振られ、あたしはスマホから顔を上げた。
「あたしはいい」
「えー!来ようよ!!」
彼女は両手をぶんぶんと振って食い下がってくる。
鬱陶しさにため息をつきかけたところで、御珠がスッと顔を上げた。
「光莉よ、坂本っちとは言うな。華蓮と呼ぶのじゃ」
「え、なんで?」
「そのほうが良いのじゃ」
御珠の凛とした声に、彼女は不思議そうに首を傾げる。
「華蓮っちはゴロが悪い。んっちだとうんちみたいじゃん」
(うんちはやだな)
内心でこっそり同意してしまう。
たしかに響きが最悪だ。
「そも、“っち”がいらんという話じゃ」
「坂本っち……」
「……」
口を尖らせる彼女に、御珠はすっと目を伏せて口を閉ざした。
これ以上言っても無駄だと悟った時の顔だ。
(……ギャルつよ)
いつの間にか、休み明けの御珠にはこんな風に遠慮なく絡んでくる友達が増えていた。
―――
帰り支度をしていたら、ポケットのスマホが短く震えた。
画面を開くと、田中からのLINEだった。
湊:校舎裏に来てほしい
たった一言、それだけだった。
(……え)
(田中が。校舎裏。あたしを……)
スマホを握ったまま、呼吸が止まる。
周囲のざわめきが急に遠のいて、しばらく動けなかった。
(いや待て。落ち着け。あたし)
顔に熱が集まっていくのがわかる。
鼓動が妙に速くなっていることにも気づいてしまって、無性に恥ずかしくなった。
けれど、深呼吸をして少し冷静になると、別の考えが頭をもたげる。
(だとしても……なんかおかしくないか?)
(単独で行っていい状況か、これ)
スマホの画面を睨みつけていると、横からひょっこりと顔が覗き込んできた。
「華蓮よ、どうしたのじゃ」
「……田中から呼ばれた」
「ほう」
「校舎裏に来いって」
あたしが画面を見せると、御珠は小さく頷き、おもむろに自分の鞄の中をごそごそと漁り始めた。
「何してんの」
「これを使う時が来たようじゃの」
御珠が取り出したのは、見慣れないプラスチックの塊だった。
カチャカチャと音を立てて、テキパキと広げ始める。
折りたたまれたヘルメットだった。
(なんだこれ?なんでこんなもの持ってきてんだよ)
「なんだこれ?」
「ふふ。見ておれ」
御珠はヘルメットの前面にあるアタッチメントに、自分のスマホをカチッとはめ込む。
そして、そのまま仰々しく頭に被った。
「どうじゃ?」
胸を張り、完璧なドヤ顔を向けてくる。
(こいつドヤるの好きだよなぁ)
「まあ、似合って?……る?」
「雪杜が護身用にと持たせてくれたのじゃ」
「護身用?頭殴られてもいいようにか?」
「そうではない。証拠映像を記録するのじゃ」
「なるほど。録音だけじゃなく、動画も撮るのか」
いわゆるアクションカメラみたいな使い方か。
だが、それにしても目立ちすぎる。
「普通、隠し撮りするもんじゃねーの?」
「これは牽制でもある。録画しておるぞと」
「雪杜、用意周到すぎんだろ」
前にあたしが録音した手口を、さらに物理的に強化してきたってわけだ。
感心していると、御珠はヘルメットを軽く小突いてみせる。
「それだけではない。YouTubeへ配信しながら向かうのじゃ」
「え!?さらに配信すんのこれ!?」
「スマホが取り上げられるかもしれんのでの」
御珠は事も無げに言うと、被ったスマホの画面を数回タップした。
「なに、限定公開での配信じゃ。誰彼に見られるわけではない」
「いいのかなぁ?」
少しの不安を口にするあたしに、御珠はきびきびとした動作で頷く。
「とにかく向かうのじゃ」
「うん」
(雪杜、……ちゃんと考えてんだな)
ヘルメット越しの御珠の瞳は、頼もしいくらいに据わっていた。
あたしたちは頷き合い、教室を後にした。
―――
人気のない校舎の裏。
そこには、青ざめた顔の田中が立っていた。
そして、その後ろにぴったりと張り付くように、佐竹の姿があった。
(……そんなこったろうと思ったよ)
佐竹は、田中の首元に黒くて四角いバリカンのようなものを押し当てていた。
(あれスタンガンか!?頭いかれてるだろ!)
