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勇姿徹戦 トキラメクル!  作者: 痣矢
覆水盆に返らず
4/12

剛を制すには、柔であれ。前編 〜Porcupine's dilemma〜

前回、暴走直前まで追い込まれていた赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》と二色《ニシキ》 美端《ミハタ》、丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》達を人魚の少女が助けてくれたところから場面は始まる。



「さて、自己紹介から行きましょうか。私は粼《セセラギ》 揺蕩《タユタ》。トキラメクルネームは"泡沫の夢(サンデーダイバー)"っていうの」


「私《アタシ》は丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》、"構え太刀(ソニックブレイド)"です!」



(早くお前らも自己紹介しろ!ブッ転がされるぞ!!)という圧をアイコンタクトで送る丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》。危機察知能力がビンビンに反応していた。



「あ、あ、はい!その、赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》です!"臆病者《ドレッドハート》"です!助けて頂きありがとうございましたぁあ!!!」



直ぐさま、目覚めたばかりの赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》が続く。傷の方はもう大丈夫らしい。



「...二色《ニシキ》 美端《ミハタ》です。"音盤(トレンチコード)"です。助けて頂きありがとうございました」



ペコリとお辞儀する二色《ニシキ》 美端《ミハタ》。



「3人ともとっても可愛くてびっくりしちゃった。緋羽夢《ヒウム》ちゃんは剣道着とその髪が対照的で引き立てあってる。刀を使えるってかっこよくて、憧れる。更に可愛いんだから最高ね」


「え、えぇ、ありがとうございます」



褒められることに慣れてないような素振りを見せる丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》。



「徹子《トオコ》ちゃんの衣装はパンチがあって良いわ。スタイルの良さにピッタリ。そのルックスのパンチに対して、本人の性格はトゲがなくて可愛いなんて、反則レベルね。ギャップでときめくわ」


「え、えぇ...そ、そうですか?人避けに、してるだけですけど、ね」



照れて仕方ない赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》。



「美端《ミハタ》ちゃんは名前の通り、美人でミステリアス。もう惹き込まれそうで、目が離せないわ。でも、喋り方から美端《ミハタ》ちゃんの真っ直ぐさが伝わってきて、本当に素敵」


「うぅ...」



逆に何も言えなくなる二色《ニシキ》 美端《ミハタ》。



(美端《ミハタ》って呼ばれて訂正してない!?アイツ、絶対こだわり強いタイプだろ!?完全に丸め込まれてる!!)



丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》は、粼《セセラギ》揺蕩《タユタ》の技量に舌を巻いていた。



「じゃ、3人ともここから離れましょう。また天使が来るかもだし、早くみんなに貴女達を紹介したいわ」



捲し立てるように粼《セセラギ》 揺蕩《タユタ》が手をポンっと叩いた。その時、手の隙間からシャボン玉のような光が少し漏れる。



「あの、紹介ってことは、私《アタシ》達以外にもトキラメクルが何人か居るってことですか?」



何か、喉に引っかかったように丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》が聞く。



「うーん、そうね、今から向かうお茶会(フラワーガーデン)には今のところは10人前後するぐらい?だったかしら。他にもそれなりにいる筈だけど、見つけきれてない子や、参加したがらない子もいるから、ちゃんとした数となると難しいわね」


「ぜ、前後するってトキラメクルが増えることがあるんですか?」


「残念だけど、徹子《トオコ》ちゃん。増えることは、ほぼないわね。でも、見つけきれてない娘《コ》とか、そういうトキラメクルが見つかって人数が増えることはあるの。減るのは、まぁ天使が原因の大半ね。それと、参加したがらない娘《コ》もいるけど」


「そのお茶会(フラワーガーデン)を開催してるのはどのような方なんでしょうか?」


「安心して、美端《ミハタ》ちゃん。とっても信頼できる真面目な子よ。気張りすぎて堅いところもあるけれど、そこも可愛くて魅力ね」



(この人、皆に可愛い言ってんだろうな)



それが3人の率直な感想であった。



「ねぇ、私ばかり話してたら申し訳ないわ。貴女達の事をもっと聞いてもいい?貴女達をよく知りたいの」


「あ、はい!大丈夫です!ぜ、是非是非!なんでも大丈夫です!!」


「ふふ、ありがとう。そんなに緊張しなくてもいいわよ、徹子《トオコ》ちゃん。じゃあ、徹子《トオコ》ちゃんから質問してくわ。最後の審判が起きる前までは何をしていたの?」


「ふ、普通の高校生でした。りょ、涼明高校です」



(涼明高校って名門じゃなかった?)


(確か私立のお嬢様校でしたよね、普通ではない)



「えぇ!?涼明高校なの?名門じゃない!」



((言うんだ))



「い、いや、ここら辺、その手の学校多いですし...別に成績がいい訳でもなかったですし」


「そうなの?賢そうよ、徹子《トオコ》ちゃん。暗記系とか得意そう」


「暗記とか、基礎は回数こなせば誰でもできますから(照)」



(暗記系が得意そうってなんだ?)


