世界終焉
第二十六章
最後の管理者
白銀巨人達は、止まらなかった。
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数百。
いや。
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裂け目の向こう側には、
まだ無数にいる。
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それでも。
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ゼロへ触れた瞬間、
全て消えていく。
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まるで。
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“存在権限そのものが違う”
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みたいに。
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帝国軍は、
完全に沈黙していた。
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砲撃も。
命令も。
通信も。
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誰も動けない。
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ただ。
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空を見ている。
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黒衣の男。
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終焉の覇者。
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そして。
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世界外の怪物達。
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その戦いは、
人類の理解を超えていた。
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レオニードは、
無意識に呟く。
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「……何を、
相手にしてきたんだ」
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ゼロは、
ずっと一人だった。
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その背中を見ていると、
嫌でも分かる。
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この男は。
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初めてじゃない。
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何度も。
何度も。
何度も。
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こうして。
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“世界の終わり”と、
向き合ってきた。
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その時。
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裂け目奥の巨大存在が、
再び動いた。
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世界が軋む。
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白銀巨人達とは、
比較にならない圧力。
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ベルク山脈が崩壊。
海面蒸発。
空間断裂拡大。
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帝国軍艦隊が、
次々落下していく。
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まだ完全出現していない。
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それだけで。
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世界法則が耐えられない。
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『――管理者個体:
ZERO――』
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巨大存在の声。
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今度は、
はっきり意味が分かった。
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『――何故、
世界維持を継続する――』
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『――誤差率限界突破済――』
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『――文明再現性低下――』
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『――人類存続価値、
基準値以下――』
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レンカがいれば、
意味を理解できなかっただろう。
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だが。
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レオニードは、
理解してしまった。
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こいつらは。
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“人類を評価している”
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世界ごと。
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文明ごと。
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数値で。
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ゼロが、
静かに答える。
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「黙れ」
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世界が揺れる。
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巨大存在周辺の空間が、
歪んだ。
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『――理解不能――』
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『――管理者個体:
逸脱継続中――』
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『――感情汚染率、
危険域――』
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その瞬間。
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ゼロの目が、
ほんの僅かに揺れた。
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初めてだった。
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感情のない男が。
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“感情”へ反応した。
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巨大存在は続ける。
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『――何故、
人類を保存する――』
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『――同一歴史、
反復確認済――』
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『――戦争』
『――崩壊』
『――自己破滅』
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『――全周期、
同一結果――』
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帝国軍全員が、
言葉を失う。
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周期。
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反復。
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やはり。
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世界は、
繰り返されている。
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そして。
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ゼロは、
その全部を知っている。
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巨大存在の声が、
静かに響く。
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『――最適解提案――』
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『――世界終了――』
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その瞬間。
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ゼロの周囲空間が、
完全に静止した。
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怒り。
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今までとは比較にならない。
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世界そのものが、
恐怖している。
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レオニードは、
本能で理解した。
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言ってはいけない言葉だった。
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ゼロが、
ゆっくり顔を上げる。
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金色の片目。
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その奥に。
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初めて。
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明確な感情があった。
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悲しみ。
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そして。
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“疲れ切った怒り”
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ゼロが、
静かに言う。
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「……だから、
お前達は嫌いなんだ」
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次の瞬間。
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世界が、消えた。