「ごめんね……」
震える声で謝る田中に、あたしは努めて平坦な声を出した。
「いいよ。こんなもんで脅されたら誰だってそうなるって」
「あれは何じゃ?」
「スタンガンだろ。あんなものまで用意して頭いかれてるだろ」
目の前の光景は、チープな映画のワンシーンのようでどこか現実離れしていた。
「来てくれてよかったよ」
佐竹の声は、感情が抜け落ちたように平坦だった。
「お前らのせいで最悪だよ。
女に負けたって笑われて、クラスに居場所がねーんだよ。
もう俺は終わりだ」
濁った目であたしたちを睨みつける。
「自業自得だろ」
「うるせぇ!」
佐竹は田中の首にスタンガンを強く押し当てた。田中がビクッと肩を跳ねさせる。
「だから壊す方向に振り切ることにした」
「まず録音、消せ!」
「わ、わかったよ。落ち着けって」
(刺激するのは悪手だな)
あたしは制服のポケットからスマホを取り出すと、画面を操作して消したふりをした。
「ほら消したぞ」
「ちゃんとやれ」
「ちゃんとやったって」
佐竹の視線が、あたしから御珠の頭へ移動する。
「その頭のヤツはなんだよ!録画してんだろ!」
「ふむ。バレたか」
「バレるに決まってんだろ!」
御珠はため息をつき、仰々しいヘルメットを外した。
「動画も消せ!」
御珠もスマホの画面を数回タップし、消したふりをする。
「ほれ、これで良いか」
(……止めてないけど)
じりじりとした沈黙が落ちる。
「ほら。もういいだろ、田中を解放してやれよ」
「……まだだ」
「まだなんかあんのかよ」
佐竹は唇を舐め、歪んだ笑みを浮かべた。
「……ヤラせろ」
「は!?」
一瞬、頭が真っ白になった。
「ヤラせろって言ったんだよ!」
「お前、そんなことしたら終わりだぞ」
「どっちにしても終わってんだよ!」
佐竹の声が裏返る。
「だったらお前らの弱みを握って支配下に置いてやる!」
(これ現実か?)
ドラマや漫画でしか見ないような出来事が、目の前で起きようとしている現実に目が眩む。
「無茶苦茶だな」
「人はすぐこれじゃの」
(相変わらず達観してんなぁ)
御珠の呆れたような声に、あたしはしばらく言葉が出なかった。
(どうすんだこれ)
いよいよシャレにならない状況に、胃の底が冷たくなる。
「華蓮」
御珠の声は、どこまでも静かだった。
「先生を呼んでくるのじゃ」
「動くな!こいつがどうなってもいいのか!」
佐竹がスタンガンを構え直す。
「ひっ」
田中が短い悲鳴を上げ、今にも死にそうな青い顔で震えた。
だが、御珠は微塵も動じない。
「知らん」
「……は?」
「は!?」
「死にはせんじゃろ。先生を呼んでくるのじゃ、華蓮」
「え!?マジかよ!?」
(こいつ肝、座りすぎだろ)
抗議しようとして、やめた。
あたしはこいつが子供の頃に何をされたか、知っている。
スタンガン一本で揺れるような神経は、たぶん持ち合わせていない。
だから黙って、従おうとしたその時だった。
(ん?あれって……)
佐竹の背後に、ぬっと大きな影がそびえ立った。
次の瞬間、佐竹が勢いよく前方へ倒れ込む。
「っが!」
背後から佐竹を蹴り飛ばしたのは、顔を真っ赤に紅潮させた棟方だった。
「こったやづ!一回ぶったしけねば分がねんだね!!」
「っぐ、誰だ!」
佐竹がうめきながら振り返って起き上がろうとする。
棟方は田中を庇うように手で制し、後ろへ下がらせた。
「これが見え――」
佐竹がスタンガンを向けようとしたが、そこまでだった。
棟方の躊躇のない右ストレートが、佐竹の顔面にモロにめり込む。
「ぶぐっ!」
鈍い音が響き、佐竹の口から血が飛んだ。歯が折れたのか、鼻血も流れている。
だが、棟方は止まらない。さらに拳を振り上げ、追撃しようとする。
倒れた佐竹が、恐怖に顔を歪めて手を突き出した。
「わ、悪かった!もうしない!!」
「うっせ!今までいじめで来たやづの分も喰らえ!」
顔面に再び拳が打ちこまれた。
ぐしゃ、という嫌な音がした。
「ぐが……」
「お!おいやめろ!」
「浩二くん……!」
「棟方!やめるのじゃ!」
殺しかねない勢いに、たまらず御珠が飛び出した。
棟方は血走った目で御珠の方へ向き直り、身構える。
「邪魔するんずが」
御珠の左アッパーが、下から鋭く伸びる。
だが、棟方は野生の勘でそれを間一髪よけた。
(あいつ避けたぞ!!)
身長差があるため、御珠は軽くジャンプしてアッパーを放っていた。
そのまま空を切るかと思われた御珠の体が、空中でくるりと回転した。
アッパーを避けて上体が伸び切った棟方の顎を、鮮やかなサマーソルトキックが完璧に捉える。
「っが……」
ドスッという重い衝撃音とともに、棟方の巨体が後ろに倒れ込んだ。
しん、と校舎裏が静まり返る。
(なんだよあの動き!暗殺者かよ!)