と思う丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》を差し置いて話は進む。



「その回数をこなすのが大変なのよ。誰でもできることじゃない。それができることは才能よ」


「そ、そうですかね...」



頬を赤らめる赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》。心情の変化が顔に出やすいタイプなのは間違いない。



「緋羽夢《ヒウム》ちゃんは?何してたの?」


「緑風大学で大学生してました。哲学専攻です。それと居合も習ってました」


「それで、冷静な判断とあの抜刀術なのね、納得だわ。居合は余程練習したんじゃない?普通の人じゃ見えないレベルでしょ?」


「私《アタシ》、揺蕩《タユタ》さんの前で居合見せたことないと思うんですけど...」


「ふふ、貴女の空気感で察しがつくのよ。何人もトキラメクル見てると、その人がどんな能力で、どんな性格か、大雑把だけど当たりをつけることができるわ。まぁ、これはお茶会(フラワーガーデン)を開いてくれている子からの受け売りなんだけどね」


「やっぱりトキラメクルって結構、能力被るんですね...」


「ふふ、能力を推察するのは慣れたらみんなできるわ。あの子が教えるのが上手いのもあるし。安心して、その能力を教えて貰っても私はできないわ、緋羽夢《ヒウム》ちゃん。貴女の居合は、貴女自身が、貴女の人生で、築いた財産よ」


「あ、ありがとうございます」



20歳(ハタチ)を過ぎてから、こんなに人に褒められるのは、認められるのは、はじめてだった。



「美端《ミハタ》ちゃんは?何してたの?」


「...私も高校生でした」


「どこの高校か聞いてもいい?」


「...二色《ニシキ》学院高校です」



(へぇ、聞いたことある苗字と思ったら、二色学院の二色《ニシキ》だったんだ。てっきり、錦だと思ってたなぁ)


(おいおいおい、地域一のバチバチ超絶名門お嬢様学校じゃねぇか。てか、二色学院って二色家が運営してたよな?)



「やっぱり!立ち振る舞いから育ちの良さが伝わったからそうだと思ってたわ」


「...ま、まぁ、はい、育ちだけは」


「勉強もできるんじゃない?よく観察してるみたいだし、そういう人はよく伸びるわ」


「...テストは受けていましたが、それ以外はほぼ保健室だったので、そこまで成績は良くないですね。一年次も出席日数ギリギリでした」



(まぁ、経営者と同じ苗字ってだけで通いにくいわな)



珍しく丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》が同情的な視線を送る。



「じゃあ、テストでいい点数取って単位取るしかないから、相当努力してたんじゃない?凄いわね。独りで勉強するのって、好きなことなら良いけれど、そうじゃない教科もあるから、想像以上に大変だったでしょう?」


「ま、まぁ。本を読むのは好きな方なので、比較的独りで勉強するのは苦ではなかったです」


「努力家で読書家なんて、とっても素敵ね。今度、おすすめの本を教えて貰おうかしら?」


「あ、それ私《アタシ》も知りたーい!」



本の話になると急に入り込んでくる丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》。



「私も気になり、ます!」



慌てて、赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》も声をあげる。



「皆さん本読むんですか?」



物珍しい、と二色《ニシキ》 美端《ミハタ》が反応する。



「ええ、物語でも図鑑でもなんでも」



微笑んで応える粼《セセラギ》 揺蕩《タユタ》。



「哲学専攻してると、ジャンルが偏るんでね」


「ず、図鑑とかよく読みます...生物の」



丘六《オカム》 緋羽夢《ヒウム》と赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》も続く。



「...それぞれ、探しておきます。本を見つけることができたら、渡します」



そこから先の会話では、喋る量は決して多くない二色《ニシキ》 美端《ミハタ》だが、物理的な距離感は近くなっていた。

そして一行はとある民家のドアに辿り着いた。本当に何の変哲もないただの一軒家である。



「さて、着いたわ。みんな、ご苦労さま」


「ここがお茶会(フラワーガーデン)、ですか?」



赫鳳《アカオオドリ》 徹子《トオコ》は思ったより特別感ないと正直思っていた。



「というより、その入口。主催者の子と私の能力でね、」



と言って粼《セセラギ》 揺蕩《タユタ》がそのドアを開けると、その先の空間は一面花畑が広がっていた。その中心に大きな円卓があり、そこには



「おかえりなさい、粼《セセラギ》さん。そして、お待ちしておりました。赫鳳《アカオオドリ》さん、二色《ニシキ》さん、丘六《オカム》さん。私がこのお茶会(フラワーガーデン)の主催者、"締めくくり(ウェディングブーケ)"です」



明らかにメイドを雇ってる側の風貌をしていながら、メイド服を着こなす紫の眼で茶髪の少女が居た。




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