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第58話 トラシオンを守れ?

「アレンくん。カルマ・クラインを倒せたのですね」


「ああ」


「元気がありませんね。因縁の相手を倒せたというのに。……彼の、過去でも見ましたか?」


「……」


「どう思いました?」


「……奴のしたことは、許せない。

でも、同じ立場だったら……僕も、同じ道を選んでいたかもしれない」


「そうですか」


「お前は、どう思った?」


「私ですか?」


「ああ。そもそも、いつから知っていた」


「彼が、ああなる前からですよ。それに――私は人間ではありません。感情など、持ち合わせていませんから」


「そうか……」


「まあ、ひとつだけ言うとすれば。君も、彼と同じ道を辿る可能性があります」


「……どういうことだ?」


「言ったでしょう。君はまだ、過去を完全に思い出していない。

思い出せば、力を得ることになる――ですが、それ以上に、自分を制御できなくなる」


「……」


「彼との戦いで、思い出しておくべきだった。

先延ばしにすればするほど、魔王の思惑通りになるだけです」


「……思い出す方法は、あるのか?」


「分かりません。

あるとすれば――怒りと、状況、でしょうね」


「怒りと……状況」


「君は、異質な存在です」


「……そうだな」


「それと。来週、修学旅行らしいですね」


「ああ」


「君を狙う者がいます」


「……僕を?」


「君の力を見て、早めに潰すべきだと判断したのでしょう。

私は同行できません」


「分かった」


「それと、私は、少し別のやることが出来たのでしばらく離れます。」


「……そうか」


「まぁ、貴方が私を呼ぶのならその時は頑張って戻りますよ。」


「……ありがとう」


「いえ。それと最後に、もうひとつ。

トラシオンを、守りなさい」


「トラシオン?」


魔王軍の幹部――あの、トラシオンを?


「なぜ……」


そう問いかける前に、ローダルスは夜空へと飛び去っていた。


……どういうことだ。


考えても、今は答えが出ない。


そう思い、俺は寮へ戻り、眠りについた。


時間は、あっという間に過ぎていく。


そして、修学旅行の前日。


夜、荷物の準備をしながら、俺は考えていた。


――ローダルスの言っていた、「僕を狙う誰か」。

――そして、「トラシオンを守れ」という言葉。


そこに、どんな意味があるのか。


胸に消えない不安を抱えたまま、俺は眠りにつく。


この修学旅行が、

大きな波乱の始まりになるとも知らずに。

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