「……ふむ」
着地した御珠は、小さく息を吐いた。
「まさか避けられるとはの」
「……ん゛……つええ……」
(生きてる。よかった)
白目を剥きかけた棟方のうめき声に、あたしは安堵の息を漏らす。
ちょっとパンツ見えてたけど。
「先生ー!こっち!!早く!!」
遠くから、光莉の甲高い声が聞こえた。
「お前らー!何やってんだー!」
駆けつけてきた教師の怒声が響く。
「あーあ。いまから逃げられるかな」
「手遅れじゃろ」
(母さん呼ばれるとかやだなぁ)
あたしがげんなりしている横で、田中が棟方のもとへ駆け寄っていた。
「浩二くん……!」
「……けね……天野……すげ」
「助けてくれてありがとう!」
田中は涙を浮かべながら、倒れた棟方をぎゅっと抱きしめた。
「おめが……無事でいがった」
「うん。僕は無事だよ」
見つめ合う二人。周囲の喧騒が、なぜかそこだけ遠ざかっているように見えた。
(これは……BL?)
あたしは静かに思考を放棄した。
―――
顔面をぐしゃぐしゃにされた佐竹は、教師たちによって保健室へと運ばれていった。
残された御珠、田中、棟方、光莉、そしてあたしは、そのまま職員室へ連行されることになった。
ちなみに棟方も歯で手を切ったらしく、包帯を巻いていた。
人に噛まれた傷って、感染しやすいんじゃなかったか?大丈夫か?
「何があったか説明してもらおうか」
パイプ椅子に座らされたあたしたちを見下ろし、担任の工藤先生が低い声で切り出す。
「……えっと、ウチが一部始終見てたから説明するね」
重苦しい空気の中、光莉がひょいと手を挙げた。
彼女は佐竹がスタンガンで田中を脅していたこと。あたしの説得も空しく佐竹が暴走しそうになったこと。そして見かねた棟方が殴りかかったことなどを、淀みなく説明していく。
「証拠の映像もあるよ」
光莉は自分のスマホを取り出し、画面を工藤先生に向けた。
どうやら遠くから隠れて撮っていたらしく、映像は粗く、音声までは拾えていない。
「こっちも見るのじゃ」
御珠も横から自分のスマホを差し出した。
こちらはバッチリ音声が入っている。
ヘルメットを脱いだ後の映像は明後日の方を向いてるが、生々しいやり取りと打撃音が職員室に響き渡った。
「……はあ」
工藤先生が頭を抱え、ひときわ深いため息を吐き出す。
「棟方。ひとまずお前は停学だ。どんな理由があったとしても殴ったら負けだ」
「分がった」
「詳細はまた連絡する。明日から学校へ来るな。まず病院にいけ」
淡々と告げる工藤先生に、棟方は抵抗する様子も見せず短く頷いた。
その扱いに我慢できなかったのか、田中が身を乗り出す。
「そんな!僕を庇っただけなのに!」
「暴力はダメだ」
ピシャリとはねのけられ、田中は悔しそうに唇を噛み締めて俯いた。
それから、工藤先生の鋭い視線が御珠へと向けられる。
「天野は……ひとまず見逃す。二人も一度には処理できん。
お前もギリギリだからな」
「分かったのじゃ……」
御珠は少しバツが悪そうに視線を泳がせた。
サマーソルトキックの一件を誤魔化せたのは、単に工藤先生の処理能力を超えていたかららしい。
「棟方も天野に恨みはないな」
「ね」
一応、棟方にも確認するらしい。
「坂本、桃瀬、お前らはお咎めなしだ。
桃瀬。よく通報してくれた」
「にひひ。ウチのファインプレーだね」
得意げにピースサインを作る光莉に、あたしはずっと気になっていた疑問をぶつけた。
「お前どっから出てきたんだ?」
「なんかヤバそうだったから。こっそり尾行してた」
「……」
(こいつもこいつで、大概だな)
あたしはこめかみを押さえ、静かに天井を仰いだ。
―――
夜。自室のベッドに寝転がりながら、あたしはスマホの画面をスクロールしていた。
(きょうの事件、どうなってるかな)
いつもの癖で、篠見農業高校の生徒たちが集まる非公式な情報板を開く。
昼間の騒動のせいか、スレッドの勢いは異常なほど早かった。
《撃沈くんがなまり野郎に半殺しにされたって》
《こわ》
《あいつ嫌いだったからちょうどいい》
無慈悲な書き込みが次々と流れていく。
(あいつ、居場所ねぇって言ってたな)
自業自得とはいえ、昼間に見た佐竹の虚ろな目を思い出すと、少しだけ後味が悪かった。
画面を指で弾いていると、ふと見慣れないリンクが貼られているのに気づく。
《これ見て》
タップすると、粗い画質の動画が再生され始めた。
映っていたのは、昼間の校舎裏だ。
棟方の巨体を、御珠のサマーソルトキックが完璧に捉える瞬間がバッチリ収められていた。
(え、これって光莉が撮ってたやつじゃねーか)
あのちゃっかり女、オプチャに動画アップロードしてやがる。
動画の下には、怒涛の勢いでレスがつき始めていた。
《なにこれ!?》
《すげ!!》
《これ誰!?》
《生物科ののじゃ野郎じゃね?》
《見え……》
画面のスクロールが追いつかないほど、書き込みが加速していく。
《相手はなまり野郎か?》
《一撃で》
《もう番長でしょ》
《番長確定》
あの御珠が番長って。
思わず呆れ笑いが漏れそうになったところで、レスの空気が少し変わった。
《隣にマスク女いねぇ?》
《いっつもそばにいるやつじゃん》
《番長を手懐けてる説ある》
《裏番長だな》
スマホを持つ手がピタッと止まる。
(え!?あたし裏番長!?)
