第79話 支配(domination)
アレンの中に、ハレイの記憶が流れ込んできた。
後悔。
罪悪感。
自己嫌悪。
押し潰されそうなほどの感情が、洪水のように流れ込む。
――クラインの時と同じだ。
勝手に、強引に、相手の心が流れ込んでくる。
(……君は、悪くないだろ)
(妹を守ろうとしただけじゃないか)
だが、ハレイは俯いたまま、動かなかった。
⸻
「おい、ハレイ。何をしている。さっさとやれ」
「……できません」
「なに?」
「僕がここでアレンくんを傷つければ……僕は、本当に壊れてしまうから」
「そうか...お前も...俺を裏切るのか...」
その一言には計り知れないほどの闇があったように見えた。
「所詮、ただのゴミだ。」
その一言で、アレンの中の何かが弾けた。
「お前に……何が分かる!!」
「俺はすべて知っている」
「どういうことだ!」
「そいつが人殺しになのも知っている。ハレイ...お前はもう、用済みだ。」
【支配(domination)】
その瞬間、ハレイの表情から、瞳から、すべての光が消えた。
⸻
「ただの操り人形だよ。そいつはもう。」
「なん...だと...」
「俺の能力、支配さ。」
「支配...」
「知っているか?そいつの、ハレイの能力を。ソイツもお前と同じディアセントだ。」
「ハレイが...ディアセント...?」
「ソイツはディアセントであることがバレ、非難されることが怖かった。だから隠していた。本当の能力は蓄積と放出。自分では気づいていないだろう。その能力には条件がある。」
「何を言っている」
「条件は殺したいと思うこと。殺したいと思えば思うほど、力は蓄積されていく。そして殺したいと思った相手を対象に力は爆発的に増幅し、殺すまでそれは続く。」
「どうするつもりだ。」
「俺のやりたいことはな、魔王を殺すことなんかじゃないんだよ。世の中の全員を殺すこと。俺以外は全員不幸になればいい。」
「ふざけるなよ。そんなことあっていいはずが無い。絶対に止めてやる。」
「仲間を傷つけるのか?」
「止めんだよ。」




