第二章
まだ痛みを完全に言葉にできないまま、
それでも前へ進もうとしている人へ。
あなたが進む道が正解かどうか、
私にはわかりません。
連にも、わかりません。
連は、実の父に殺されました。
そしてそこで、「復讐」という道に一歩踏み込みました。
それが正解か、不正解か。
決めるのは連であり、
読んでいるあなたであり、
愛奈たちです。
曖昧だとわかっていても、
まずは「一歩」を出してみるといいと思います。
間違えたなら、Uターンしてもいい。
わからないなら、
親に頼っても、友達に頼ってもいいんです。
あなたには、いるんだから。
そこに。
***MIND 連***
コンビニで何買おうかな~おにぎりかな~でも、起きてから四時間なら…弁当か?
「じゃ私これで。」
「なんでいんだよ。」
「こんなひ弱な女の子を外に放置&朝ごはん抜きにする気?」
「どこが、ひ弱なんだか…」
さて、どうやって帰らせるか…
「帰らないよ…連が帰るまで。」
「えっ」
「私も炎々中学校行くよ!」
「馬鹿を言うな。どういう場所かわかってんのか?」
「どんなとこ?」
聞いた俺がバカだったと思ってしまうような単純さだった。
「炎を学ぶ学校だ。」
「えっ⁉普通…もっと変わってるとこかと思った。」
愛奈には普通だったらしい。俺からしたら、オカルト集団じゃないか心配になるくらい、変だけどな。
「ってゆうか転校届け、出しちゃった。」
「はぁぁぁぁ!」
まさか、もう出しているとは思わなかった。予想外すぎる。大体、炎々中学校に通うってことは…共同生活になるじゃねぇか‼ダメだ~頭痛くなってきた…
「大丈夫?」
「お前だけには言われたくない!」
今気づいたが、いつの間にか蕾じゃなくて俺が喋ってる。いつからだ?
「連も大害だけどね。」
「誰がだよ‼」
「お腹すいた~連~」
あぁめんどくさいことが始まりそうだ。
コンビニで朝ご飯を買った俺たちは一度、俺の新しい家に帰った。
愛奈に炎々中学校について話した。俺の親父のことも全て。
「わかったか?これで行く気も無くなっただろ。」
「いや、断然増したね。連って危なっかしいから。私が道しるべにならないと!」
「よく方向音痴な奴が言えたな。」
愛奈はいつも道を間違える。右に行こうとしたら左へ、北海道に行こうとしたら沖縄へ、みたいなところだ。
愛奈に道を案内して貰う方が死より怖い…まぁ一度死んでるようなもんだけどな。
「っていうか、どうして俺の場所が分かったんだ?」
「いやぁ~ねぇ~それは…お父さんが話してくれたんだ~」
愛奈の父親は、愛奈にものすごく弱い。確かに、愛奈にお願いされたら断れない父親に聞けば手っ取り早いのも、愛奈はわかっていたのだろう。
「自白させたな…」
「人聞きが悪いね。聞いたら、言ってくれただけだもん‼」
「困ったやつだ。」
俺が呆れた顔で言っていると、愛奈はほっぺを膨らませ怒っていた。
その後、俺たちは朝ご飯を終え、明日の学校に行く用意をした。
「意外と荷物多いね…」
「初登校で忘れ物するなよ。」
「さすがに忘れないよ。持ち物リストもあるし‼」
「それなきゃ忘れんのかよ…」
このままだと本当に愛奈がついてくることになることは明白だ。
阻止するべきか。しないべきか…迷う。
「どーせ、ついてくんだよな…」
「うん!」
俺は、愛奈のニコニコスマイルには、勝てなかった。
愛奈のせいか、初登校の前日はすぐに終わりを迎え、もう登校初日となった。
「愛奈、余計なことは喋んなよ。」
「邪魔だけはしないように頑張るね…」
初登校の日は転校してきたので、校長とのお話がある。何を話すのかは知らないが、誰もが初めは校長と話してから学校生活が始まるらしい。
俺たちは、面倒ごとが起きる前にさっさと校長室へ向かった。
「失礼します。」
「おぉ来たか。ようこそわが炎々中学校へ。苦労も多いとは思うが、いい生活を送ってくれ。」
だいぶ年老いてるおじぃさんと思ったが、三十から四十の中年男性といったところだ。
「はい。よろしくお願いいたします。」
「そちらの白咲さんとは幼馴染だとか。」
「はい。たまたま、同じ学校に転校することになったらしく、俺自身、驚きました。」
愛奈は校長が怖いのか、俺のことを邪魔したくないのか、黙って俺の後ろに隠れている。
「さぁさぁ立ち話もなんだから、座ろうか。」
「ありがとうございます。」
さてと、愛奈なしでどういくか…
「早速だけど、これに一人ずつ手をかざしてもらえるかな?」
そう言って、何やらわからない箱を出してきた。指紋認証でもするもだろうか…
そう思いながら、手をかざすと…
ブワっとアニメでよく見る、ステータスの画面みたいなのが出てきた。
黒澤連、邪神〈十四歳〉
攻 五十六 防 五十二 持 六十五
知 七十六
何やら、自分の力を数値で表したもののようだ…
「これはいったい…」
「邪神のことかな?これは君の先祖だ。邪神と書かれていて落ち込むかもしれないが、珍しいのだから、そんなに気を落とさずに。」
そういわれても、わからない。邪神って悪魔のことだよな?いたのか?まさか、やっぱり…ただのおカルト集団の一員になっちまったとかじゃないよな?
「じゃあ次、私だよね。」
白咲愛奈 天照大神〈十四歳〉
攻 四十六 防 六十二 持 四十五
知 七十五
「これはこれは…初めて見たよ天照大神なんて。日本の神の最高神じゃないか。」
「やっちったぁ」
これで、校長室での会話は終了し俺たちは教室に向かうこととなった。
クラスは三年六組になった。
二章まで付き合ってくれて、ありがとうございます。
この章には、
はっきりした答えがありません。
進んだことが正しいのか、
立ち止まるべきだったのか、
誰にも決められないままです。
連は、自分で選んだと思っています。
でも、本当にそうだったのかは、
まだわかりません。
もし今のあなたが、
自分の選択に自信を持てずにいるなら、
それは、とても自然なことだと思います。
次の章で、
何かが明らかになるわけでもありません。
ただ、少しだけ視界が変わります。




