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第74話 サーレの戦い

「撒いたか。アイネ、レミア。起きろ。」


サーレは寝たふりをして、二人を逃がしていた。


(コウキ……どこ行っちまったんだ)


「ん……? なんで私、眠って……?」


「私も……」


「相手の能力か何かで眠らされてたみたいだ。」


そのとき――


遠くで、雷の轟音が響いた。


「今の音……コウキ……なのか?」


「ねぇ! 今の!!」


「あぁ……コウキの――」


「やっぱり隠れていましたか。」


「……ッ!? 誰だ!!」


「君たちのクラスメイトを連れていった者の仲間ですよ。」


「なんでここにいる。」


「彼は一人で行くと言いましたからね。私は残っただけです。」


男は肩をすくめる。


「それに……ちょうど暇なので、相手してくれませんか?」


サーレは一歩前に出る。


「分かった。サシでやろう。その代わり――

 二人を安全な場所に避難させてからでいいか?」


「えぇ、もちろん。構いませんよ。」


「レミア、アイネ。どこか安全な場所に行っててくれ。」


「でも!!」


「なんとなく……ここにいたらやばい気がする。

 コウキは僕が見に行く。」


「そんなの……」


「僕に何かあった時、助けてくれ。」


二人は少し黙る。


「……分かった。絶対に死なないで。」


「あぁ。もちろんだよ。」


レミアとアイネは走り去っていった。


男が軽く首を傾ける。


「そろそろいいですか?」


「その前にさ。」


サーレは苦笑する。


「僕は子供だよ?

 少しくらい手加減してもらえると助かるんだけど。」


男はあっさりと言った。


「催眠です。」


「……え?」


「私の能力ですよ。催眠。

 眠らせることもできますし、かかった者を操ることもできる。」


「なんでそれを教えた。」


男は静かに笑う。


「この能力はね――

 サシだとあまり使えないんですよ。」


「だから鍛えたんです。

 でも、試す相手がいない。」


「それで僕?」


「えぇ。」


男はサーレをじっと見つめる。


「あなたが一番強そうだったからです。」


そして少し目を細める。


「ですが……何かブレが見える。

 心のブレが。」


「戦い方でも変えましたか?」


サーレは小さく息を吐いた。


「そこまで分かるなんてね。」


そして、ゆっくり構える。


「でもそれはブレじゃない。」


「成長だ。」


――こうして。


コウキの戦いの最中、

別の場所でサーレの戦いの火蓋も切って落とされた。

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