第50話 俺の出番じゃない。
「カルマ・クライン!!
お前だけは……絶対に許さない!!!」
怒りと憎しみが、喉を焼き切るように溢れ出す。
「ふふ……許してもらおうなんて、思ってませんよ」
クラインは、愉快そうに笑った。
「君の“絶望した顔”さえ見られれば、それでいい」
「……死ね」
アレンの体から、禍々しい魔力が噴き出す。
魔王の力。
空気が、歪む。
「……は?」
クラインの表情が、一瞬で凍りついた。
「なぜ……なぜお前が……魔王様の力を……!!」
「お前を殺すための力だ」
「魔王様を汚すな、ゴミが!!
絶望なんかどうだっていい!!
今ここで……お前を殺す!!!」
二人の魔力が、激突する。
爆音。
衝撃。
ダイチが、後方へ吹き飛ばされそうになる。
「これ以上、この村を焼いたら……
俺が、お前を殺す」
「知るかよ。弱者。」
クラインは、吐き捨てる。
「入ってくるな。
終わった村に、終わった人間。
その程度で滅びるなら、それまでだっただけだろう?」
「……黙れ!!」
アレンの拳が、クラインを吹き飛ばす。
「その汚れた力で、私に触れるな!!」
クラインの反撃が、アレンの体を叩きつける。
「……っ、ぐは……!!」
「そこで見ていろ」
クラインは、冷たい声で言った。
「またお前は、何も守れず、
その場所で蹲っていろ」
そう言って、ゆっくりと――
ダイチへと、歩み寄る。
「……!」
だが、ダイチは、抵抗しようとしなかった。
違う。
――出来なかった。
その背中を見た瞬間、アレンは悟った。
(……俺の出番じゃない)
(この戦いは……)
(スミレの戦いだ)
視線の先。
植物に包まれ、意識を失ったスミレ。
「……スミレ」
静かに、祈る。
「今度こそ……守れた」
「ごめんね、ダイチ……」
「ごめんね……」