予想外の飛び火に、あたしは思わずベッドから跳ね起きてしまった。
―――
翌日の朝。ホームルーム前の教室は、予想通り昨日の事件の話題で持ちきりだった。
「棟方停学だってよ」
「隣のクラスのヤツを半殺しにしたんでしょ?」
「でも、天野さんに最後倒されたって」
興奮気味に飛び交うクラスメイトたちの声をBGMに、あたしは自分の席で頬杖をついた。
(すげー噂広まってんなぁ)
ネットの力と高校生の口コミネットワーク恐るべしだ。
そんなことを考えていると、前の席から能天気な声が降ってきた。
「ねーねー番長」
「妾、番長になった覚えはないのじゃが……」
「あの動画投稿したのお前だろ」
「え!?バレてた!?」
目を丸くして大げさに驚く光莉に、あたしはジト目を向けた。
「バレるもなにも、一緒に職員室で見たやつだろ」
「えへへー。あんな凄いもの、公開しないともったいないじゃん!!」
悪びれもせず笑う光莉。
その時、御珠がスッと目を細め、底冷えするような低い声を出した。
「光莉よ」
「は、はい……!」
「妾、目立ちたくないのじゃ……」
「え!?そのビジュで!?無理だって!!」
「……」
言葉を失う御珠の静かな圧に、光莉もさすがに口を閉ざす。
「雪杜が心配しておるのじゃ。
素性が露わになるのだけは勘弁じゃ。
今回はかろうじて誰とも知れぬゆえ、許す」
「じゃが次はないぞ」
「……ごめん」
光莉がしゅんと肩を落とす。
ヒヤリとした、重たい空気が落ちた。
「反省しておるのならよい」
御珠がふっと雰囲気を緩めると、光莉の顔がパッと輝いた。
「えへへー、御珠っち好きー」
(調子いいなこいつ)
光莉が御珠に抱きつこうとしているところへ、ガラッと教室のドアが開いた。
気怠げな顔をした工藤先生が入ってくる。
「席つけーお前らー」
ガタガタと慌ただしい音を立てて、全員が自分の席に戻る。
教卓に立った工藤先生は、クラス中を見渡して口を開いた。
「棟方は暴力事件を起こしたので停学になった」
「停学一週間だ」
クラス中が再びざわつき始める。
ふと視線を向けると、田中が両手を握りしめ、ひどく悔しそうに俯いているのが見えた。
(……棟方のことが心配なんだろうな)
「環境科の佐竹も停学だ。以上。余計な詮索はするな」
工藤先生の鋭い一声で、ざわめきはピタリと止んだ。
(あいつも停学になったのか)
(まあ、あいつが発端だしな。当然か)
あたしは小さく息を吐き、机の中の教科書に手を伸ばした。
―――
後日。
これは停学が明けた棟方から聞いた話だ。
事件の後、棟方の親と佐竹の親で話し合いの場が設けられたらしい。
佐竹の親は最初こそ怒鳴り散らしていたものの、工藤先生があの『ヘルメット映像』を見せた途端、ぐうの音も出ずに黙り込んだそうだ。
佐竹側が棟方を訴えることもできたはずだが、そこは棟方自身も含め、親も一緒に深く謝罪して治療費を払うことで無事に和解となったらしい。
棟方は親にこってり絞られた……と言っていたが、最後には「よくやった」と褒められたと、妙に嬉しそうに話していた。
(親がそれじゃダメだろ)
心の中でツッコミを入れたものの、次に暴力事件を起こしたら退学になるらしいので、彼も少しは大人しくなるだろう。
こうして、あたしたちの騒がしいGW明けの事件は、ひとまずの幕を下ろしたのだった。




